63歳の専業主婦ですが“夫の年金”は「月16万円」なのに、私は「たった6万円」です…もし夫が先に亡くなったら“生活できない”ですよね? 75歳まで繰り下げるべきですか?
本記事では、専業主婦期間が長かった妻が受けられる年金の概要について説明し、妻が自身の年金を増やすために準備しておけることも紹介します。
特定社会保険労務士・FP1級技能士
遺族年金の目安
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。このうち遺族基礎年金が受けられるのは、18歳の年度末まで(または20歳以下で一定の障害等級に該当)の子がいる場合に限られます。
63歳という年齢を考えると、遺族厚生年金のみの受給になることが多いでしょう。では、夫の老齢年金が16万円だった場合、遺族厚生年金はどのくらいの額になるのでしょうか?
遺族厚生年金の額は
遺族厚生年金は、原則として亡くなった人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3です。「夫の老齢年金が16万円」という場合、通常、それは老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額です。
老齢基礎年金を、仮に月6万8000円、加給年金の受給はないと考えた場合でも、遺族厚生年金の計算のもとになる老齢厚生年金(報酬比例部分)は9万2000円ほどです。
このため、遺族厚生年金は「9万2000円の4分の3」で7万円ほどです。この夫婦は同じ年齢ということですが、夫死亡時に妻が65歳以上であれば、妻自身の老齢年金や振替加算等と合わせても月14万円弱でしょう。妻の資産状況にもよりますが、少々経済的な不安を感じる人は多いかもしれません。
年金を増やすためできること
将来の年金を増やすため、63歳である今のうちにできることはないでしょうか。
年金を増やすには
妻自身の老齢年金を少しでも増やすには、一般に次のことが考えられます。
1. 65歳まで国民年金に任意加入する
現在63歳くらいの人は、学生時代に国民年金保険料を支払っていなかった人も多々います。その当時、学生は国民年金が任意加入の扱いだったからです。そのため、老齢基礎年金を満額受け取れない人も少なくありません。
タイトルの妻がそのケースに該当するかは不明ですが、「老齢年金6万円」は、老齢基礎年金だけでも満額に満たない金額です。20~60歳の期間に国民年金保険料を納めていない期間があり、年金が満額に満たない場合、国民年金には60歳から65歳まで任意加入できる制度があります。
任意加入すると、国民年金保険料(2026年度は月1万7920円)の支払いは必要ですが、満額あるいは満額に近づけた老齢基礎年金を受給できる可能性があるため、検討する価値はありそうです。
2.社会保険ありのパートで働く
妻自身が、社会保険に加入してパート就労する方法も考えられます。少額でも妻自身の将来の年金が増え、さらにパート収入も得られるため、経済的にプラスが大きい方法でしょう。
とはいえ、専業主婦期間が長く、あまり外で働いてこなかった場合、ハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。
3.繰下げ受給をする
妻自身の年金の受給を66歳以降に繰り下げ、受取額を増やす方法もあります。繰下げ受給をすると、1ヶ月につき0.7%増額され、最長75歳まで繰り下げることが可能です。75歳まで繰り下げると、増額率は84%になります。
ただし、繰下げ待機中に夫が死亡し、妻が遺族年金の受給権を得ると、その時点で増額率が固定されます。そのため、仮に「75歳まで繰り下げて年金を〇〇円にしよう」と思っていても、計画通りにいかなくなってしまうのです。
まとめ
年金受給額は、夫婦合算額で語られることが多いものです。しかし、どちらか一方が残される事態を考えておく必要があります。そう考えると、自身の年金を増やす方法を早めに検討し行動することが大切だといえるでしょう。
出典
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者 : 橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士
