更新日: 2021.05.07 その他年金

障害年金には所得制限がない? 知っておきたい注意点を解説!

障害年金には所得制限がない? 知っておきたい注意点を解説!
障害年金には所得制限があると聞いたことはありませんか?実際、障害年金では一定の条件のもとで所得制限が発生するものの、その適用は限定的かつ複雑です。そこで今回は、障害年金の所得制限についてFPが分かりやすく解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

原則として障害年金に所得制限はない

障害年金の受給において、原則として所得制限はありません。なぜなら、障害年金の受給要件には主に病気やけがの状態が挙げられており、所得についての要件は定められていないからです(※1)。

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障害年金に所得制限が生じる2つの例外

先ほど障害年金の受給には原則として所得制限はないと述べましたが、実は例外が存在しています。以下に例外となる2つのケースをご紹介します(※2)。

(1)20歳前傷病によるケース

20歳前に傷病を負った方の障害年金の受給については所得制限が発生します。なぜなら、年金への加入は原則20歳からであり、加入前(20歳前)には保険料を支払っていないからです。
 
扶養親族(同一生計の妻や子など)のない単身世帯では、所得額が360万4000円を超えると支給額が2分の1になり、462万1000円を超えれば支給が全額停止されます。
 
扶養親族がいれば1人につき制限額に38万円が加算されます。また、その扶養親族が老人控除対象配偶者または老人扶養親族であれば加算額が48万円に、特定扶養親族に該当すれば63万円になります。
 
20歳前における障害年金についての所得制限を簡単にまとめると、【表1】【表2】のようになります。
 
【表1】


(※2より筆者作成)
【表2】

(※2より筆者作成)

(2)特別障害給付金のケース

特別障害給付金とは、国民年金に任意加入していなかったために、障害基礎年金などを受給していなかった方が障害基礎年金などを受給できるよう創設された制度です。
支給の対象となるのは次の条件に該当する方です。
 
・1991(平成3)年3月以前に国民年金任意加入対象であった学生
・1986(昭和61)年3月以前に国民年金任意加入対象であった被用者などの配偶者であって、当時、任意加入していなかった期間内に初診日があり、現在、障害基礎年金の1級、2級相当の障害の状態にある(65歳に達する日の前日までに当該障害状態に該当された場合に限る)(※3)。

なお、特別障害給付金における所得制限は、20歳前傷病の場合と同様になります。

一度支給停止になったら一生支給されないの?

次のような場合、障害年金の支給が一時停止されることがあります。
 
・交通事故などが障害の原因であり、それに対して損害賠償を受け取った場合(医療費分などは除く生活費相当分の金額が対象)(※4)
・障害の状態が軽くなって支給要件を満たさなくなった
・毎年提出する障害状態確認届(診断書)を提出しなかった
・20歳前傷病を原因として給付を受けている人が所得状況届の提出を求められたものの、提出しなかった

 
このような場合、提出していなかった書類を提出したり、再度障害に該当する状況になったり、停止期間が経過することで再度支給されるようになります。
 
一度支給停止になったからといって一生支給されなくなるわけではありません。必要な手続きを行ったり、支給停止期間の経過を待つことで、再度支給されるようになりますので、慌てないようにしてください。

障害年金の支給を再開する際の注意点

障害年金の支給が停止されてしまうことの原因として、所得状況届や障害状態確認届の不提出が挙げられます。
 
これらを提出していない、あるいは審査の結果、障害年金の受給の要件に該当しないと判断されてしまった場合、再度受給を再開するためには「受給権者支給停止事由消滅届」(※5)を提出しなければなりません。
 
自動的に障害年金の支給が再開されるわけではなく、手続きが必要であることを覚えておいてください。(※6)詳細は最寄りの年金事務所にお問い合わせください。

Q&A

ここでは、障害年金の所得制限についてよくある質問にお答えします。

副業や株の配当金、不動産などで得た所得は対象の所得に含まれますか?

A 障害年金の所得制限としてカウントされる所得には、配当金や副業の売り上げ、不動産によって得た収入など原則すべての収入が含まれます。

まとめ

障害年金には原則として所得制限はありませんが、20歳前の傷病を原因としていたり、特別障害給付金に該当するような場合は、所得制限によって支給額が減少することがあります。障害年金について疑問に思うことがあれば、最寄りの年金事務所に問い合わせするとよいでしょう。
 
[出典]
※1 日本年金機構「障害年金」
※2 杉並区「障害基礎年金および特別障害給付金の所得制限基準額」
※3 厚生労働省「基礎編講義 障害基礎年金(3)経過措置」
※4 会計検査院「第三者行為事故に係る年金の支給と損害賠償との調整に関する事務について」
※5 日本年金機構「障害年金の支給を停止されている方が、再び障害年金を受けられる程度になったとき」
※6 日本年金機構「障害年金受給者が行う手続きの変更について(2019年8月1日更新)」
厚生労働省「障害基礎年金お手続きガイド」
 
執筆者:柘植輝
行政書士


 

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