更新日: 2020.08.31 その他年金

夫に先立たれたけれど、自分にもしものことがあった場合、子どもの遺族年金はどうなる?

執筆者 : 福島佳奈美

夫に先立たれたけれど、自分にもしものことがあった場合、子どもの遺族年金はどうなる?
急に夫に先立たれ今後の生活への不安の中、さらに自分に万一のことがあったら残された子どもはどうなるだろうか……、と心配になるのも当然のことかもしれません。今後の不安をなくすためにも、自分にもしものことがあった場合、遺族年金はどうなるのかを確認しておきましょう
福島佳奈美

執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)

【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。

遺族年金はどのくらいもらえるのか?

遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類あり、亡くなった方の職業によって、もらえる年金の種類が異なります。亡くなった方が自営業者の世帯では遺族基礎年金が支給され、会社員や公務員の世帯では、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金も支給されます。
 
ただし、遺族基礎年金は「子どもがいる配偶者」または「子ども」しかもらうことができず、子どもは18歳になった年度の末日(3月31日)を経過していないこと(障害等級1級または2級の子は20歳未満)という条件があります。
 
仮に、「夫が40歳、妻が40歳、子どもが10歳と7歳の2人」という家族であって、会社員の夫が病気のため亡くなってしまったという場合、残された家族は遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取ることができます。
 
ただし、夫が保険料納付などの支給要件を満たしており、夫により生計維持されていた場合(年収850万円未満が目安)です。
 
では、具体的にどのくらいの遺族年金がもらえるのでしょうか。まずは、夫が亡くなった時点での遺族年金の額を見てみましょう。

夫が亡くなった時の遺族年金の額

まずは、遺族基礎年金の額です。前述の家族で妻の年収が850万円未満の場合、遺族基礎年金の額は、78万1700円に子の加算額(第1子・第2子、各22万4900円)が加わり、156万3400円になります。ちなみに子どもが3人以上いる場合、第3子以降は7万5000円ずつ加算されます(いずれも2020年度額)。
 
次に、遺族厚生年金の額です。遺族厚生年金も、亡くなった方に生計を維持されていた妻と子どもに受給権があり、まずは妻が受け取ります。金額は、亡くなった方(前述の例では会社員の夫)が受給する予定の老齢厚生年金の額の約4分の3の額です(最低300カ月の保証あり)。

両親とも亡くなった時の遺族年金の額

では、夫につづいて妻も亡くなってしまったら、遺族年金はどうなるのでしょうか。
 
まず、遺族基礎年金です。遺族基礎年金を受給できる配偶者(前述の家族では妻)が死亡すると、配偶者の受給権はなくなり、それまで停止していた子どもの受給権が開始されて遺族基礎年金を受け取ることができます。
 
つまり子どもが遺族年金を受け取ることができるのですが、受け取る遺族基礎年金の額は少なくなってしまいます。具体的には、子どもが2人の場合は、78万1700円に22万4900円が加算された100万6600円になります(いずれも2020年度額)。
 
遺族厚生年金も、亡くなった夫に生計を維持されていた妻と子どもに同等の受給権があり、まずは妻が受け取りますが、妻も亡くなってしまうと子どもが遺族厚生年金を受け取ることができます。遺族厚生年金の額は子どもの数にかかわらず一定ですので、これまでもらっていた金額と同じです。

子どもの遺族年金はいつまでもらえる?

遺族年金をもらっていた子が、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(障害等級1級または2級に該当する状態にある子は20歳に達したとき)、遺族年金の支給対象ではなくなります。これは遺族基礎年金、遺族厚生年金とも共通です。
 
前述の例で、子ども2人(障害等級1級・2級ではない)場合、上の子が18歳の年度末を過ぎ支給対象から外れると、遺族基礎年金の額はさらに減り、下の子に遺族基礎年金78万1700円(2020年度額)+遺族厚生年金(金額は変わらず)が支給されます。
 
さらに下の子も18歳の年度末を過ぎると、遺族基礎年金も遺族厚生年金も、もらえなくなるということです。
 
つまり、例えば大学に進学したいという場合は、生活費や進学費用は親が残してくれた預貯金や生命保険金、あるいは自分で奨学金やアルバイト等でお金を工面しなくてはなりません。
 
今後、自分にもしものことがあったら……、という場合に備えて、遺族年金がどれくらいもらえるか理解した上で、必要な備えをしておくと良いでしょう。
 
執筆者:福島佳奈美
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー

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