更新日: 2020.11.26 その他年金

結婚相手が年金を払っていなかった!(1) 払っていないと将来どうなる?

結婚相手が年金を払っていなかった!(1) 払っていないと将来どうなる?
結婚したばかりの若い夫婦。結婚すると、これから夫婦で日々や将来の家計のことを考えていく必要があります。
 
ところが、結婚相手がこれまで国民年金保険料を払っておらず、未納状態とわかった場合、将来、夫婦にどのような影響が出るのでしょうか。そして、この未納に対してどのような対応を取る必要があるでしょうか。
 
今回は未納だった場合にどのような不利益があるかについて解説します。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

未納の場合、将来の老齢年金が受けられない、年金額が少ない

結婚前から会社員として勤めていれば、厚生年金被保険者となり、毎月の給与から厚生年金保険料が控除されることになっています。
 
しかしそうでない場合は、国民年金第1号被保険者(20歳以上60歳未満が対象)となり、毎月国民年金保険料(2020年度:月額1万6540円)を納付する義務があります。この国民年金保険料を納めていないと未納扱いとなります。
 
結婚した相手の年金保険料について未納期間が多いと、相手が将来年金を受けられないことがあります。老齢基礎年金は10年以上の受給資格期間が必要で、老齢厚生年金はこれに加え、厚生年金加入期間が1月以上必要となっているためです。
 
保険料を納付した期間と、収入が少なく納められない場合に保険料の免除・猶予を受けた期間については受給資格期間に算入されますが、何もせず放置していた未納期間は算入されません。
 
自身はしっかり保険料を納めていて年金を受けられていても、未納だらけの配偶者は、このままでは老齢基礎年金も老齢厚生年金も受けられないことになりかねません。
 
また、老齢基礎年金は、納付月数や免除の種類ごとにその月数により金額が決まります(【図表1】の計算式)。収入が少なく免除を受けた場合、一部年金額に反映されるのに対し、免除を受けられるのに免除の申請をせず未納のままでは、その分の老齢基礎年金は0円で計算されます。

例えば、2009年4月以降の期間の60カ月分について、全額免除を受けていた場合と未納だった場合とでは、老齢基礎年金は年間4万8856円(78万1700円×60月×1/2/480月)の差がつきます。1年あたりの受給額で見てそれだけの差となりますが、老齢基礎年金は65歳から一生涯受け取れるため、生涯受給額で見ると大きな差がつくことになるでしょう。
 

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障害年金・遺族年金が受けられないことも

未納が多くて受けられなくなるのは、65歳以降の老齢基礎年金だけではありません。若い時にもし病気やケガによって障害が残った場合に受けられる障害年金、死亡した際に遺された家族が受けられる遺族年金も、未納が多いと受けられなくなることがあります。
 
障害年金も遺族年金も、一定の場合を除き、受給のためには保険料納付要件を満たしている必要があるからです。
 
障害年金は初診日の前日時点で、初診日の前々月までの被保険者期間のうち3分の2以上保険料の納付や免除(猶予も含む)の期間があること(原則要件)、あるいは、初診日の前々月までの直近1年間に未納期間がないこと(特例要件)、いずれかを満たす必要があります【図表2】。この納付要件を満たしていないと、いざという時に障害年金を受けられません。
 
遺族年金についても同様です。障害年金の初診日を死亡日に置き換えて、原則か特例のいずれかの保険料納付要件を満たしている必要があり、死亡日の前日時点での納付要件を満たしていないと、遺族は遺族年金を受給できません。
 
遺族年金は夫の死亡により妻が受給する場合が多いですが、未納の多い夫が亡くなり、妻が遺族年金を受給できないと、その後の収入面でかなり不安になるでしょう。

配偶者の未納状態に対して、これから取れる対策については「結婚相手が年金を払っていなかった!(2)」で取り上げますが、未納のままずっと放置すると、将来、あるいはいざという時に困ることになるでしょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー


 

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