結婚相手が年金を払っていなかった!(2) 今からでも納めることはできる?
配信日: 2020.11.27
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
今からでも間に合うことも! 過去の保険料について
未納が多い結婚相手が、結婚後も第1号被保険者となり続ける場合は、これから先の国民年金保険料については、まずはしっかり納めていく必要があります。
もし、収入が少ない場合には、保険料の免除・猶予を受けられる場合がありますので、その申請手続きを行う必要があります。免除・猶予を受けておけば、当該期間の保険料は10年以内であれば後から納めることができます。
結婚して以降の将来の分だけではありません。納めていない過去2年以内の分については今からでも間に合います。過去2年分の保険料については、さかのぼって納めることができ、また、免除・猶予についても2014年4月以降は、過去2年分をさかのぼって申請できます。
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早めに動くことが大事
しかし、2年さかのぼれるといっても、2年以内のいつでもよいわけではなく、早めにその納付あるいは免除・猶予申請をする必要があります。
障害年金を受給するためには、一定の場合を除き、保険料納付要件が問われます。初診日の前々月までに、3分の2以上納付・免除期間(猶予期間も含む)があること(原則要件)、直近1年間に未納がないこと(特例要件)、いずれかの要件を満たす必要があります。これは「初診日の前日」時点で判定されます。
障害の原因となる病気やケガはある日突然やってきますが、突然の病気やケガで病院に行くと、その日が初診日となります。初診日当日になってから、慌てて保険料を納付しても、あるいは免除・猶予の申請をしても、当該期間分は納付要件に必要な期間に含まれません。
つまり、未納扱いで判定されます。遺族年金についても同様で、「死亡日の前日」時点での納付要件が問われます。
【図表1】では、初診日・死亡日の当日に、その前々月までの1年分を納付しているため、初診日・死亡日の前々月までの直近1年間は未納扱いとなります。つまり、特例要件は満たせず、納付・免除が3分の2以上という原則要件を満たさないと、年金は受給できません。ずっと未納だった人は、この原則要件も満たせないでしょう。
一方、【図表2】では、当該1年分を初診日・死亡日の前日に納付しているため、初診日・死亡日の前々月までの1年は納付扱いとなり、直近1年間に未納なしという納付要件を満たせることになります。納付要件を満たし、障害年金あるいは遺族年金の受給に必要なその他の要件を満たせば、受給が可能になります。
免除・猶予を受ける場合についても同様に、初診日や死亡日の前日までに申請をしていないといけません。
また、保険料免除のうち、一部免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除)を受ける場合は、申請するだけでなく、免除された部分以外の残額の保険料を納付することで初めて免除期間として扱われますので、初診日・死亡日の前日までに、免除申請に加え、残額納付が必要です。
配偶者の保険料を代わりに払うと控除の対象に
結婚後の家計は夫婦で考えていくことですので、未納だった配偶者が払えない場合に、配偶者の代わりに自身が払う方法もあります。夫の保険料を妻が払う場合、またはその反対もあるでしょう。
生計を一にする配偶者の保険料を支払った場合、税法上、払った本人の社会保険料控除の対象です。配偶者分を支払った本人に収入がある場合は、税金の負担を軽減できます。
以上のような、未納についての対策がありますが、未納が多くて将来年金が受けられないと、あるいは年金が少ないと、将来の計画について変更を余儀なくされることにもつながりますので、結婚を機に、夫婦で話し合い、対策を講じましょう。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー