更新日: 2022.08.17 その他年金

年金だけで暮らせないとき「年金生活者支援給付金」と「生活保護」どちらを受けるべき?併用はできる?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

年金だけで暮らせないとき「年金生活者支援給付金」と「生活保護」どちらを受けるべき?併用はできる?
世界情勢の変化によって物価の上昇が予測されています。年金生活者にとっては、厳しい家計管理が要求されるようになるでしょう。そうはいっても、節約にも限界があります。
 
そこで、公的な生活費補助制度の申請を検討する人も増えてきているようです。この記事では、年金生活者支援給付金と生活保護の関係について考えていきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

年金生活者支援給付金制度と生活保護制度の目的の違い

年金生活者支援給付金は公的年金を受給している人に対して適用される制度です。その前提となる年金制度と生活保護制度は、そもそもの目的が異なります。
 

・年金制度

すべての国民を対象に生活の基礎的な部分を保障するものです。基礎年金の部分については、現在の収入や資産には関係なく、納めた保険料に応じた額を受け取ることができます。
 

・生活保護制度

生活に困窮する人に対して最低生活を保障するものです。受給者本人の収入や資産が厳密に調査され、生活保護基準により算出される最低生活費との差額が税金から給付されます。なお、生活保護制度では他法他施策が優先されるため、年金などの受給可能な給付金はすべて受けておく必要があります。
 
以上のような制度の目的の違いはありますが、年金生活者支援給付金と生活保護の併用は可能です。ただし、生活保護制度の他法他施策優先の考えかたから、受給している年金と年金生活者支援給付金、およびその他の収入や資産などの評価額と最低生活費の差額が生活保護費となります。
 

年金生活者支援給付金の受給資格

生活保護を申請しようとすれば、事前に年金生活者支援給付金の申請は済ませておく必要があります。ここで、年金生活者支援給付金について申請に役立つ情報を確認しておきましょう。
 
年金生活者支援給付金は、現在給付されている年金に上乗せして給付されます。国民年金には老齢年金、障害年金、遺族年金という3種類のカテゴリがあります。老齢年金とは、65歳以降に「老齢基礎年金」を生涯受け取ることができる年金です。
 
障害年金では、傷病による障害が残ったときに、その程度に応じて「障害基礎年金」が給付されます。遺族年金は、年金加入者が亡くなったときに、配偶者や子どもに「遺族基礎年金」が支給される仕組みです。
 
以下でそれぞれのケースについて、年金生活者支援給付金の受給資格を確認してみましょう。
 

・老齢年金

原則65歳以上の老齢基礎年金の受給者で、同一世帯の全員が市町村民税非課税でなければなりません。また、前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が88万1200円以下であることが必要です。
 

・障害年金

障害基礎年金の受給者であること、また前年の所得が472万1000円以下であることが必要です。
 

・遺族年金

遺族基礎年金の受給者であること、また前年の所得が472万1000円以下であることが必要です。
 

それぞれの制度の目的を理解して活用しましょう

制度の目的の違いはありますが、年金生活者支援給付金と生活保護の併用は可能です。どちらかを選ぶ必要はないのですが、生活保護費をもらうには、他の法律や補助制度などによる収入を得ることが優先されます。
 
また、生活保護受給者には資産の処分などさまざまな制限が課せられる点に注意が必要です。それぞれの制度の目的を理解して活用することをおすすめします。
 

出典

日本年金機構 知っておきたい年金のはなし
厚生労働省 生活保護及び児童扶養手当に関する問題提起
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ライターさん募集