更新日: 2020.05.12 その他老後
リバースモーゲージの利用とその注意点
居住する住宅や土地などの不動産を担保として、そこに住み続けつつ、金融機関から一括または分割で融資を受け、融資を受けた方が亡くなった後に担保不動産を処分(売却)し、その代金を融資の返済に充当するという、主にシニア向けの融資制度です。
古くは1980年代に一部の自治体が始めた融資制度と言われています。
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
リバースモーゲージの特徴とメリット
リバースモーゲージの最大の特徴は、自宅を売却しなくても融資を受けられる点です。
シニア世代で、資産のほとんどが不動産な上に現金収入が年金だけという、手元にある現金が少ない方にはリバースモーゲージが有効な現金獲得手段です。融資額は住宅の立地や築年数、等により異なりますが、上記の通り一括または分割で受け取ることが可能です。
資金用途は一括で受け取り、それを元手に老人ホームの入居の一時金や入所費用、自宅のバリアフリー化のためのリフォーム代に充当するといった使い方もできます。
また、郊外に所有している住宅から都心のマンションへ住み替えるための資金といった住環境の変化や、日々の生活で必要となる医療費や介護費に充てることも可能です。
利用開始できる年齢も金融機関ごとに異なりますが、融資条件としての収入等の要件は住宅ローン等に比べて厳しくはありません。返済は利払いのみの場合もありますし、元本・利息とも契約者の死亡後に返済というプランもありますので、返済の心配をしないで生活することができます。
また、利払いに関しても、その金融機関に預金残高があれば融資額からその預金残高との差額部分のみの利払いというタイプもありますので、実質の金利負担がゼロの場合も考えられます。
リバースモーゲージの注意点
リバースモーゲージの注意点として、対象となる住宅が基本的に一戸建てで、マンションは対象外の金融機関が多く、融資対象区域が限定されている場合もあるということです。
また、あくまでも本人とその配偶者の生活資金を融資するものですから、店舗併用の自宅のリフォーム等は認めるが、事業用資金や投資用資金としての利用を認めていない金融機関は多数あります。
さらに、利用に当たり推定相続人の同意が必要な場合もあります。これは、将来の相続人である主に子どもたちがその利用を拒否した場合には、リバースモーゲージを活用できない場合がありますので注意が必要です。
融資を受ける上での注意点
融資そのもののリスクとして、「長生き」、「金利上昇」、「不動産価格の下落」などが挙げられます。
生活資金や医療費、介護費の融資が主であれば、「長生き」をすることで融資額が増えてしまい、存命中に融資枠を使い切ってしまうといったことや、同じく融資額(元金)が増えることにより利払い費用も大きくなってしまいます。同様に「金利上昇」よる利払い費用の増加も考えられます。
担保となる自宅の評価は定期的に見直されますので、「不動産価格の下落」により評価額が下落すれば、融資限度額が下げられてしまう場合や、融資限度額が割り込んでしまうと、場合によっては一括返済を求められることがありますので注意が必要です。
金融機関選びが大切です
融資の使用用途や対象地域、返済方法、担保となる不動産は一戸建てかマンションか、などリバースモーゲージを利用するための条件は金融機関によってまちまちです。
中には生活資金は融資対象にならない場合や、住み替えだけが対象という金融機関もありますので、ご自身の利用条件、ライフプランに合った金融機関を検索の上、相談されることをお勧めします。
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表