夫は「年金は繰り下げたほうが得」と言いますが、私は65歳から「月10万円」を受け取りたいです。80歳まで生きた場合、どちらの受け取り方が有利なのでしょうか?
繰下げ受給をすれば受け取れる年金の総額は増えます。しかし、何歳まで生きられるかによっては本来もらえるはずだった額よりも受け取り総額が減ってしまう場合もあるため、注意が必要でしょう。
本記事では、年金の繰下げ受給がどのような仕組みなのかを解説します。また、月10万円の年金を繰下げ受給して80歳まで生きた場合の受け取り総額や、何歳まで生きた場合に年金受給総額が増えるのかを計算してまとめています。
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目次
年金の「繰下げ受給」とは
公的年金には、受給開始時期を遅らせて毎月の受取額を増やす「繰下げ受給」という制度があります。日本年金機構によると、66歳から75歳までの間で繰下げ請求ができ、1ヶ月遅らせるごとに年金額が0.7%上乗せされる仕組みです。
日本年金機構によれば、一度決まった増額率は生涯変わりません。請求するタイミングごとの増額率は、表1の通りです。
表1
| 請求時の年齢 | 年金増額率 |
|---|---|
| 66歳 | 8.4% |
| 67歳 | 16.8% |
| 68歳 | 25.2% |
| 69歳 | 33.6% |
| 70歳 | 42.0% |
| 71歳 | 50.4% |
| 72歳 | 58.8% |
| 73歳 | 67.2% |
| 74歳 | 75.6% |
| 75歳 | 84.0% |
出典:日本年金機構「年金の繰下げ受給」を基に筆者作成
最大で84.0%も上乗せできることから、繰下げ受給を検討する人も多いかもしれません。
80歳まで生きた場合の受け取り総額はいくら?
ここからは、月10万円(年120万円)の年金を例に、寿命と受け取り総額の関係を見ていきます。80歳まで生きた場合、受給開始の年齢によって累計の受取額がどう変わるのか、整理してみました。
・65歳開始:1800万円
・70歳開始:1704万円
・75歳開始:1104万円
今回の試算では、月額が割り増しになる70歳・75歳開始でも、80歳までの受け取り総額は65歳開始のケースを下回ってしまう結果となります。
何歳まで生きれば得できるのか?
では、繰下げ受給の累計受取額が65歳開始を上回るのは、何歳まで生きたときなのか、計算してみましょう。
70歳開始のケースでは、82歳時点で受け取り総額は2044万8000円となり、同時点の65歳開始(2040万円)を超えます。
75歳開始のケースでは、87歳時点で受け取り総額が2649万6000円に達し、同時点の65歳開始(2640万円)を上回ります。
つまり、70歳開始なら82歳、75歳開始なら87歳より長生きすれば、65歳開始よりも年金の受け取り総額は多くなる計算です。
ただし、何歳まで生きられるかは予測できません。厚生労働省の令和6年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳です。この数値も判断材料のひとつにして、自身の健康状態や貯蓄状況と合わせて見極めることが大切でしょう。
月10万円の年金を繰り下げて70歳・75歳から受給して80歳まで生きた場合、総受給額で損をする可能性がある
繰下げ受給は受給開始時期を遅らせるほど年金額が増える仕組みなので「65歳以降に受け取る方がお得」と思っている人もいるかもしれません。
しかし、今回の試算でみたように「月10万円」の年金を繰下げ受給し80歳まで生きた場合、70歳に受給を開始しても75歳に受給開始しても、受け取り総額は65歳で受給開始するよりも少なくなってしまいます。
65歳で受給開始するよりも総額が多くなるには、70歳受給開始の場合だと82歳以上、75歳受給開始の場合だと87歳以上まで生きる必要がある計算となります。
何歳まで生きられるかの判断は難しいため、繰下げ受給を選択すべきか迷ったときは、日本人の平均寿命を参考にしたり、自身の健康状態を考えたりするなどして慎重に検討することをおすすめします。
出典
日本年金機構 年金の繰上げ・繰下げ受給 年金の繰下げ受給
厚生労働省 令和6年簡易生命表の概況 1 主な年齢の平均余命
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
