障害がある場合は老齢年金に加算があることも!「障害者特例制度」を利用する時のポイントとは

配信日: 2018.08.18 更新日: 2020.04.07

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障害がある場合は老齢年金に加算があることも!「障害者特例制度」を利用する時のポイントとは
公的年金制度で障害がある場合に受けられる障害年金は知られていますが、障害年金ではなく、老齢年金においても障害があることによる特例の加算もあります。
 
それが60歳台前半から支給される特別支給の老齢厚生年金の障害者特例です。
 
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

障害者特例制度の特徴

昭和24年4月2日~昭和36年4月1日生まれの男性、昭和29年4月2日から昭和41年4月1日生まれの女性は、それより前の世代の人と異なり、60歳から65歳までの特別支給の老齢厚生年金のうち、1階部分の定額部分が支給されず、2階部分の報酬比例部分しか支給されません(【図表1】。
 
女性の共済加入期間部分に関する年金は男性と同じ支給開始年齢です)。
   


 
しかし、障害があって年金制度上の障害等級1級、2級、3級(障害が重いほうから1級、2級、3級。)に該当すれば、特例が認められ、その定額部分が加算されることになります。加算が始まるのは少なくとも報酬比例部分を受けられるようになって以降ですが、これは老齢年金としての特例による加算です。障害年金(障害基礎年金や障害厚生年金)とは異なります。
 
障害年金を受給するためには、障害等級に該当するだけでなく、障害の原因となる病気やケガの初診日(病院等で初めて医師の診療を受けた日)を特定させる必要があり、保険料の納付要件も満たす必要があります。
 
それだけ受給のための要件としても厳しくなりますが、この障害者特例は障害等級に該当さえすれば受けられることになります。
 

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障害者特例制度による加算

報酬比例部分がこれまでの給与や賞与、厚生年金加入期月数に応じて金額が決まるのに対し、定額部分は1,625円(平成30年度)に厚生年金加入月数(上限480月)をかけて計算します。厚生年金加入期間が長い場合は定額部分も多くなりますので、大幅に加算がされる場合もあります。
 
また、自身の厚生年金加入期間が20年以上あり、65歳未満の一定の配偶者や高校卒業までの子(年金制度上の障害等級1,2級の障害がある場合は20歳未満の子)がいる場合は、定額部分に合わせて加給年金が加算されます。
 
配偶者加給年金は389,800円、子の加給年金は1人目、2人目の子は1人当たり224,300円、3人目以降は1人当たり74,800円になります(いずれも平成30年度の金額)。
 

障害者特例の注意点

ただし、この障害者特例により加算されるための条件は厚生年金被保険者でないことです。在職していて厚生年金被保険者になっている場合は、定額部分はもちろん加給年金は加算されません。
 
そして、障害者特例によって加算がされるためには障害者特例を受けるための請求手続きが必要です。原則として請求した月の翌月分からの支給となりますので、請求が遅れると加算も遅れることになります。
 
さらに、障害者特例はあくまでも老齢の年金です。障害年金は非課税なのに対し、老齢年金は雑所得として所得税の課税対象になります。
 
また、既に障害年金を受給する権利がある場合は、障害者特例の対象者にもなるでしょうが、障害者特例による老齢厚生年金と障害年金とどちらか選択して受給することになります。
 
両方は選択できません。報酬比例部分のみの老齢厚生年金が障害年金より低くても、障害者特例による加算された結果、老齢厚生年金のほうが多くなる場合もあるでしょうから、比較検討も必要でしょう(【図表2】)。
 


 
Text:井内 義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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