最終更新日: 2020.09.25 公開日: 2020.09.27
年金

年金に関する相談事例をFPがわかりやすく解説!

多くの場合、老後の生活の支えとなるのは公的年金です。ですが、その仕組みはとても複雑で分かりにくい、という印象があります。「年金を受給する」という時に生じる、よくある誤解について考えます。
 
宮﨑真紀子

執筆者:

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

宮﨑真紀子

執筆者:

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
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65歳になる前に受取ったら減額される!?

64歳の女性と年金について話す機会がありました。「年金は受給されているのですか?」とたずねると「早くもらうと、もらえる金額が減るのでしょう?」の回答。
 
彼女は、年金の受給開始を65歳ではなく先延ばしにすることで受給金額を増やす「繰り下げ受給」を選ぶつもりなので、「とにかく今もらってはいけない」という思い込みがありました。
 
厚生年金保険に加入していた期間が12ヶ月以上ある場合、「特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分」を65歳になる前から受給することができます。
 
「特別支給の」とあるように、生年月日により段階的に支給年齢が引き上げられていますので、男性は昭和36年4月2日以降、女性は昭和41年4月2日以降に生まれた人は受給できません。
 
以前は、年金の支給開始は60歳からでしたが、65歳に引き上げられました。この経過措置と考えると分かりやすいと思います。本来65歳から受給する「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」とは別に考えてください。
 
昭和31年1月生まれの彼女は、60歳から「特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分」を受給できます。これまで請求していませんでしたので、受給時期を遅らせたことになります。ですが、この特別支給の部分は、請求時期を遅らせても「繰り下げ」制度がありませんので、受給額の増額はありません。

在職中は年金をもらえないこともある!?

請求して受給してしまったら「繰り上げ」となり、受け取る年金の金額が減額されてしまうと思っていた彼女ですが、特別支給の部分を受け取るべく、年金事務所に問い合わせることにしました。
 
現在、彼女は正社員として勤めています。在職中(厚生年金保険に加入)の老齢厚生年金は、給料の額によって減額される場合があります。

<在職老齢年金の支給停止の仕組み>

 基本月額:老齢厚生年金の年金額(年額)を12で割った額
 総報酬月額相当額:毎月の賃金+1年間の賞与を12で割った額
 
*60歳以上65歳未満の場合
 (1)基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円以下のとき
  支給停止額はゼロ(全額もらえます)
 (2)基本月額が28万円以下で、総報酬月額相当額が47万円以下のとき
  支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)×1/2×12
 (3)基本月額が28万円以下で、総報酬月額相当額が47万円を超えるとき
  支給停止額={(47万円+基本月額-28万)×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}×12
 (4)基本月額が28万円を超え、総報酬月額相当額が47万円以下のとき
  支給停止額=総報酬月額相当額×1/2×12
 (5)基本月額が28万円を超え、総報酬月額相当額が47万円を超えるとき
  支給停止額={47万円×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}×12
 
*65歳以上の場合
 (1)基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下のとき
  支給停止額はゼロ(全額もらえます)
 (2)基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えるとき
  支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額-47万円)×1/2×12
 
実は彼女の場合、「特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分」は全額支給停止になっていました。とても残念な結果です。
 
この基準となる月28万円の金額が、2022年4月から47万円に引き上げられることになりました。もう少し早く改正されていたら良かったのに、と思ってしまいました。

年金を全額もらいながら働くには?

65歳以降についての注意点が2つあります。
 
「もらえる年金と給料の合計が47万円までなら年金は全額受給できる」のなら、「47万円-もらえる年金」の範囲で働くと良いのでは? と考える場合もあると思います。
 
*上記の支給停止の対象となるのは、厚生年金保険に加入して働いている人です。
 短時間勤務のパートや自営業の人は調整されませんので、金額を気にする必要はありません。
 
*調整対象となるのは「老齢厚生年金」の部分です。計算式に使われる基本月額の対象も、老齢厚生年金の部分です。「老齢基礎年金」は対象になりませんので、全額支給されます。
 
最後に、具体的な計算例を見てみます。
<例>老齢厚生年金 180万円(基本月額 15万円) 老齢基礎年金 月額6万円 
給料32万円 ボーナス120万円(月額10万円) → 総報酬月額相当額42万円
 
 15+42>47 なので、計算式(2)に該当します。
 支給停止額=(42+15-47)×1/2×12=60万円 [月額5万円]
 年金支給額=180-60=120万円 [月額10万円]
 
 勤め先からの収入42万円+老齢厚生年金(減額後)10万円+老齢基礎年金10万円の合計 月58万円が収入となります。
 
5万円の支給停止にはなりますが、しっかりと働くとこのような試算になるという一例です。働き方が多様化してきました。年金の受け取り方も単一ではありません。
 
ご自身の年金についての具体的なご質問は、年金事務所(年金ダイヤル0570-05-1165)への問い合わせがお勧めです。 
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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