更新日: 2020.07.19 その他老後

増加する成年後見制度の利用。成年後見人は誰に頼んだらいいの?

増加する成年後見制度の利用。成年後見人は誰に頼んだらいいの?
成年後見制度の利用は増加傾向にあり、2019年には3万6000件近くの申し立てが裁判所に寄せられました(※)。それに伴い、後見人が原因となるトラブルも見過ごせない状況となってきました。
 
成年後見制度を利用するにあたっては、後見人について慎重に考えたいところです。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

成年後見制度とは

成年後見制度とは、加齢や精神上の障がいなどにより、判断能力が低くなってきている人に代わり、後見人など(本人の判断能力によって成年後見人、保佐人、補助人といったように呼び方やできることの範囲が異なります)が財産の管理をしたり、身の回りの世話などを行い、本人を保護する制度です。
 
後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。
 
法定後見は、家庭裁判所によって後見人など(以下、後見人とします)が選任されるものです。対して任意後見では、本人の判断能力が十分なうちに後見契約を結び、あらかじめ後見人となる人を定めておくものです。

後見人になれる人

後見人になるにあたっては、特別な資格は必要ありません。他人の財産を管理することとの関係上、未成年者や破産者など法で定める一定の欠格事由に該当する場合は例外ですが、基本的に誰でも後見人になることができます。
 
しかし、後見人は財産の管理を任せるなど、本人にとって非常に重要な人物です。必要な資格がないからと誰を選んでもいいわけではありません。
 
実際、後見人の横領なども増えきており、社会問題化しています。本人にとって最も利益となる人物を後見人として選ばなければなりません。

任意後見人の選び方のポイント

法定後見では、後見人の候補を挙げたりすることはできるものの、最終的には家庭裁判所が後見人を選任します。反対に、任意後見では本人が後見人となるべく人を選任します。
 
後見人には本人の財産を管理するなど、法律上大きな権利が与えられます。そのため、「この人なら絶対に問題が起きない」と思えるくらい信頼できる人を選ぶようにしてください。
 
後見人といえば、子や兄弟姉妹、おいやめいを想像される方も多いですが、血縁者だからといって必ずしも正解とは限りません。後見人が本人の財産を使いこんだり、横領したりするといった事件は後を絶ちません。
 
相続実務の場においても、子が高齢となった親の財産を使い込んでいたという事件もたびたび起きています。
 
また、同世代や年上の方を後見人に選んでしまうと、自分が後見人を必要とする頃には、後見人となるべく人も判断能力が衰えてしまっていたり、場合によっては亡くなってしまっていたりすることもあります。
 
そのため、一つの目安として、次のような条件を満たす人を任意後見人として選ぶようにしましょう。
 

条件
  • 自信をもって信頼ができると言い切れる人
  • 自分より若い人
  • 責任感の強い人
  • 自身の浪費などを原因とする債務を負ったことのない人
  • 仕事上の関係など利害関係にない人
  • 自分の利益に固執しない人

任意後見人には専門家を選ぶのもアリ

任意後見人を身内や知人から選ぼうとしても、なかなか条件に見合う人が見つからなかったり、後見人を任せてしまうことで人間関係に変化が生じるのを懸念してしまう場合は、思い切って専門家に任せてしまうことも手です。
 
専門家に依頼することで、ある程度の報酬が発生してしまうものの、適正な管理を期待することができます。また、親族や知人に後見人を依頼したことで、人間関係が変わってしまった、というような事態も起こりえません。

任意後見人を選ぶ際は慎重に

後見人は、本人に代わって財産管理をしたり、入院手続きや介護サービスの手続きなど身上監護を行ったりする重要な立場にある人です。そのため、任意後見人を選ぶ際は、信用できる人を慎重に選ぶ必要があります。
 
安易に選任してしまうと、後見人となる人との間の関係性に変化が生じてしまうこともあります。少しでも不安や懸念があれば、周囲の人から選ぶのでなく、NPO法人や福祉団体、司法書士などをはじめとする専門家に後見人を依頼するとよいでしょう。
 
[出典]
※最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況:平成31年1月〜令和元年12月」
電子政府の総合窓口 e-Gov「民法」
 
執筆者:柘植輝
行政書士


 

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