更新日: 2021.09.10 iDeCo(確定拠出年金)

70才まで延長が検討されている、確定拠出年金ってどんな制度?

70才まで延長が検討されている、確定拠出年金ってどんな制度?
人生100年時代。政府は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)で、企業に希望者全員に65歳まで雇用を義務付けるようにしていますが、今後、希望する高齢者が70歳まで働けるようにする改正案の骨子を発表しています。
 
努力義務としての位置づけですが、この法案が成立すると、企業は他企業への再就職支援やフリーランスで働くための資金提供、企業支援などにも取り組む必要が出てきます。改正案は、2020年の通常国会に提出される予定です。
 
こういった中、企業で働く人が加入できる企業型確定拠出年金(DC)や個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)について、掛け金の拠出期間を延ばすことが検討されています。
 
前者は、現行の60歳から70歳へ、後者は現行の60歳から65歳へ変更になる予定です。これは、掛け金を長く積み立てて、運用資産を増やすことで企業年金も増やして、長くなった老後に備えることを狙っています。今回は、加入年齢を延ばすことが検討されている上記2つの年金制度について見ていきましょう。
 

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堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

企業型確定拠出年金(DC)

■実施主体と加入者

企業型年金規約の承認を受けた企業が実施し、実施企業に勤務する従業員が加入できます。

■掛け金

事業主が拠出しますが、規約に定めた場合は、加入者も拠出が可能です。
 
拠出限度額は、
(1)厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない場合は5万5000円/月、規約において個人型年金への加入を認める場合は3万5000円/月
(2)厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施している場合は2万7500円/月、規約において個人型年金への加入を認める場合は1万5500円/月

■運用

運用商品の中から、加入者自身が運用指示を行います。運用商品は、預貯金、投資信託、保険商品となっています。したがって、運用がうまくいけばプラスになりますが、うまくいかなかった場合はマイナスになることもあります。

■転職時の取り扱い

加入者が退職して国民年金の加入者となった場合には個人型年金へ、転職した場合には、転職先の企業型年金等へ資産を移換できます。
 

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個人型確定拠出年金(イデコ)

■実施主体と加入者

国民年金基金連合会が実施し、
(1)自営業者等(国民年金第1被保険者)
(2)厚生年金の被保険者(国民年金第2号被保険者)
(3)専業主婦(夫)等(国民年金第3号被保険者)
が加入できます。

■掛け金

掛け金は加入者個人が拠出しますが、「iDeCo+」(イデコプラス・中小企業主掛け金納付制度)を利用する場合は事業主も拠出ができます。
 
拠出限度額は、
(1)自営業者等で、6万8000円/月(国民年金基金の限度額と枠を共有)
(2)厚生年金保険の被保険者のうち厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施している場合は1万2000円/月、企業型年金のみを実施している場合は2万円/月
(3)企業型年金や厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない場合〔下記(4)の方を除く〕は2万3000円/月
(4)公務員は1万2000円/月
(5)専業主婦(夫)等は2万3000円/月
となっています。

■運用・転職時の取り扱い

基本的に企業型確定拠出年金と同様の仕組みとなっています。
 
以上、企業型と個人型の確定拠出年金について見てきましたが、この制度では、国民年金や厚生年金のような公的年金とは違って加入者自身が資産を運用するので、運用しだいで将来支給される年金額は異なってきます。つまり、自己責任で行う必要があります。
 
しかしながら、転職の際にも転職先の企業型年金等への移換ができたり、税制面で優遇されたりもします。また、今後加入年齢も延びる可能性がある、長い老後の資金を確保するためにも活用するとよいでしょう。
 
企業型拠出年金の手続きは、企業によって規約等が異なるため、社内の担当部署に相談するようにしましょう。また、個人型確定拠出年金の手続きは、銀行や証券会社など、個人型確定拠出年金を取り扱っている金融機関に相談してみましょう。
 
(出典)
厚生労働省「高齢者の雇用」
厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー


 

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