更新日: 2019.01.10 iDeCo(確定拠出年金)

「おすすめの制度」と言われている「確定拠出年金」 向いていない人はこんな人

執筆者 : 塚越菜々子

「おすすめの制度」と言われている「確定拠出年金」 向いていない人はこんな人
今まで一部の人が加入対象だった個人型確定拠出年金。

2017年に公務員や主婦も加入が可能になり、徐々にその利用が広がってきています。お金をかけることで節税になったり、通常は運用でのもうけに20%近くかかる税金が、かからなかったり、受け取るときにも税金がかかりにくいなど、大きなメリットがあります。

また確定拠出年金は、老後の資産形成として大変注目されています。多くのファイナンシャルプランナーはその制度を進めていますし、筆者もその1人です。ですが、この制度を利用するのに向いていない人もいます。どんな人でしょうか。
塚越菜々子

Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
https://mamasuma.com

そもそも所得税を払っていない人

ほとんどすべての人が加入できるようになったとはいえ、「節税効果」とはそもそも税金を払っている人に効果があるものです。
 
年間103万円以下で働くパート主婦や、収入がない専業主婦などは「節約する税金」そのものがないわけですから、節税効果を得ることはできません。
 
また、いわゆる住宅ローン控除などがあり、そもそも所得税や住民税から限界まで控除されてしまっている場合は、同じように節税のメリットは得にくくなっているといえるでしょう。
 

資産運用するということに拒否感がある人

個人型確定拠出年金は、利用する金融機関によって金額はまちまちですが最低でもひと月あたり167円は手数料がかかります。ひと月の掛け金が1万円だとしたら、手数料は1.67%。定期預金の利息が0.01%とすると167倍の手数料がとられるわけですから、決して無視することはできません。
 
確定拠出年金のなかで選べる商品には定期預金もありますが、それを選んでしまうと手にすることができる利息以上に手数料がかかり、資産が目減りしてしまう可能性があります。
 
そのためそれほどのハイリスクを取らなくても、手数料程度の利益が出られる運用商品でないと、せっかく預け入れたのに減ってしまうということが起こってしまいます。
 
また、ローリスクの商品は安心かもしれませんが、狙えるリターンも小さくなります。利益がほとんど出ていなければ「運用益非課税」というメリットも享受しにくくなるのは確かです。
 
最低でも手数料以上に利益が出るものや、より大きな効果を期待したければ、確定拠出年金のなかで、運用益を狙える商品を選んだほうがいいのかもしれません。
 

すぐに使える現金・預金が少ない人

確定拠出年金はその名のとおり「年金」です。10年以上加入した人でも、受け取れるのは一番早くて60歳です。そこまでは、原則お金を手にすることはできませんので注意が必要です。
 
40歳から始めたら、20年近くは払戻すことのできない固定性の高い資産になってしまいます。
 
家計の相談を受けていて確定拠出年金の話をするときは「老後の自分への仕送り」と説明します。
 
仕送りは今の自分たちの生活が成り立ってからでないと、かえって悪影響が出てしまうこともあります。まずは今の生活や、近い将来で必要になるお金、老後より前に必要になる子どもの教育費などが、きちんと準備できていることが重要です。
 
老後より前に必要になるお金をしっかり把握しておきましょう。
 
確定拠出年金は長期の資産形成のためにはとても有利な制度です。そのお得具合をあちこちで耳にしていれば、とにかく始めなければ損してしまう、と感じてしまうのも無理はありません。
 
ですが、確定拠出年金にかかわらず、制度をよく理解してから始めるのが重要です。
 
長期の資産形成ならつみたてNISANやNISAもあります。保険を使うという手もあるかもしれません。制度と自分の状況をよく確認して、自分にぴったりの方法を選び取ってください。
 
Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催

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