年金手帳、令和4年4月から廃止へ。代わりになる基礎年金番号通知書とは?

配信日: 2020.12.08 更新日: 2020.12.10

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年金手帳、令和4年4月から廃止へ。代わりになる基礎年金番号通知書とは?
長年にわたり、公的年金の被保険者に交付されていた年金手帳が廃止され、代わりに基礎年金番号通知書が送付されることになります。今回は、年金手帳が果たしてきた役割と変遷について概観し、基礎年金番号通知書について紹介します。
辻章嗣

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

年金手帳が果たしてきた役割と変遷

1. 年金手帳の役割と廃止の理由

年金手帳は、国民年金や厚生年金保険の被保険者である証しとして交付され、(1)保険料納付の領収の証明、(2)基礎年金番号の本人通知という機能を果たしてきました。
 
しかしながら、被保険者情報がシステムで管理されていることや個人番号の導入に伴って、手帳という形式である必要がなくなりました。そこで、業務の簡素化と効率化などを目的として、手帳という形式と役割を見直すこととなり、令和2年6月に関連法案が成立し、令和4年4月から年金手帳が廃止されることになりました(※1)。
 

2. 公的年金制度の変遷

わが国の公的年金制度は、昭和17年に工場や炭鉱に勤務する男子労働者を対象とした「労働者年金保険」としてスタートしました。その後、昭和19年に「厚生年金保険」に移行し、その後、適用範囲を女子や一般事務職員に拡大するなど、幾多の変遷を経て現在に至っています。
 
一方、昭和35年には、自営業者などを対象とした「国民年金」制度が創設され、公的年金は2本立ての構造になりました。その後、昭和61年から基礎年金制度が創設され、公的年金は2階建て構造に移行しました(※2、3、4)。
 


(※4を基に筆者作成)
 

3. 国民年金手帳としてスタート

公的年金制度の変遷の中で、昭和35年に国民年金制度が創設された時点で国民年金の被保険者証として「国民年金手帳」が交付されることになりました。
 
この手帳には、住所、氏名、年金の番号、資格の取得・喪失年月日が記入されるとともに、国民年金保険料を納めたことを示すための国民年金印紙検認台紙が付いていました。この台紙には、5年分の印紙が添付できましたので5年ごとに手帳を更新していました。
 
したがって、この間に発行された手帳は、水色、エビ色、薄だいだい色など数種類がありました(※3)。
 

4. 年金手帳に統一

その後、昭和49年に国民年金と厚生年金保険などの被保険者証の共通化が図られ、オレンジ色の「年金手帳」に統一されました。これまでの間、厚生年金の被保険者には、厚生年金被保険者証(紙カード)が交付されているのみで、年金手帳は配布されていませんでした(※3)。

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そもそも基礎年金番号とは?

1. 基礎年金番号とは

昭和61年に基礎年金制度が創設されたことに伴い、平成9年には基礎年金番号が創設され、国民年金と厚生年金保険の被保険者に加え、公務員などの共済組合の組合員に対して基礎年金番号が一斉に付与されました。
 
そして、この時点以降に発行された青色の年金手帳には、最初から基礎年金番号が記載されるようになりました(※3)。
 

2. 過去にもあった「基礎年金番号通知書」

平成9年に基礎年金番号が創設された時点で、既に年金手帳が発行されていた被保険者には、基礎年金番号が記載された「基礎年金番号通知書」が送付されていました(※3)。
 


(※2から引用)
 
そして、オレンジ色の年金手帳を持っていた被保険者は、年金手帳と上記画像の基礎年金番号通知書を合わせて保管することが求められるようになりました。

新たに送付される基礎年金番号通知書とは?

そして、年金手帳が廃止される令和4年4月以降に、新たに国民年金の被保険者となった方(20歳に到達した方、20歳前に厚生年金保険の被保険者になった方など)には、資格を取得したことのお知らせとして、年金手帳に変えて新たな基礎年金番号通知書が送付されるようになります。
 
この新たな基礎年金番号通知書の書式は、どのようになるのでしょうか。現在、厚生労働省において、以下の点を考慮して検討されています(※1)。
 

(1)年金手帳の代替として年金制度の象徴となるようなシンボリックなもの(色つきの上質紙など)とすること
 
(2)手元に丁重に保険してもらうため、名称を「基礎年金番号通知書」とし、大臣印の印影を入れること
 
(3)現在、共済年金加入者に送付している「基礎年金番号通知書」との統一を行うこと

まとめ

公的年金の被保険者に交付されていた年金手帳は、時代の流れとともにその役目を終え廃止されることになりました。そして、令和4年4月以降に新たに被保険者となる方には、年金手帳に代えて基礎年金番号通知書が送付されるようになります。
 
〈出典〉
(※1)厚生労働省 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要
(※2)日本年金機構 基礎年金番号・年金手帳について
(※3)日本年金機構 年金手帳の変遷等に係る資料
(※4)日本年金機構 年金制度、被保険者証等の変遷(年表)
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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