個人型確定拠出年金(iDeCo)の税制優遇。受給するときどんな優遇がある?

配信日: 2020.07.10

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個人型確定拠出年金(iDeCo)の税制優遇。受給するときどんな優遇がある?
個人型確定拠出年金のメリットは、税制優遇が他の制度に比較して充実しているところです。具体的には、(1)資金の拠出、(2)運用、(3)受給の3つの段階で税制優遇があります。
 
つまり、さまざまな前提がありますが、うまく活用すれば、自分で手に入れたお金をこの制度に拠出することで、運用で増やしながら、一定額までは税金を払わずに受領できます。ここでは、そのうちの(3)受給の段階での税制優遇について、現行制度における活用について概要を説明します。

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2種類の受給方法(一時金/年金)

個人型確定拠出年金の受給方法は2種類あります。拠出・運用して蓄積したものを一括で受領する方法(一時金)と、分割で受領する方法(年金)です。
 
年金で受領する場合は、制度上5年以上に分けて受領することとなりますが、具体的な受領手法については、加入している運営管理機関により異なります。
 
どちらを選択した場合でも、それぞれに種類の異なる税制優遇が適用されます。一時金として受領する場合は、退職金と同様の所得控除が受けられますし、年金で受領する場合には雑所得となりますが、国民年金や厚生年金などの公的年金と同様に公的年金等控除を使うことができます。

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一時金で受け取る場合(退職所得控除)

退職所得控除は、給与所得者が退職時に受領する退職金について設けられている税制優遇制度で、勤続年数に応じた金額を退職金から控除されます。勤続年数が長くなれば長くなるほど控除額が増加します。
 
現在の制度では、勤続年数20年までは1年で40万円、20年を超えると1年で70万円ずつ増えていきます。具体的には、10年で400万円、20年で800万円、30年で1500万円、38年では2060万円にもなります。
 
iDeCoで一時金として受領した場合も同様に、所得からこの退職所得控除額が減額されます。この場合は、勤続年数の代わりに、iDeCoに加入していた期間で控除額を計算します。
 
したがって加入期間が長いほど、控除額が大きくなります。iDeCoの加入期間は、現在は60歳までと期限が定められていますので、一時金で受領する場合には、早く始めるほど税制優遇を大きく受けられることになります。
 
例えば、他に退職所得がないという前提で、40代に始めるかどうか迷いながら過ごし、ある程度金銭的に余裕が出てきた50歳になってから拠出し始めた場合と、40歳からとりあえず加入できる範囲の金額で加入し、余裕が出てきてから増額した場合と比較してみます。
 
迷って加入しなかった人は、50歳からの10年しか加入期間がないので控除額は400万円ですが、40歳から少額ながらも加入し続けた人は、控除額が800万円になりますので、2倍の差が出ます。
 
退職所得控除の優遇が非常に大きいので、“退職所得がない人”は、長く加入してこれを使うのが一番なのですが、“退職所得がある人”は別の手段の検討も必要です。
 
といいますのも、退職所得控除枠は会社等から受領する退職金と合算で使用するものだからです。例えば、会社からの退職金2000万円、退職所得控除枠2060万円だと、残りの60万円しかiDeCoで受領する一時金については控除枠を使えません。

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分割で受け取る場合(公的年金等控除)

iDeCoでは、5年以上の分割で受け取ると、公的年金等控除を活用できます。公的年金等控除とは、受領する公的年金に関わる所得(年金は雑所得となります)から、受領する年齢と受け取る金額に応じて控除できる金額で、わかりやすくいえば非課税枠のようなものです。
 
例えば、60歳から65歳未満で、公的年金等の収入額が年間130万円未満の場合には、現在は年間60万円(昨年までは70万円でした)の控除枠があります。
 
一部の例外を除いて、これから公的年金を受給開始する多くの人は65歳からとなっている現状ですが、iDeCoの支給開始年齢は原則として60歳からですので、この65歳未満の控除枠を使うことが可能です。
 
現行制度が続く限りは、上記の収入に当てはまる場合、60歳から5年の年金で受領すれば、60万円×5年の300万円については非課税で受領できます。
 
例えば、年間拠出額14万4000円、40歳から20年加入して多少の運用のプラスがあり300万円受給できるとした場合、5年の確定年金であれば年間60万円なので、公的年金等控除による非課税枠の範囲内です(60歳から受領できる公的年金がないことが前提です)。
 
ちなみに65歳以後の受給では、公的年金を受け取れますので、退職所得控除と同様に、公的年金等控除についても受領する公的年金と合算しての控除枠になることを考慮する必要があります。
 
執筆者:堀内教夫


 

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