更新日: 2024.07.29 その他年金

65歳以上で「年金生活者支援給付金」が支給される要件とは

65歳以上で「年金生活者支援給付金」が支給される要件とは
1989年(平成元年)4月に初めて導入された消費税ですが、当初3%から始まった税率も、これまで3回の引き上げが段階的に行われてきました。
 
その結果、2019年10月からは税率が10%となりました。そして消費税率10%の引き上げに合わせて「年金生活者支援給付金」が始まりました。どのような人が年金生活者支援給付金を受給できるのか見ていきます。
小山英斗

執筆者:小山英斗(こやま ひでと)

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
https://miraiken.amebaownd.com/

年金生活者支援給付金とは

年金生活者支援給付金は所得が一定額以下の年金生活者の経済的支援のために、年金に上乗せされて給付されます。そしてその財源は引き上げられた消費税増税分の一部が活用されています。
 
年金生活者支援給付金には受給している基礎年金に応じて次の3種類の給付金があり、支給を受けるには各給付金に応じた受給要件を全て満たしている必要があります。
 
なお、受給要件にある収入金額には障害年金・遺族年金などの非課税収入は含まれません。また、給付額は毎年度、物価変動に応じて改定されます。以下の給付額は2021年度(令和3年度)分の数字となります。
 

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老齢年金生活者支援給付金

 

受給要件 ・65歳以上の老齢基礎年金の受給者
・前年の公的年金の収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得など)の合計額が87万9900円(※)以下
・世帯全員の市町村民税が非課税
給付額 月額5030円(基準額)

※毎年度、老齢基礎年金の額を勘案して改定されます。数字は2021年度(令和3年度)分。
 
老齢年金生活者の支援給付金保険料は納めた期間などによって給付額が異なり、次の(1)と(2)の合計額となります。


(1)保険料納付済期間に基づく額(月額)
  =(5030円 × 保険料納付済期間) ÷ 480月
 
(2)保険料免除期間に基づく額(月額)
  =(1万845円(※) × 保険料免除期間) ÷ 480月

※保険料4分の1免除期間の場合は5422円

例えば、保険料納付済期間と保険料全額免除期間に応じた給付額は以下の表のとおりです。

    

2021年度の給付金額
保険料納付済期間 保険料全額免除期間 給付額(月額) 老齢基礎年金(月額) 老齢基礎年金+給付額(月額)
480月 0月 5030円 6万5075円 7万105円
240月 0月 2515円 3万2537円 3万5052円
240月 240月 7938円 4万8806円 5万6744円

※厚生労働省「給付金の支給要件と給付額の計算方法より」と日本年金機構「令和3年4月分からの年金額等について」より筆者作成
 
なお、老齢年金生活者には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される場合があります。
 
前年の年金収入額とその他の所得額の合計が77万9900円を超え87万9900円以下の人には、(1)に一定割合【(87万9900円-前年の年金収入と所得の合計額)÷ 10万円】を乗じた補足的老齢年金生活者支援給付金が支給されます。
 

障害年金生活者支援給付金

 

受給要件 ・障害基礎年金の受給者
・前年の所得が462万1000円(※)以下
給付額 月額6288円(障害等級1級の人)
月額5030円(障害等級2級の人)

※扶養親族などの人数により増額されます。
 

遺族年金生活者支援給付金

 

受給要件 ・遺族基礎年金の受給者
・前年の所得が462万1000円(※)以下
給付額 月額5030円

※扶養親族などの人数により増額されます。
 

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年金生活者支援給付金を受給するための手続き

年金生活者支援給付金の給付を受けるためには、年金生活者支援給付金の認定請求という手続きを行う必要があります。
 
65歳になって老齢基礎年金を新規に請求する人は、65歳になる3ヶ月前に届く老齢基礎年金の請求書に同封されている「年金生活者支援給付金請求書」に記入して、老齢基礎年金の請求書と一緒に年金事務所に提出します。
 
障害基礎年金、遺族基礎年金の受給を始める人は、年金の請求手続きをするときに年金生活者支援給付金の請求手続きを同時に行います。
 
また、すでに基礎年金の受給者で、2020年(令和2年)分の所得額が低下したことなどにより、新たに年金生活者支援給付金を受け取る要件を満たしている場合、日本年金機構から送られる簡易な請求書(はがき型)で請求することができます。
 

まとめ

年金生活者支援給付金の認定請求手続きは、一度行えば翌年以降手続きを行う必要はありません。ただし、受給要件から外れ支給対象外となった人が、その後再び受給要件を満たした場合には、再度認定請求の手続きが必要です。
 
いずれにせよ、認定請求手続きをすることが前提となっていますので、要件を満たしているのであれば忘れずに請求手続きを行うようにしましょう。
 
出典
日本年金機構 年金生活者支援給付金請求手続きのご案内(令和3年4月版)
厚生労働省 給付金の支給要件と給付額の計算方法
日本年金機構 令和3年4月分からの年金額等について
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)

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