最終更新日: 2020.09.14 公開日: 2020.09.15
年金

【年金制度改正】もらえる年金は増える? 減る? 受給開始時期の選択肢が拡大!

執筆者 : 遠藤功二

少子高齢化で年金財政が危ぶまれる中、令和2年5月29日、年金制度改正法が成立しました。この年金制度改正法の正式名称は「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」といいます。令和2年6月5日に公布されました。
 
日本の年金制度は、働いている人が払う、お年寄りが受け取る、という賦課方式が基本となっています。それゆえ、働いている人を増加させることが年金財政の維持のためには必要ですが、例えば今回の制度改正では、年金の受給開始時期の選択肢が拡大されています。
 
60代でも働く意欲がある人にとっては、年金を受け取る年齢を遅らせることで受取額を増額させることができ、ライフプランの組み方の選択肢が広がりました。
 
今回は年金制度改正の内容について解説していきます。
 
遠藤功二

執筆者:

執筆者:遠藤功二(えんどう こうじ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)

三菱UFJモルガン・スタンレー証券とオーストラリア・ニュージーランド銀行の勤務経験を生かし、お金の教室「FP君」を運営。
「お金のルールは学校では学べない」ということを危惧し、家庭で学べる金融教育サービスを展開。お金が理由で不幸になる人をなくすことを目指している。

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遠藤功二

執筆者:

執筆者:遠藤功二(えんどう こうじ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)

三菱UFJモルガン・スタンレー証券とオーストラリア・ニュージーランド銀行の勤務経験を生かし、お金の教室「FP君」を運営。
「お金のルールは学校では学べない」ということを危惧し、家庭で学べる金融教育サービスを展開。お金が理由で不幸になる人をなくすことを目指している。

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年金制度改正の主なポイント

今回の年金制度改正の主なポイントを提示します。
(1)被保険者の適用範囲が拡大される
(2)在職老齢年金が見直しされる
(3)年金受給開始時期の選択肢が拡大される
(4)確定拠出年金の加入可能要件が見直しされる
 
これらの改正点でいえることは、働く人のモチベーションを刺激する内容になっているということです。

被保険者の適用範囲が拡大される

これまで、勤務時間がフルタイム労働者の4分の3未満である短時間労働者が厚生年金に加入するためには、厚生年金の被保険者が常に501人以上いる法人・個人の厚生年金の適用事業所、および国または地方公共団体に属する適用事業所に勤めており、労働時間が週20時間以上、賃金が月8.8万円以上、勤務期間が1年以上、学生ではない、という条件が必要でした。
 
この適用事業所の被保険者の数が、令和4年10月に100人超に、令和6年10月に50人超の規模に段階的に引き下げられます。また、勤務期間の要件も1年以上から2ヶ月超に緩和されます。
 
これは短時間労働者、つまりパートタイマーの人で、厚生年金の対象になる人が増えるということです。
 
この制度により、今まで国民年金保険料を支払っていた人、配偶者に扶養されていた人の中で、厚生年金に切り替わる人が出てきます。厚生年金は労使折半なので、会社が保険料の半分を負担してくれます。
 
その上、将来の年金は老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金も受け取れるので、老後の収入はアップします。中には扶養から外れてしまい社会保険料の支払いが生じてしまう人もいますが、将来の年金収入が増えることは事実です。
 
厚生年金は、収入に応じて保険料が上がる代わりに、年金額も増加する仕組みになっています。保険料と受取額が一律の老齢基礎年金と比較すると、働いて収入アップを目指すモチベーションが高まる人もいるでしょう。

在職老齢年金が見直しされる

これまでは60歳〜64歳で働いている老齢厚生年金の受給者を対象に、年金と賃金の合計額が28万円を超えると年金額の全部または一部が減額される仕組みがありました。この制度を在職老齢年金制度といいますが、令和4年4月からは28万円の基準が47万円に引き上げられます。
 
結果、働きながら年金を受け取る人で、年金の全部または一部が減額の対象にならない人が増えます。28万円という壁が働く意欲を抑えているケースがありましたが、47万円までに基準が見直されることでより働きやすくなるということです。
 
また、70歳まで働く人は、これまでは厚生年金の受給権を持ちながら厚生年金保険料を納めている状態にありました。この場合、70歳到達時点で、65歳からの厚生年金の受取額に70歳まで納めた保険料を上乗せする制度がありました。これを退職改定といいます。
 
今回の改正により、令和4年4月から在職定時改定の制度が導入されることになりました。改正後は厚生年金の受取額の増額は70歳の時点で一括して行うのではなく、毎年行うことになりました。これにより66歳、67歳といった時点で年金が増額される人が出てきます。

年金受給開始時期の選択肢が拡大される

令和4年4月からは公的年金の受取開始年齢の幅が、これまでの60歳〜70歳から、60歳〜75歳に広がります。現在の公的年金の受取開始年齢は、60歳だったときからの制度変更の移行期間ではあるものの、原則65歳です。受給者が希望すれば早めることも、遅らせることもできます。
 
1ヶ月早めるごとに年金額は0.4%減額(改正前は1ヶ月ごとに0.5%減額)になり、60歳まで早めることができます。一方、遅らせる場合は1ヶ月ごとに年金額が0.7%増額になります。
 
改正前までは先述のとおり、70歳までしか遅らせることができませんでしたが、改正により75歳まで遅らせることができるようになりました。もし、年金の受給年齢を75歳まで遅らせたら、120ヶ月×0.7%で84%の増額になります。この制度は、令和4年4月1日以降に70歳に到達する方が対象です。

確定拠出年金の加入可能要件が見直しされる

確定拠出年金は、自分で積み立てて運用する私的年金制度です。運用成果を除けば、積み立てる期間が長いほど、受け取れる年金額が多くなります。
 
令和4年5月からは、確定拠出年金制度に加入できる年齢が引き上げられます。改正前は、企業型確定拠出年金は最長で65歳未満までしか加入できませんでしたが、厚生年金被保険者であれば70歳未満まで加入できるようになります。
 
個人型確定拠出年金「iDeCo」(イデコ)は、加入できる期間が60歳未満まででしたが、第2号被保険者(会社員等)であれば65歳未満まで加入可能になります。

まとめ

ここまで見てきたとおり、今回の年金制度改正は、60歳を超えた高齢者やパートタイマーの方々が意欲を持って働けるような仕組みを取り入れています。日本の年金制度は働き手が受給者を支える仕組みになっています。今後の改正も、働く人にメリットが生じる方向に向かうものと推測できます。
 
出典 厚生労働省 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました
 
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)

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