年金を繰下げしていますが、お風呂が壊れて資金が必要に…… 貯金がないので繰下げをやめて今から年金を受給できますか?

配信日: 2026.04.03
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年金を繰下げしていますが、お風呂が壊れて資金が必要に…… 貯金がないので繰下げをやめて今から年金を受給できますか?
Aさんは67歳、現在も会社員として働いているため、年金を受け取ることなく繰下げて給与のみで生活しています。そのようななか、自宅のお風呂が壊れて急にその費用が必要となりました。「繰下げをやめて今から年金を受給したい」と考えましたが、実際に年金の繰下げはすぐにできるものなのでしょうか?
田久保誠

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

年金の繰下げ(繰上げ)とは、どのような特徴があるの

老齢基礎年金・老齢厚生年金は、原則として65歳から支給されます、しかし、上記のAさんのようにまだ現役で働いており、年金を受給しなくても生活できる等の場合、66歳から最大75歳までの間で年金の受給開始の時期を遅らせることができ、それを「年金の繰下げ受給」といいます。
 
その場合のメリットとして、(65歳に達した月から繰下げ申し出月の前月までの月数)×0.7%で年金額を増額させることができ、75歳まで繰下げれば84%増額します。
 
また、老齢厚生年金、老齢基礎年金は両方でも一方だけでも繰下げできますので、ご自身のライフスタイルに合わせることができます。
 
逆に、65歳以前に年金をもらうことを「年金の繰上げ受給」といい、繰上げることによって年金額が減少します。その場合の減額は(繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数)×0.4%が減額されます(昭和37年4月2日以降生まれの方の場合)。
 

繰下げをやめたい場合は

年金の繰下げをやめたい場合は、年金事務所に行って手続きをします。手続きには3ヶ月程度かかりますので、Aさんはすぐにもらうというわけにはいきません。年金事務所に行く際には前もって予約し、必要書類を聞いたうえで行くほうが時間の短縮になりますので、ご自身でどこの年金事務所に行くかも決めておいたほうが良いでしょう。
 

受け取る方法は2つある

Aさんは67歳で一度も年金を受給していないので、受給の方法は2つあります。
 
まず、現時点での増額率(67歳0ヶ月として)16.8%が増額された分をこれから先受け取っていく方法です。
 
次に、過去の年金をまとめて受け取る方法で、これは65歳時点の年金にさかのぼって受け取ることになり、それまでも、これからも増額率分はもらうことができません。
 
Aさんのように多額の費用が急に必要な場合は、こちらの方法が良いように見えますが、一括で受給することによりその年の所得が増えることによって税金や社会保険料(自己負担額や保険料)に影響が出てくる場合もありますので注意が必要です。
 
ちなみに、70歳を超えてからさかのぼって受給する場合は増額された年金を一括でもらうことができ、その後も増額分を受給できます。ただし、前述のように所得の増加によって税金等に影響が出てくることがありますので注意が必要です。
 

急なお金が必要になったときのために

Aさんはご自身が給与所得だけで暮らしていけることを前提とし、預貯金しかなかったのが今回の問題になった要因だと思われます。
 
現役時代に購入した住宅はメンテナンスが定期的に必要ですし、外壁等の大掛かりな修繕を行っていく必要があります。そのようの場合のことも想定して、ある程度の手持ち資金は用意しておく必要があります。
 
また、賃貸住宅に入居されていても更新時に費用がかかりますので、生活費プラスアルファの資金はある程度用意しておくようにしましょう。
 
繰下げによる加算を老後資金として計算している場合、特に60代で繰下げを急きょやめる場合には、それ以降の年金による収入額が変わってきます。その意味でもやはり、ある程度の資金も用意しておくようにすることが老後の安心につながります。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 年金の繰上げ受給
 
執筆者 : 田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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