更新日: 2024.09.05 厚生年金
障害等級3級は障害厚生年金のみ。今後の年金の受給方法は?(2)65歳以降の受給方法
では、3級の障害厚生年金を受給する権利がある人の65歳以降の年金については、どのような受給方法があるのでしょうか?
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
65歳からは2階建ての老齢年金が受けられる
65歳を迎えると、老齢年金については、有期年金である特別支給の老齢厚生年金はなくなり、前回取り上げた、障害があることによる障害者特例もなくなります。その代わり、終身年金である老齢厚生年金と老齢基礎年金の2階建ての老齢年金が受給できるようになります。
しかし、受給する権利のある全ての年金が受け取れるわけではなく、前回述べたとおり、老齢年金と障害年金という種類の異なる年金を受給する権利がある場合、いずれか選択となるのが原則で、本来、併せて受給することはできません。
ただし、65歳以降は例外的に、一定の条件の下、異なる種類の年金であっても併せて受け取ることが可能となっています。65歳以降、老齢年金と障害年金の受給権がある場合、【図表1】の受給の組み合わせがあり、(2)のように、障害基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせであれば、種類の異なる年金でも併給できます。
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障害厚生年金と2階建ての老齢年金は選択関係
しかし、障害等級1級、2級であれば障害基礎年金があるのに対し、3級の場合は、これまで述べたとおり、障害基礎年金はなく、障害厚生年金のみとなります。障害厚生年金は老齢年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金)との併給ができません。従って、3級の障害厚生年金を受給する権利がある人は、原則どおり、種類の異なる老齢年金か障害年金、どちらか選択して受給します(【図表2】)。
3級の障害の場合であれば、障害年金は障害厚生年金のみとなるのに対し、老齢年金は老齢基礎年金・老齢厚生年金の2階建てで支給され、さらに厚生年金加入が20年以上あって、生計を維持する65歳未満の配偶者(原則厚生年金加入が20年未満の配偶者)や18歳年度末までの子(あるいは1級、2級の障害のある20歳未満の子)がいれば、前回にも述べた加給年金も老齢厚生年金に加算されます。
また、反対に自身の厚生年金加入が20年未満で、厚生年金加入が20年以上ある配偶者がいれば、加給年金は加算されませんが、自身の老齢基礎年金に振替加算が加算されることがあります(1966年4月1日以前生まれの人が加算対象です。加算額は生年月日により異なります)。
3級の障害厚生年金は老齢年金を受け取り始めるまで?
3級の障害厚生年金よりも、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額が高いことも多いでしょう。税金(老齢年金は所得税の課税対象。障害年金は非課税)等も考慮した上で、前回の60歳台前半の場合と同様に、障害年金ではなく老齢年金を選択することが良い場合があります。
60歳台で老齢年金を選択するのであれば、3級の障害厚生年金はその老齢年金を受け取り始めるまでの年金であるともいえるでしょう。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー