更新日: 2024.12.02 その他年金
専業主婦で子ども1人を育てています。夫にもしものことがあったら大変だなと考えてしまうことがあります。子育て中なのに「遺族年金」を受け取れないケースはあるのでしょうか?
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
遺族基礎年金について
遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。まず、「遺族基礎年金」について解説します。
1. 受給資格
次の(1)から(4)のいずれかの要件を満たしている方が亡くなったときに、支給されます。
(1) 国民年金の被保険者期間に亡くなった場合
(2) 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の人で、日本国内に住所があった人が亡くなった場合
(3) 老齢基礎年金の受給権者であった人が亡くなった場合
(4) 老齢基礎年金の受給資格を満たした人が亡くなった場合
2. 受給対象者
亡くなった人によって生計を維持されていた遺族、すなわち「子のある配偶者」または「子」が受給対象となります。
ここでいう「子」とは、18歳到達年度の末日(3月31日)までの子ども、または20歳未満で障害等級1級・2級に該当する状態にある子どものことをいいます。なお、遺族基礎年金は「子のある配偶者」もしくは、「子」どものどちらか一方しか受け取ることができません。
以上より、本記事のケースで、若くして会社員であった夫を亡くした場合には、残された妻もしくは「子」に「遺族基礎年金」が支給されます。その内容は、次のとおりです。
3. いつまで、いくら受給できるのか?
(1) いつまで?
亡くなった人の配偶者が受け取る場合は、子どもが18歳になる年度の3月31日まで「遺族基礎年金」を受給できます。子が受け取る場合は、子が18歳になる年度の3月31日まで受給できます。
なお、子が障害等級1級・2級の状態にある場合には、20歳になるまで受給できます。
(2) いくら受給できる?
■子のある配偶者が受け取る場合は、以下のとおりですが、本記事のケースでは、現在、幼い子を子育てしているので、Aのケースであるとします。
A:昭和31年4月2日以後生まれの人:81万6000円+子の加算額※1
B:昭和31年4月1日以前生まれの人:81万3700円+子の加算額※1
■子が受け取る場合
81万6000円+2人目以降の子の加算額※1
なお、2人以上の子が対象となる場合には、上記金額を子の数で割った額が、1人あたりの受給額です。
(※1)
・1人目および2人目:各23万4800円
・3人目以降:各7万8300円
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遺族厚生年金について
次に、遺族厚生年金について解説します。
1. 受給資格
次の(1)から(5)のいずれかの要件を満たしている方が亡くなったときに、支給されます。
(1) 厚生年金保険の被保険者期間中に亡くなった場合
(2) 厚生年金の被保険者期間に初診日のある病気やけが原因で初診日から5年以内に亡くなった場合
(3) 1級・2級の障害厚生(共済)年金の受給者が亡くなった場合
(4) 老齢厚生年金の受給権者が亡くなった場合
(5) 老齢厚生年金の受給資格を満たした人が亡くなった場合
2. 受給対象者
亡くなった人によって生計を維持されていた下記遺族で、番号の順番に受給権が与えられます。
(1) 子のある配偶者
(2) 子
(3) 子のない配偶者
(4) 父母
(5) 孫(※2)
(6) 祖父母
(※2)
18歳到達年度の3月31日までの孫、または20歳未満で、障害等級1級・2級の状態にある孫
以上、本記事のケースで、若くして会社員であった夫を亡くした場合には、残された妻は、最優先で「遺族厚生年金」を受給することができます。その内容は、以下のとおりです。
3. いつまで、いくら受給できるのか?
(1) いつまで?
妻は、再婚などをしない限り、終身にわたり遺族厚生年金を受給できます。
(2) いくら受給できるのか?
亡くなった夫が受け取る予定だった老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3を受給できます。
まとめ
会社員の夫を持つ専業主婦が、子育て中に、夫にもしものことがあった場合には、妻は「遺族基礎年金」および「遺族厚生年金」を受給できます。
老齢基礎年金の受給額は子どもが1人の場合で105万800円/年、老齢厚生年金は亡くなった夫が受け取る予定だった報酬比例部分の4分の3を受給できます。もしものときには忘れずに手続きしましょう。
出典
日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー