障害のある子がいる場合の年金、子が20歳になると受給はどうなる?
配信日: 2020.10.21
老齢厚生年金、障害基礎年金、遺族基礎年金には子の加算制度がありますが、一定の障害のある子がいる場合は、その子が20歳になるまで加算されます。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
障害のある子がいると加算部分は20歳まで
厚生年金加入が20年以上あって老齢厚生年金を受給する場合には子の加給年金の加算があり、障害基礎年金や遺族基礎年金を受給する場合にも子の加算制度があります。これらの年金を受給していて、生計を維持する、18歳到達年度の末日までにある子、つまり高校生までの子がいる場合に、その18歳年度末まで加算がされることになっています。
しかし、その子に障害等級1級または2級の障害がある場合は、加算はその子が20歳になるまでです。障害がある場合は、その分加算期間が長くなることになります。
これらの子の加算制度での実際の加算額については、子の数に応じて決まることになり、いずれの加算も子が2人目までは1人あたり22万4900円加算され、3人目以降については1人あたり7万5000円加算されます【図表1】。
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20歳になると子が自分で年金を受給
障害のある子が20歳になれば、その加算はなくなります。遺族基礎年金の場合は、他に加算対象となる子がいなければ、加算部分だけでなく、遺族基礎年金そのものがなくなります。
加算あるいは年金そのものがなくなって収入が減る中、子は20歳になっても障害のため働いて収入を得ることができないことがあります。あるいは親が働いていても、加算あるいは年金そのものがなくなった分について、給与収入を増やすことで補うことが難しいこともあります。
このままでは親子での家計に大きな影響が出てしまいます。しかし、子が20歳になると、ここからは子自身が年金を受給できるようになります(【図表2】の例1、例2、例3のとおり)。障害等級1級、2級の障害のある子は、20歳より障害基礎年金を受給し始めることになり、障害等級1級であれば年間97万7125円、2級であれば年間78万1700円を受給することになります(いずれも2020年度の額)。
20歳前から障害状態にあるので、「20歳前傷病による障害基礎年金」となりますが、これは子自身に年金保険料の納付実績がなくても受給が可能となっています。その代わりとして、子に所得が多いと年金がカットされるなど、受給についての制約も一部ありますが、子の20歳以降は子の年金へと切り替わる形となります【図表2】。
もし、障害のある子がいて、親である自身が年金受給者である場合、子の20歳前と20歳以降で年金の受給が変わることをあらかじめ確認して備えておきましょう。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー