年金を受け取っている夫が亡くなった。夫の年金はどうなるの? ~未支給年金とは~
配信日: 2020.02.28
今回はそうした事態になったときに(おそらく葬儀などいろいろなことで慌ただしく、年金のことなんて考えてられない状況だと思いますが)慌てないよう遺族年金との違いを含め、未支給年金のしくみを紹介します。なお、ここでは遺族年金の細かな説明については省略します。
執筆者:蓑田透(みのだ とおる)
ライフメイツ社会保険労務士事務所代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、
社会保険労務士、米国税理士、宅建士
早稲田大学卒業後IT業界に従事していたが、格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。
ライフプラン、年金、高齢者向け施策、海外在住日本人向け支援(国内行政手続、日本の老親のケア、帰国時サポートなど)を中心に代行・相談サービスを提供中。
企業向けコンサルティング(起業、働き方改革、コロナ緊急事態の助成金等支援)の実施。
国内外に多数実績をもつ。
・コロナ対策助成金支援サイト
・海外在住日本人向け支援サイト
・障害年金支援サイト
未支給年金と遺族年金の違い
年金(ここではあえて「老齢年金」といいます)は、2ヶ月分が2ヶ月ごとに支給されます。通常は偶数月の15日(15日が土日祝の場合は前日)が支給日で、前々月、前月分が対象となります。例えば、2月、3月分の年金は4月15日に、4月、5月分の年金は6月15日に支給されます。
ここである老齢年金受給者が5月10日に亡くなったケースを見てみましょう。遺族が遺族年金の請求手続を行うと死亡した翌月分、つまり、ここでは6月分から遺族に対し遺族年金が支給されます※1。最初の支給日(遺族年金ですから遺族の銀行口座に振り込まれます)は8月15日で、6月、7月分が支給されます。
そうなると、老齢年金と遺族年金が支給されない空白の期間が生じることになります。
つまり、5月10日に亡くなった受給者が最後に受給した年金というのは4月15日に支給された2月分、3月分であり、4月分と5月分(亡くなった月も老齢年金の対象になります)は当初支給されるはずだった6月15日には受給者死亡のため支給されないのです。
そこでこの空白の期間である4月分と5月分が未支給年金として遺族に支給されることになるのです。分かりやすいよう図にしてみます。
このように未支給年金というのは年金受給者が死亡した月までの老齢年金で、まだ本人に支給されていなかった分を支給する年金ということになります。
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請求手続
年金受給者が死亡したら、遺族(家族)は年金事務所または加入する共済組合などに連絡し、死亡したことを伝えるとともにその後の手続について確認します。通常、請求手続は未支給年金と遺族年金の両方をまとめて1回で行います。
手続に必要な書類については加入する年金によって多少異なるため、各保険者(日本年金機構、各共済組合、企業年金連合会など)にお問い合わせください。
提出書類のうち市町村役場で取得するものとして死亡者と遺族の関係を証明する戸籍謄本や住民票も必要となりますが、死亡したことが記載されたもの(戸籍謄本であれば除籍されたもの、住民票なら除票)が必要となるので、市町村役場への死亡届を先に行います。
死亡の届出が遅れると、後で返金を要請される場合も
受給者が死亡したことの届出は、未支給年金、遺族年金の請求手続の準備ができていなくても早めに行うようにしましょう。この届出は、年金受給権死亡届(報告書)に亡くなった方の年金証書、死亡の事実を明らかにできる書類を添付して年金事務所または年金相談センターに提出して行います。
夫の死亡となれば葬儀、遺品整理、生命保険や相続手続などであっという間に時間が経過してしまいますが、この死亡の届出は、年金受給権者の死亡後10日以内(国民年金は14日以内)とされており、うっかり年金事務所への通知が遅れると死亡後も本人への老齢年金が継続して支給されてしまい、その場合、後で返還を要請されることがありますので注意が必要です。
※1:他の受給資格要件を満たしていることが前提です。
執筆者:蓑田透
ライフメイツ社会保険労務士事務所代表