もしも夫・妻が亡くなったら、いくら受け取れる? 会社員の妻を亡くした、会社員の夫の場合

配信日: 2020.12.25

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もしも夫・妻が亡くなったら、いくら受け取れる? 会社員の妻を亡くした、会社員の夫の場合
「もしも夫・妻が亡くなったら・・・受け取れるお金は(3)」では、「妻が専業主婦、夫が会社員」で、その妻が亡くなった場合に夫が受けられる給付についてでした。
 
第4回は夫婦共働きで、会社員だった妻が亡くなった場合の会社員の夫への給付について取り上げます。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

子がいれば遺族基礎年金

会社員の妻が亡くなった場合に、18歳年度末までの子(一定の障害のある場合は20歳未満の子)がいれば、生計を維持されていた夫に遺族基礎年金が支給されます。
 
前回述べたとおり、2014年4月以降は妻が亡くなったことによる夫も遺族基礎年金の対象になっており、その年金額についても基本額78万1700円+子の加算となります。
 
また、遺族年金生活者支援給付金も所得要件を満たせば支給対象です。当然ながら、夫を亡くした妻の場合と同様、子がいない場合は遺族基礎年金の対象になりませんし、遺族年金生活者支援給付金の加算もありません。
 
なお、遺族基礎年金が支給されない場合に、死亡一時金が支給される場合があります(その要件も前回までに述べたとおりです)。
 

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夫が受ける遺族厚生年金には年齢制限がある

妻に厚生年金加入期間があると、夫は遺族厚生年金の対象です。会社員として厚生年金加入期間が長いと、短い場合と比べ、遺族厚生年金も多くなると考えられます。
 
しかし、妻が亡くなった場合の夫への遺族厚生年金については、遺族基礎年金とは異なり、夫に年齢要件があり、妻が亡くなった当時、夫が55歳以上であることが条件です。55歳未満の場合は対象となりません。
 
そして、55歳以上であればすぐに支給されるわけではなく、実際の支給は60歳以降です【図表1】。
 


 
ただし、遺族厚生年金に併せて遺族基礎年金が受けられる場合は、55歳以上60歳未満の夫も遺族厚生年金が受けられます【図表2】。
 

 
夫が亡くなって妻に支給される遺族厚生年金には妻の年齢要件がないのに対し、その逆の場合は、この年齢要件があるために対象となる人も限られてくることになります。また、40歳以上65歳未満の夫には、年間58万6300円(2020年度)の中高齢寡婦加算もないため、夫死亡で妻が受ける場合と比べ、その分受給額が少なくなります。
 

65歳以降の遺族厚生年金も少ないことも

65歳を迎えると、「もしも夫・妻が亡くなったら・・・受け取れるお金は(1)(2)」で述べた老齢基礎年金+老齢厚生年金+差額支給の遺族厚生年金で受給します。計算方法は妻が受給する遺族厚生年金の場合と同様です。
 
ただし、共働きで夫婦とも厚生年金に加入していたとしても、妻の厚生年金加入期間中の給与や賞与が少なく、その結果、掛けた厚生年金保険料が少ないと、妻が亡くなって計算される遺族厚生年金の額より、夫の老齢厚生年金の額が圧倒的に高くなることがあります。
 
65歳以降の夫への経過的寡婦加算(1956年4月1日以前生まれの妻が対象)の加算もありません。従って、65歳以降についても、夫の遺族厚生年金は少なくなったり、支給されなかったりすることがあることを想定しておく必要があるでしょう。
 
以上、全4回に分けて取り上げましたが、夫婦のうち、どちらが先に亡くなるかはわかりません。夫婦の職業や年収、年金記録などを把握しながら、万が一の時のため、どの給付が受けられるか、一度確認してみてはいかがでしょうか。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
 

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