4月から「夫の年金が月3万円も減った」と嘆く妻。65歳になると“急に減額される”なんて…何か悪いことをしましたか?「加給年金」が停止になる要件・受給額を解説

配信日: 2026.04.25
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4月から「夫の年金が月3万円も減った」と嘆く妻。65歳になると“急に減額される”なんて…何か悪いことをしましたか?「加給年金」が停止になる要件・受給額を解説
年金を受給している世帯において、妻が65歳を迎えた途端に夫の年金受給額が月に約3万円減るケースは珍しくありません。「何かペナルティーを受けたのか」と焦ってしまうかもしれませんが、そういうわけではなく、これは日本の年金制度における「加給年金」の仕組みによるものです。
 
本記事では、特定の年齢に達すると支給が止まる加給年金と、その後に生じる制度の変化について解説します。
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年金が突然減額される原因「加給年金」の仕組み

厚生年金に加入していた人が老齢厚生年金を受け取る際、要件を満たす配偶者や子どもがいる場合に上乗せされるのが「加給年金」です。年金制度における「家族手当」のような位置づけと言えます。
 
加給年金を受け取るための主な条件は、受給者本人の厚生年金保険の加入期間が20年以上あることです。そのうえで、本人に生計を維持されている65歳未満の配偶者または子がいる場合に支給されます。
 
ここで重要になるのが「配偶者が65歳未満」という条件です。配偶者が65歳に達すると、自身の老齢基礎年金の受給が始まるため、夫に支給されていた配偶者加給年金は自動的に打ち切られるのです。妻が65歳になったら夫の年金が減る理由はここにあり、手続きのミスや不利益な処分を受けたわけではありません。
 

加給年金の具体的な受給額と家計への影響

では、加給年金として支給される具体的な金額を確認しておきましょう。配偶者に対する加給年金額は、基本額と特別加算額から構成されています。
 
令和8(2026)年度の配偶者に対する基本の加給年金額は年間24万3800円です。また、受給権者の生年月日に応じて特別加算も行われ、昭和18(1943)年4月2日以降生まれの場合、特別加算額は年間17万9900円となります。
 
合計すると年間約42万3700円、月額にして約3万5000円の上乗せとなる計算です。なお、特別加算額は受給権者の生年月日によって異なり、若い世代ほど加算額が多くなります。
 
上記のケースの場合、配偶者が65歳になり加給年金が停止されると、家計から年間約40万円、月額換算で約3万円強の収入が減少します。年金を主な収入とする世帯にとって、月額3万円規模の減額は家計に少なくない影響を及ぼすことがあり、想定外の収入減に戸惑う人が多いのも無理はありません。
 

妻が65歳を迎えた後に始まる「振替加算」の仕組み

加給年金が打ち切られた後、要件を満たした場合には、配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」という形で一定額が上乗せされる制度があります。夫の加給年金が妻の年金に振り替えられるイメージです。
 
なお、加給年金を受給していた人の配偶者への振替加算への切り替えは、原則として手続き不要で自動的に行われます。
 
ただし、振替加算の金額は加給年金と同額ではありません。加算額は配偶者の生年月日に応じて決まり、年齢が若くなるほど少なくなる設計です。昭和30年代前半生まれの人の場合だと、年間約3万円〜5万円程度の加算にとどまります。
 
さらに注意が必要なのは、昭和41(1966)年4月2日以降に生まれた人には振替加算の制度自体が適用されない点です。加給年金が停止された後、振替加算による補填が一切受けられない世代も存在することを、あらかじめ頭に入れておくとよいでしょう。
 

世帯全体での年金受給額の変化と手続きの注意点

加給年金は、要件を満たしていても自動的に支給が始まるわけではありません。加給年金を受給するためには、老齢厚生年金を請求する際に、戸籍謄本や住民票などを添えて所定の届出書を提出する(または本人や加給年金額の対象者のマイナンバーを記載する)必要があります。
 
また、振替加算についても、一部の人は「老齢基礎年金裁定請求書」に必要事項を記入することで手続きが完了しますが、状況によっては別途届出が求められるケースもあります。手続きを怠ると、受給する権利があるにもかかわらず年金を受け取れない「もらい忘れ」につながる可能性があります。
 
自身の年金記録と受給見込み額については、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」や、日本年金機構のインターネットサービス「ねんきんネット」を活用して、日頃から把握しておくことが重要です。
 

制度の仕組みを理解し、正しい年金受給に備えましょう

配偶者が65歳を迎えるタイミングで夫の年金支給額が月額約3万円減少する現象は、加給年金制度の終了による変更であり、異常なことではありません。
 
ただし、この仕組みを事前に把握していないと、家計の見通しに大きなずれが生じます。その後に始まる振替加算は加給年金より金額が大幅に少なく、生年月日によっては支給されないケースもあるでしょう。
 
年金制度は複雑で、自身の世帯にどのような制度が適用されるかを正確に理解することが大切です。収入の変化をあらかじめ予測し、必要な手続きを漏れなく行うことで、もらい忘れのような事態は防げます。不明な点は年金事務所などに相談しながら、将来の家計設計に備えておいてください。
 

出典

日本年金機構 加給年金額と振替加算
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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