個人年金保険「2万円×25年」が“満期”に! 一括だと「700万円」だけど、保険会社は「月々がお得です」とのこと…分割は“総額が多い”とのことですが、どちらがいいですか? 筆者の経験もあわせ解説

配信日: 2026.05.21
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個人年金保険「2万円×25年」が“満期”に! 一括だと「700万円」だけど、保険会社は「月々がお得です」とのこと…分割は“総額が多い”とのことですが、どちらがいいですか? 筆者の経験もあわせ解説
定年が近づくと、個人年金保険の支払いが終わり、受取可能になるという人も多いのではないでしょうか。しかし、一括での受取と、分割での受取ではどちらが有利か分からず、迷ってしまうかもしれません。
 
本記事では、個人年金保険は一括受取と分割受取ではどちらが有利なのか、税金の違いなどを例示しながら解説します。筆者が保険会社の担当者に分割受取を勧められた件についても紹介しますので、参考にしてください。
松尾知真

FP2級

個人年金保険とは

個人年金保険とは、国民年金や厚生年金などの公的年金以外に個人で備える私的年金です。一般的には、契約で定められた60歳や65歳などの年齢まで保険料を払い、受取時期になれば、定められた期間に亘って年金を受け取ります。
 
言い換えると、保険料名目で老後資金を積み立て、自分で年金を作るイメージかもしれません。
 
なお、個人年金保険には、受取期間や受取金額などの違いによって、「確定年金」「保証期間付終身年金」「有期年金」などさまざまな種類があります。
 
公益財団法人生命保険文化センターの「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」などによれば、18歳から70歳の人で個人年金保険に加入しているのは2割ぐらいです。また、60歳や65歳といった節目の年齢で給付を受け始める人が多くなっています。
 

税金を考えると一括と分割はどちらがいい?

個人年金保険は、「年金」とついていながら一括での受取も可能で、分割受取とどちらがいいのか迷うことは少なくありません。その際、よく議論される要素の1つに、税金面の違いがあります。
 
個人年金保険は、支払い続けた保険料総額に比べ、受取総額が増えるのが一般的です。増えた部分に対しては所得税や住民税が課税され、受け取り方で税金の計算方法が異なります。
 
一括で受け取った場合は「一時所得」に区分され、課税対象額は「受取額-支払った保険料総額-特別控除50万円」に2分の1をかけた金額です。例えば、一括での受取額が700万円、保険料総額が600万円の場合、課税対象額は「(700万円-600万円-特別控除50万円)×2分の1」の計算で25万円になります。
 
次に、700万円を年70万円ずつ10年間の分割で受け取る場合、税金の計算はさらに複雑です。年金方式の分割受取になると「雑所得」として課税され、受取期間中は毎年課税されます。
 
課税対象額は、年単位で「年間受取額-年間受取額に対応する支払保険料」で計算可能です。一般的には分割受取のほうが一括よりも受取総額が増えますが、今回は便宜的に同額で比較を試みます。
 
課税対象額は「年間受取70万円-支払った保険料総額600万円÷10年間」の計算で年間10万円です。10年間にわたり課税されるため、課税総額は10万円×10年間=100万円になります。
 
この結果から、特別控除に加え課税対象が2分の1になるため、一括のほうが課税対象総額は小さくなるように感じます。ただし、雑所得は公的年金が400万円以下、かつ年間20万円以下なら申告不要です。
 
つまり、分割受取では税負担の分散がメリットになる場合もあります。また、いずれの場合も雑所得単独で課税されるわけではなく、給与所得などそのほかの所得と合算された上で税率が決まる点にも注意が必要です。
 
このように考えると、個人の状況に違いもあり、税金面でどちらがいいのか断定するのは難しいかもしれません。特に一括受取の場合は、その年のほかの所得を想定した上で、税額や社会保険料などにどう影響するのかシミュレーションしてみることが大切です。
 

税金以外の判断ポイントは?

一括受取と分割受取ではどちらがいいのか考える上で、税金以外にも大切な視点があります。それは受け取り方による受取総額の違いです。
 
分割受取なら、保険会社は支払っていない部分を引き続き運用して、年金に上乗せできるため給付額が増えます。そのため、資金がすぐに必要でなければ、分割のほうが有利と捉えられます。
 
筆者は、来年から2つの保険会社の個人年金保険の受取が可能になります。保険会社に問い合わせた際、いずれの担当者も受取総額が増える点を強調し、分割受取を推奨しました。
 
受取想定額も尋ねましたが、一括よりも増えるのは間違いなさそうです。ただ、ここからは推測ですが、保険会社が分割受取を勧めるのは、手元に運用資金を残したい会社の方針かもしれません。
 
さらに、一括で受け取った資金を運用するかしないかで、結論が変わる可能性もあります。個人で運用するなら、分割受取で増える以上の金額を得られるかもしれません。
 
自分で運用することに不安を覚える人もいるでしょうが、例えば個人向け国債などリスクが少ない商品でも、年利1.5%程度の運用はそれほど難しくないでしょう。
 
ちなみに筆者は、2つとも一括受取を検討しています。理由は分割で増える金額が小さく、「一括受取+自分で運用」のほうが有利と感じたからです。いずれにしても、契約内容や受取予定額などを保険会社に確かめて、納得した上で選択するよう心がけましょう。
 

まとめ

個人年金保険を一括で受け取るか、分割で受け取るかについて、税金面や受取総額の違いなどを論点にして比較を試みました。税金面は個人の状況やほかの所得も絡むため、どちらのほうがいいと断言することはできません。
 
受取額の比較も、一括で受け取る場合の資金を自分で運用するかしないかで、判断は異なるでしょう。もし、受取が間近に迫っているのであれば、受取予定額や契約内容を確かめることから始めてはいかがでしょうか。
 

出典

公益財団法人生命保険文化センター 2025(令和7)年度 生活保障に関する調査
 
執筆者 : 松尾知真
FP2級

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