年金は「60歳から繰上げ受給」するのが“賢い選択”? 手元に「3000万円」の運用資産があれば“減らない財布”が完成! 実際どういう仕組み? 取り崩しの「4%ルール」もあわせ解説

配信日: 2026.05.15
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年金は「60歳から繰上げ受給」するのが“賢い選択”? 手元に「3000万円」の運用資産があれば“減らない財布”が完成! 実際どういう仕組み? 取り崩しの「4%ルール」もあわせ解説
老後の主な収入は年金というケースが多いですが、年金だけでの生活が不安でコツコツと資産形成を進めている人も多いでしょう。老齢年金は原則65歳から受給できますが、希望すれば60歳から前倒しで繰上げ受給が可能です。
 
一般的に「早く年金をもらい始めると一生減額されるから損」とされていますが、もし手元に3000万円の運用資産がある場合、考え直しても良いかもしれません。
 
本記事では、3000万円の資産運用と組み合わせることで、あえて60歳から年金を受け取るメリットを解説します。
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繰上げ受給の減額率と損益分岐点

年金を繰上げ受給した場合、2022年4月以降に60歳を迎える人の場合、受給開始を1ヶ月早めるごとに0.4%の割合で年金額が減額されます。本来の支給開始時期である65歳から5年間(60ヶ月)前倒して60歳から受け取る場合、減額率は「0.4%✕60ヶ月=24%」です。
 
仮に、65歳から月額15万円を受給する予定であれば、60歳から24%減の受給額を受け取る場合、月額11万4000円になる計算です。また、5年後の65歳から受給した人と受給総額が逆転する損益分岐点は、約80歳10ヶ月とされています。
 
81歳以上まで生きるとすれば65歳開始の方が得になる仕組みであり、多くの人が繰上げ受給をためらう要因となっています。しかし、十分な運用資産がある場合、この損益計算に縛られる必要があるのでしょうか。
 

運用資産がある人が繰上げ受給をする3つのメリット

十分な運用資産があるなら、繰上げ受給にはむしろメリットがあると筆者は考えます。
 
では、資産が十分にある人が年金を60歳から繰上げ受給した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。3000万円の資産がある人を例にして3つ紹介します。
 

メリット1:無年金期間の「資産取り崩し」を抑え、複利効果を維持できる

繰上げ受給のメリットの1つ目は、資産元本の減少を防げる点です。仮に60歳で仕事をリタイア、あるいは定年後の再雇用やパートなど収入が下がる働き方に切り替えた場合、65歳まで無年金のままでは、貯金を取り崩して生活費を賄うことになります。
 
毎月の生活費が25万円かかると仮定した場合、5年間無年金で過ごした際の取り崩し額は、約1500万円です。
 
せっかく3000万円の資産を築いても、65歳になる頃には半分に減ってしまいます。しかし、60歳から月額11万4000円の年金を受け取っていれば、毎月の赤字額は13万6000円に減ります。
 
5年間の取り崩し額は約816万円で済み、取り崩しを抑えることで残りの資産を市場に置いたままにできるため、運用益がさらに利益を生む複利効果を長期間維持することが可能です。
 

メリット2:3000万円の運用益と早期受給で「減らない財布」が完成する

2つ目のメリットは、運用益と早期年金を組み合わせることで、元本に手をつけることなく生活できる仕組みを作れる点です。ある程度の資産がある場合、投資信託などで資産を運用し、毎年一定の割合で取り崩す「4%ルール」という考え方があります。
 
手元の3000万円を年利4%で運用しながら、毎年4%ずつ取り崩したとしましょう。3000万円×0.04=120万円となるため、年間120万円、月額換算で10万円の運用益を生活費に充てることができる計算です。
 
ここに、60歳から繰上げ受給した年金の月額11万4000円を足すと、毎月の収入は21万4000円となります。そのため、3000万円の資産があれば、年金額が24%減額されたとしても十分な暮らしが成り立つ計算です。
 
ただし、「4%ルール」は、運用収益を活用しつつ元本を取り崩す手法です。資産が3000万円のまま維持されるわけではなく、運用成果によっては元本が変動する点には注意が必要です。
 

メリット3:税金が下がり、非課税の運用益と合わせた手取りが最大化する

3つ目のメリットは、税金や社会保険料の負担軽減による実質的な手取り額の改善です。公的年金は一定額を超えると雑所得として扱われ、所得税や住民税、国民健康保険料などが差し引かれます。
 
繰上げ受給をして年金の額面が下がると、適用される税率が下がったり、社会保険料の算定基準額が低くなったりします。その結果、額面が24%減額されても、口座に振り込まれる手取り額の減少幅は15%から20%程度に収まる可能性があるでしょう。
 
一方で、NISA口座で運用している場合、投資枠(買付残高)1800万円までの利益は非課税となります。年金の額面をあえて下げることで税負担を抑えつつ、足りない分を非課税の運用益で補うという組み合わせは、家計全体で見たときの手取りを効率的に増やせます。
 

運用資金が十分に貯まったら「繰上げ受給」を検討してみよう

年金を60歳から繰上げ受給すると、受給額が最大24%減額されますが、十分な運用資産がある人の場合、全体で見ると手取りを増やせる可能性もあります。早期に年金を受け取り始めることで、無年金期間の資産の目減りを防ぎ、投資元本を温存できるためです。
 
そして、運用益(例えば月額10万円)と減額された年金を組み合わせることで、寿命に関係なく十分な生活費を確保する仕組みが完成します。さらに、年金収入を下げることで税制面でも有利に働くでしょう。
 
繰上げ受給をするかどうかの判断基準を、損益分岐点ではなく、手持ちの資産を活用して生活基盤を整えられそうかという部分におき、問題がないという判断ができれば、繰上げ受給を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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