更新日: 2020.03.29 iDeCo(確定拠出年金)

50歳からでも遅くない。確定拠出年金で老後資金づくりのやり方

50歳からでも遅くない。確定拠出年金で老後資金づくりのやり方
公益財団法人生命保険文化センターによる令和元年の調査によりますと、夫婦が豊かな老後を暮らすためには、月におよそ36万円のお金が必要といわれています。
 
夫は会社員、妻は専業主婦とした場合、国民年金は満額で月におよそ6.5万円(夫婦で13万円)、夫の厚生年金は多い方でも最大で月に約19万円で、合計しても約32万円にしかなりません。足りない4万円は自分の預貯金などを取り崩しながらの生活になります。
 
50歳前後の現役世代の場合、「住宅ローンや子どもの教育費でとても老後資金を貯金できる状態ではない」と考えている方も多いと思いますが、本当にそうでしょうか?
 
今回はそのような方も含め、確定拠出年金を活用した老後資金づくりを考えてみましょう。
 

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植田周司

執筆者:植田周司(うえだ しゅうじ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、円満相続遺言支援士(R)

外資系IT企業を経て、FPとして「PCとFPオフィス植田」を起業。独立系のFPとして常に相談者の利益と希望を最優先に考え、ライフプランをご提案します。
お客様に「相談して良かった」と言っていただけるよう、日々努力しています。

50歳からでも遅くない!

現時点で50歳の会社員の方が、これから企業型確定拠出年金(以後、企業型DC)を始めた場合、老後資金をどれくらい蓄えることができるか計算してみましょう。なお、企業型DCは企業ごとに制度が多少異なりますが、ここでは一例として計算しています。
 
図1は、50歳から企業型DCの積み立てを始め、70歳で受け取る場合のイメージ図です。
 
企業型DCは、最長65歳まで積み立てが可能です。50歳から65歳までの15年間、毎月最大の2万7500円を積み立てた場合の積立元本は495万円となります。15年間の平均運用利回りを仮に2%とした場合、運用利回りを含めた資産残高は複利計算で約577万円(図1:1の「総合計」)です。
 
さらにその後70歳まで平均運用利回り2%で5年間運用した場合、総合計は約637万円(図1:2の「総合計」)となります。
 


 
確定拠出年金は、本人の積立額は所得控除の対象です。積立元本の495万円のうち、本人積み立て分を50%、所得税率を20%とすると、49.5万円が所得減税となります。
 
つまり、実質の本人の負担額は、247.5万円から減税分49.5万円を引いた198万円(図1:3の「実質負担」)となり、月額に換算すると1.1万円です。このくらいの負担なら、家計の見直しで何とかやりくりできるのではないでしょうか?

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確定拠出年金の制度改正が議論されている

企業の退職年齢が徐々に高齢化していることに伴い、確定拠出年金の制度改正が検討されています。
 
具体的な改定の内容は、図2のように、企業型DCの加入(積立)可能年齢は70歳まで(厚生年金加入者であること)、個人型は65歳までそれぞれ5年延長、受給開始年齢はいずれも60歳~70歳を60歳~75歳までの5年延長となっています。
 


 
これらの改正案どおりに、企業型DCの加入可能期間が70歳までに延長されるとどうなるでしょうか?
 
先述の企業型DCの計算に当てはめると、70歳の時点で資産残高は約810万円、さらに75歳まで運用を続けると総受取額は895万円になります。
 
これを75歳から95歳の20年間の老後資金に充当すると、月々約3.7万円です。これだけで豊かな老後を暮らすための不足額4万円のほぼ9割をまかなうことが可能です。

運用リスクをどう考えるか

一般的に高齢者はリスク商品を避けたほうが良いといわれます。リスク商品に手を出して虎の子の老後資金で損をしてしまうと、老後破綻する可能性があります。確定拠出年金で運用する商品も元本保証のない投資信託ですので、受取時に市場が低迷している場合は、大きく目減りする可能性があります。
 
しかし確定拠出年金は、60歳~70歳の間で受取時期を自分で決めることができます。もし60歳の時点で、リーマンショック時のように株価が大きく下落していた場合は、しばらく待って市場が回復した時点で受け取れば良いのです。
 
ただし65歳を過ぎている場合は、そろそろ受取時期を判断する必要があります。70歳近くになって市場が低迷していると、回復が間に合わないことも十分考えられますので、注意しましょう。

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まとめ

今回ご紹介しました老後資金づくりの内容はあくまでも一例です。一人ひとりの退職時の老後資金の目標額と、そのための最適な資産形成方法は異なります。
 
重要なのは、ライフプランから自分に必要な老後資金の目標額を計算し、確定拠出年金やNISAなどを活用して効率的に資産形成することです。確定拠出年金もNISAも毎年のように制度の見直しが行われていますので、制度を正しく理解して上手に活用してください。
 
(注)今回ご紹介しました内容は、元本や収益を保証するものではありません。資産運用はあくまでも自己責任で行うようにお願いいたします。
 
執筆者:植田周司
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、円満相続遺言支援士(R)


 

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