更新日: 2021.07.13 年金

60歳になったときに、どのような年金の手続きが発生する?

執筆者 : 辻章嗣

国民年金の加入義務は、60歳で終了します。一方、老齢年金の受給は原則65歳からですが、60歳まで繰り上げることもできます。今回は、60歳になったらどのような年金の手続きが必要となるか解説します。
 
辻章嗣

執筆者:

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

辻章嗣

執筆者:

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
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60歳の時点で年金に関する手続きは基本的に必要ありません

60歳になると国民年金の加入義務が終了しますが、特に手続きをする必要はありません。国民年金保険料を口座引き落としなどで納付している第1号被保険者の方は、60歳の誕生月以降、保険料の引き落としが自動的に停止されます。
 
なお、60歳以降で年金に関して最初に必要となる手続きは、老齢年金の請求手続きです。老齢基礎年金の請求に必要な「年金請求書」などは、65歳の誕生月の約3ヶ月前に届き、65歳の誕生日の前日以降に請求手続きをすることになります(※1)。
 
ただし、以下のような方は60歳以降に年金に関する手続きが必要となりますので、その点について詳しく解説していきます。
 

1. 60歳以降も国民年金に任意加入する方
2. 特別支給の老齢厚生年金を受給される方
3. 老齢年金を繰り上げ受給される方

 

60歳以降も国民年金に任意加入する方

老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取ることができます。また、20歳から60歳までの40年間の全期間が保険料納付済(国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合などの加入期間を含む)である場合、満額の老齢基礎年金を受給することができます。
 
なお、老齢厚生年金を受給する場合にも、老齢基礎年金を受けるために必要な受給資格期間を満たす必要があります(※2)。
 
そこで、60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たすことができない場合や、保険料納付済期間が40年に満たないために老齢基礎年金を満額受給できない場合は、60歳以降も国民年金に任意加入することができます。ただし、厚生年金の被保険者や共済組合などの加入者は、任意加入することはできません(※3)。
 
任意加入を希望する方は、住居地の市区町村役場の年金窓口、もしくはお近くの年金事務所または街角の年金相談センターに年金手帳、預金通帳および金融機関への届出印を持参して手続きしてください。なお、任意加入は60歳の誕生日の前日より手続きをすることができ、申し出があった月からの加入となります(※3)。
 

特別支給の老齢厚生年金を受給される方

昭和60年の法律改正により、老齢厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられました。その際、受給開始年齢を段階的、かつスムーズに引き上げるために「特別支給の老齢厚生年金」が導入されました(※4)。
 


 
特別支給の老齢厚生年金が支給される年齢は下表のとおり、男女別で生年月日ごとに規定されています。支給開始年齢の誕生月の約3ヶ月前に「年金請求書」が届きますので、当該年齢の誕生日の前日以降にお近くの年金事務所または街角の年金相談センターで請求手続きをしてください(※5)。
 

 
なお、在職中の方は報酬によって年金が支給停止となる場合もありますが、特別支給の老齢厚生年金は繰り下げることはできませんので、支給開始年齢になったら請求手続きをすることをお勧めします。
 

老齢年金を繰り上げ受給される方

受給資格のある老齢年金は、60歳から繰り上げ受給することができます。繰り上げ受給を希望される方は、60歳の誕生日以降に「老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書」をお近くの年金事務所または街角の年金相談センターに提出してください。
 
老齢年金の繰り上げを請求した場合、請求した翌月分から以下の式で算出された減額率で減額された年金が支給されます(※6)。
 
減額率=(繰り上げ請求月から65歳到達日の属する月の前月までの月数)×0.5%
 
なお、令和2年の年金制度改正に伴い、令和4年4月1日以降60歳に到達する方から減額率が1月当たり0.5%から0.4%に変更となります(※7)。
 

まとめ

60歳になると国民年金の加入義務が終了し、国民年金保険料を支払う必要がなくなります。しかしながら、老齢年金の受給は65歳からになりますので、60歳の時点で年金に関する手続きは基本的にはありません。
 
なお、60歳以降も国民年金に任意加入を希望される方は60歳の誕生日の前日以降に加入手続きを行いましょう。また、特別支給の老齢厚生年金を受給することができる方は生年月日に応じた支給開始年齢に到達した時点で、老齢年金の繰り上げ受給を希望される方は60歳以降の希望時に、それぞれの年金の請求手続きをしてください。
 
出典
(※1)日本年金機構 老齢年金の請求手続き
(※2)日本年金機構 老齢年金
(※3)日本年金機構 任意加入制度
(※4)日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金
(※5)日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き
(※6)日本年金機構 65歳前に老齢年金の受給を繰上げたいとき
(※7)厚生労働省 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士