更新日: 2020.09.01 厚生年金
2020年9月から厚生年金保険料がアップするのはどんな人? 将来受け取れる年金額が増えるって本当?
厚生年金の保険料が引き上げられるのはどんな人なのか、それによって将来の年金額がどう変化するのか、保険料の引き上げについて年金制度や数字の計算が苦手という方でも簡単に理解できるようまとめました。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
厚生年金の保険料がアップするのは月収63万5000円以上の人
2020年9月より厚生年金の保険料が引き上げられる予定とはいっても、すべての人が一律にその対象となるわけではありません。具体的には月収が63万5000円以上の人を対象に保険料が引き上げられます。
厚生年金は収入に応じて等級が設定されており、それによって毎月の保険料が決まります。これまでその等級は31まであり、毎月の収入が60万5000円以上の人は一律に保険料が月額11万3460円とされていました。
今回、32等級という新しい等級が設けられ、月収が63万5000円以上の人は従来の31等級から32等級に振り分けられることになっています。
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実際にどれくらい保険料がアップするの?
では、今回の保険料の引き上げが月々どれくらい家計に影響を与えるのか実際に計算してみましょう。
これまでの上限であった31等級の保険料は月額11万3460円でした。厚生年金の保険料は労働者と使用者で折半となるため、実際に被保険者が支払う保険料は月額5万6730円です。
それが32等級となると月々の保険料は11万8950円となり、実際に支払う保険料は5万9475円と、毎月の保険料は2745円アップすることになります。
厚生年金の保険料が引き上げられることに変わりはありませんが、これにより生活が一変してしまうということもありません。
対象となる方が一定以上収入のある方に限定されていることも含め、保険料の引き上げと聞いて必要以上に不安になることもありません。
厚生年金保険料を多く納めると将来受け取れる年金が増えるって本当?
厚生年金保険料の引き上げは何も悪いことだけではありません。将来受け取れる年金の額は支払ってきた厚生年金保険料によって変化します。そのため、現役時代に多く保険料を納めていると、それだけ将来年金を多く受け取ることができるのです。
また、障害厚生年金や遺族厚生年金の額も同様に増加します。このように、厚生年金保険料を多く納めることにはプラスとなる面も存在しています。
厚生年金の保険料をなるべく抑えるコツは?
給与明細を確認するたび、厚生年金の保険料額を見てうんざりするという方も少なくないでしょう。
実は厚生年金の保険料を抑える方法が1つあります。
それは、4月から6月の間に残業をなるべく少なくすることです。厚生年金の保険料は毎年4月から6月の給与を基に標準報酬月額というものを定めており、それに応じて等級が決定され、保険料の額が変化するからです。
この期間に残業を控え、給与を少なくしておくことで厚生年金の保険料を低く抑えることができます。
2020年9月改定ですべての人の厚生年金保険料がアップするわけではない
2020年9月より厚生年金の保険料において新しく32等級が創設され、月収が63万5000円以上の方は毎月の保険料が2745円ほど上昇する見込みです。
とはいえ、厚生年金の保険料は将来受け取れる年金額と連動しており、保険料を多く納めることはそれだけ将来の受け取れる年金額が増えることを意味しています。
今回の改定により毎月支払う厚生年金の保険料が上昇したとしても、支出が増えたと悲観することなく、将来への備えが厚くなったと考えてみてはいかがでしょうか。
[出典]日本年金機構「厚生年金保険における標準報酬月額の上限の改定」
執筆者:柘植輝
行政書士