死亡一時金の制度は知らないと損するかも。貰えるものは貰っておく。
配信日: 2018.01.09 更新日: 2019.08.20
あるいは受給資格期間を満たしていても年金を受け取る時が来る前に亡くなられた場合、一定の要件を満たせば、その遺族に死亡一時金が支給されます。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
死亡一時金の支給要件とその対象者
死亡一時金は、国民年金法の制度で、年金を受け取らないまま亡くなられた場合に、その遺族に支給される、保険料掛け捨て防止の一時金制度です。
死亡一時金が支給されるには、亡くなった人の保険料納付要件が問われ、死亡日の前日において、死亡日の前月までの国民年金の第1号被保険者や任意加入被保険者としての納付月数が36月以上必要です。
上記のような保険料の納付期間でなく、国民年金第1号被保険者の保険料の免除期間があった場合も、免除の種類に応じて、月数がカウントされます。4分の1免除期間は4分の3月、半額免除期間は2分の1月、4分の3免除期間は4分の1月となりますので、納付と免除で合計36月相当あればよいことになります。
死亡一時金の支給対象となる遺族は、亡くなった人と生計を同じくする、①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹です。亡くなった当時、亡くなった人と遺族が住民票上、同一住所・同一世帯で同居していた場合や、同一住所・別世帯や別住所でも、生計を同じくしていることを申し立てて、生計が同じであると認められた場合に、支給されることになります。死亡一時金を受けられる遺族の優先順位は①②③④⑤⑥の順となっており、この中で最も優先順位の高い遺族に支給されます。
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死亡一時金の額
死亡一時金の金額は、前述の保険料納付等の月数の合計に応じて決まり、月数の合計により120,000円~320,000円になります(【図表1】)。また、付加保険料の納付が36月以上あった場合は、一律8,500円が加算されます。
国民年金法の年金が支給される場合は死亡一時金が支給されない
保険料の掛け捨て防止の制度ですので、亡くなった人が老齢基礎年金や障害基礎年金の支給を受けたことがあるときは、死亡一時金は支給されないことになります。また、残された遺族に遺族基礎年金が支給されるときも、死亡一時金は支給されません。
さらに、遺族である妻が死亡一時金と同時に寡婦年金を受けることができるときは、両者のうちどちらかの選択受給となります。
ただし、以上のいずれの年金も国民年金法の年金となり、亡くなった本人も遺族も国民年金法の年金を受けないことが死亡一時金の支給要件です。
従って、60歳台前半で、厚生年金保険法による特別支給の老齢厚生年金のみを受給していた人が亡くなった場合には、遺族に死亡一時金が支給されることがある、ということになります。
Text/井内義典(いのうち・よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー