障害が重くなった場合にできる「年金額の改定請求」って?

配信日: 2020.04.11

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障害が重くなった場合にできる「年金額の改定請求」って?
公的年金制度の障害年金(障害基礎年金や障害厚生年金)を受けていて、障害がもし悪化してしまった場合。現在の障害状態に見合った年金を受けられるよう、年金額の改定請求を行うことができますが、それにはルールがあります。
 
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

障害等級に応じた年金の支給

国民年金制度の障害基礎年金は、障害の重いほうから障害等級1級、2級があり、厚生年金保険制度の障害厚生年金は1級、2級の他、2級より軽い3級があります。それぞれの年金額や年金の計算方法は【図表1】のとおりですが、障害が重いほど年金額も高くなります。
 


 
受給に必要な要件を満たして、実際に障害年金を受け始めてから年月がたつと、障害の状態が変わることもあるでしょう。もし、障害年金を受けていた人の障害の状態が軽くなると、軽い等級の年金へと減額改定されたり、障害等級不該当による支給停止になったりします。
 
一方、2級や3級の年金を受けていた人の障害が悪化し、より重い障害等級に該当する場合は、実施機関(日本年金機構など)への定期的な障害状態確認届の提出(1~5年ごと)による増額改定の他、受給している人からの請求(「額改定請求」)による増額改定を受けることができます。
 
額改定請求により年金額が改定された場合、請求を行った月の翌月分から増額された年金が受けられます。

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額改定請求を行うためには原則1年待つ必要がある

ただし、この額改定請求は、原則として、(1)障害年金の受給権を取得した日から1年を経過した日の後、あるいは(2)日本年金機構など実施機関の診査を受けた日から1年を経過した日の後でなければできません。
 
(1)の受給権を取得した日、(2)診査を受けた日とは具体的には【図表2】のとおりとなっていますが、(1)(2)とも、まずは1年待つ必要があります。
 


 
例外的に、明らかに障害状態が悪化したとされる一定の場合については、1年を経過していなくても額改定請求ができることになっています(全部で22項目あり、いずれかに該当した場合となります。詳しくは日本年金機構等にご確認ください)。
 
なお、3級の障害厚生年金のみを受給していた人が2級以上に額改定請求を行う場合、2級以上で受けられる障害基礎年金の請求(事後重症による請求)を同時に行うことになります。

3級の人の額改定請求

3級の障害厚生年金しか受けたことがない人(つまり1級や2級に該当したことがない人)の額改定請求については、65歳の前日(65歳の誕生日の前々日)まででないとできず、65歳(65歳の誕生日の前日)以降はできません。
 
2級の人と異なり、3級の人の額改定請求についてはその点に注意が必要でしょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー


 

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