更新日: 2020.10.15 その他年金

受けられるかは毎年判定される! 年金生活者支援給付金の支給サイクル

執筆者 : 井内義典

受けられるかは毎年判定される! 年金生活者支援給付金の支給サイクル
所得が少ない年金受給者向けの、年金生活者支援給付金制度が2019年10月より始まっています。
この福祉的な給付金は、毎年、所得要件を満たしているか判定の上、支給が決まります。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

年金生活者支援給付金の支給サイクル

年金生活者支援給付金は、老齢年金生活者支援給付金(他に補足的老齢年金生活者支援給付金)、障害年金生活者支援給付金、遺族年金生活者支援給付金があり、それぞれ老齢基礎年金(65歳以上)、障害基礎年金、遺族基礎年金を受給している場合に加算されます。
 
低所得者を対象とした給付金のため、それぞれに所得要件があり、所得要件を満たせば支給されます【図表1】。そして、一時金として1回限りで支給されるわけではなく、月額で計算された給付金として恒久的に支給されます。


 
ただし、毎年所得要件の判定がされることになり、所得要件を満たして支給される場合、決まった支給サイクルで支給されます。この支給サイクルについて、毎年、その前年の所得を元に判定がされた結果、「8月分~翌年7月分」のサイクルで支給されることになっていましたが、改正により「10月分~翌年9月分」に変わることになります。
 

支給サイクルの変更で実際の支給対象となる月は?

【図表2】のとおり、
(1)2018年の所得を元に2019年10月分~2020年7月分
(2)2019年の所得を元に2020年8月分~2021年9月分
(3)2020年の所得を元に2021年10月分~2022年9月分
が支給されます。


 
(1)(2)(3)で支給される月数が異なっています。(1)については、改正前の「8月分~翌年7月分」のサイクルですが、年金生活者支援給付金制度は、2019年10月から始まりましたので、2018年の所得を元に実際に支給される給付金は、2019年10月分~2020年7月分までの10ヶ月分となります。
 
次に、改正によって「8月分~翌年7月分」が「10月分~翌年9月分」に変わることになるのは(3)の2021年10月からとなり、(3)については、2020年の所得を元に2021年10月分から2022年9月分まで、12ヶ月分支給されることになります。
 
そして、(1)と(3)の間、(2)の2019年の所得で判定されて支給される給付金は、支給サイクル変更の移行期間ですので、開始は2020年8月分からですが、終わりは2021年7月分までではなく、2021年9月分までとなり、合計14ヶ月分となります。
 

再度支給対象となった人は再度請求しないと受けられない

すでに給付金を受けていて、その後毎年受給対象になり続ける人は、最初に一度給付金の請求をしてから翌年以降の毎年に改めて請求をする必要はなく、次の支給サイクル以降も自動的に給付金が支給され続けることになっています。そのため、この支給サイクルについても気にならないかもしれません。
 
しかし、一度支給され始め、次の年に所得要件を満たさず支給されなくなった人が、さらに次の年に再び所得要件を満たして支給されるようになる場合は、その際、再度給付金を受けるために請求をする必要があります。
 
年金生活者支援給付金は、特例を除き、請求した月の翌月分から支給されるというルールになっています。年金のように過去分をさかのぼって受けられないのが原則です。このように、再び支給対象となる場合は、支給サイクルがあることも理解の上、必要な手続きを忘れずに行っておくことが大切です。
 
なお、給付金が実際に振り込まれる日は年金と同じ原則偶数月の15日で、前月と前々月の2ヶ月分ずつが支給されます。年金同様に、後払い制である点も確認しておきましょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー


 

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