更新日: 2020.04.22 その他年金

同じ額の年金をもらっているのに、税金額が違う?遺族年金は非課税って本当?

執筆者 : 林智慮

同じ額の年金をもらっているのに、税金額が違う?遺族年金は非課税って本当?
ある休日の昼下がり、ランチ後のコーヒーを飲みながら、3人のご婦人が話に花を咲かせています。皆さん、年金を受け取っている年齢のようです。
 
「そういえば、遺族年金って税金がかからないのよね。◯丁目の△さん、私と同じくらいの額の年金をもらっているのに税金が全然違うの。不公平よね」新型コロナウイルス騒動の最中、マスクもつけず力説しています。
 

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林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

遺族年金は非課税です

遺族年金は、亡くなった人に生活を支えられていた遺族が受け取ります。
 
亡くなった方が厚生年金加入の場合は遺族厚生年金を、国民年金加入の場合は遺族基礎年金を受け取れます。ただし、遺族厚生年金は、妻、子や孫、55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から)に支給され、遺族基礎年金は、子のある配偶者、子に支給されます。
 
ここで、子とは18歳の3月末まで、障害等級1級2級の場合は20歳未満の子をいい、年齢が経過すれば年金の支給は終了します。また、夫を亡くした場合、子がいない30歳未満の妻は5年間の有期年金で終了します。(日本年金機構ホームページより要約引用)
 
厚生年金や国民年金に加入していた人や、受け取っていた人が亡くなったときは、遺族に対して遺族年金が支給されますが、その遺族年金は所得税も相続税も課税されません。
 
一方、確定給付企業年金や特定退職共済や適格退職年金は、相続税の課税対象になりますが、毎年受け取る年金の所得税は課税されません。
 
また、死亡したときに支給されてなかった年金をご遺族が請求して支給を受けた場合、その遺族の一時所得となります。相続税はかかりません。(国税庁ホームページより要約引用)

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遺族厚生年金を受け取っている人が65歳になったら

ところで、65歳になり、遺族厚生年金を受け取っている人が自分の老齢年金を受け取ることができるようになった場合は、遺族厚生年金に加えて老齢厚生年金も受け取れるのでしょうか?
 
そのような場合、老齢基礎年金に上乗せされる部分は、自分の老齢厚生年金が全額支給となり、遺族厚生年金のうち老齢厚生年金に相当する額が停止されます。
 
遺族厚生年金の額は、
(1)亡くなった方の老齢厚生年金額×3/4、
(2)亡くなった方の老齢厚生年金額×1/2+ご自分の老齢厚生年金額1/2

の多いほうになります。
 
遺族厚生年金>老齢厚生年金の場合、老齢厚生年金を超えた分が非課税です。遺族厚生年金より老齢厚生年金のほうが多い場合は非課税になりません。その一方で、厚生年金に加入したことがない場合は、遺族厚生年金がそのまま非課税となります。
 
よって、遺族厚生年金を受け取っている人が老齢厚生年金、退職共済年金または遺族共済年金を受け取る権利を有するときは、これらの年金の裁定請求をする必要があります。
 
ちなみに、平成19年4月1日前に65歳以上である遺族厚生年金受給者の場合、厚生年金部分については、
(1)遺族厚生年金
(2)老齢厚生年金
(3)遺族厚生年金の2/3+老齢厚生年金1/2(死亡した方の配偶者が受給する場合に限る)

の受け取り方を選ぶことができました。
 
自分が老齢厚生年金を受け取ることができても遺族厚生年金を受け取る場合、遺族厚生年金のうち自分の老齢厚生年金の額が停止されることはなく受給できたのです。(日本年金機構ホームページより引用)
 
同じように夫を亡くした妻でも、夫が自営業で妻が会社員の共働きの場合は自分の老齢厚生年金を、夫が会社員で妻が専業主婦の場合は夫の遺族厚生年金を受け取ることになります。
 
遺族厚生年金は非課税ですが、そもそも遺族厚生年金は本来の老齢厚生年金を丸々受け取ることはできません。「非課税なのは不公平」とは一概にはいえません。

健康保険の扶養になれるのか?

扶養には所得税上の扶養と、健康保険上の扶養があります。遺族年金の金額は課税所得の計算には含みません。遺族年金部分は非課税です。遺族年金分はどれだけ高額でも収入とされません。
 
一方、健康保険の扶養の収入要件には、非課税とされる遺族年金や障害年金、傷病手当金等も含みます。扶養となる収入要件は年間収入130万円未満、60歳以上または障害年金を受けられる場合は年間収入180万円未満です。
 
また、扶養となる収入要件を満たしたとしても、75歳になると後期高齢者医療制度に加入します。そのため、健康保険の被扶養者の資格がなくなり、加入者それぞれが保険料を納めます。保険料の算出の際、遺族年金は計算に含めません。
 
(参考)
国税庁 遺族の方に支給される公的年民等
国税庁 相続税等の課税対象になる年金受給権
日本年金機構 健康保険の扶養にするときの手続き
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者