意外と知らない、親が亡くなったときの年金手続きとは?

配信日: 2021.01.21

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意外と知らない、親が亡くなったときの年金手続きとは?
親が亡くなると、預貯金、不動産の相続手続きなど、面倒な手続きがたくさんあります。年金手続きもその1つです。どこに手続きに行けばよいのか、どんな書類を持っていけばよいのか、不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
しかし、親が亡くなったときの年金手続きについて、詳しく知らなくても、心配する必要はありません。専門家でない人が、年金に関する細かな手続きについて知らないのは当たり前です。
 
そこで、この記事では、親が亡くなったときに年金の手続きがなぜ必要になるのか、具体的な必要書類の内容・提出先などについて確認しましょう。
石井美和

執筆者:石井美和(いしい みわ)

中央大学法学部法律学科卒業。
20年に渡り司法書士・行政書士事務所を経営し、不動産登記・法人登記・民事法務・許認可などに携わる。また、保険代理店を併設。なお、宅建士、マンション管理士など複数の資格を保有。

なぜ手続きが必要なの?

まず、そもそも親が亡くなったときに、年金の手続きをしなければならない理由についてご説明します。
 
なお、内容を理解しやすくするために、「父が亡くなり、世帯をともにする母の手続きを娘・息子の私が手伝う」というケースを通して見ていきます。なお、娘や息子が母の代理で年金を請求する場合には、委任状が必要なときもあります。
 
年金をもらっている父親が亡くなった場合、年金を受ける権利がなくなります。そのため、父親が亡くなったことを知らせる「受給権者死亡届(報告書)」を提出する必要があります。なお、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)を登録していた場合は、原則として「受給権者死亡届」を省略できます。
 
また、父が亡くなったときに、母がまだ受け取っていない分の年金や、亡くなった月分までの年金を受け取ることができる場合があります。それは、母が父と同じ世帯だった場合です。
 

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具体的な手続き

ここからは、具体的な届出書などの提出先や、提出書類についてご説明します。
 

提出先

まず、届出書などの提出先ですが、下記のどちらかとなります。
 
・年金事務所
・街角の年金相談センター
 
詳しい添付書類や届出書の記載例などは、日本年金機構のホームページが参考になります。
 

必要な届届け出添付書類 様式など

次に、父が亡くなったときの手続きの種類ですが、「死亡の届け出」「未支給年金請求の届出」があります。それぞれの届け出、次の書類を添えて、届出書を提出しなければなりません。
 

死亡の届届け出・父の年金証書

・死亡を明らかにできる書類(戸籍抄本、市区町村に提出した死亡診断書(死体検案書)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書)
・受給権者死亡届(報告書)(複写帳票) なお、様式は2部複写です。用紙を日本年金機構のホームページからダウンロードされる場合は2枚とも記入するようにしてください。
 

未支給年金請求の届届け出

・父の年金証書
・父と母の続柄が確認できる書類(戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写しなど)
・父と母が生計を同じくしていたことがわかる書類(父と母の住民票など)
 
・受け取りを希望する金融機関の通帳
なお、金融機関の口座の証明を受けた場合は添付の必要はありません。また、キャッシュカード、金融機関が発行する書類のコピー(金融機関名、支店名、口座番号、口座名義人のフリガナが確認できるもの)で代替することもできます。また、ネット銀行の一部は、年金を受け取りできない銀行もあります。
 
・未支給年金・未支払給付金請求書(複写帳票) 
これについても受給権者死亡届(報告書)と同様に注意してください。
 

寡婦年金の申請

年金を受給中の父が亡くなると、一定の要件を満たせば、その妻である母が「寡婦年金」を受け取ることができます。
 

寡婦年金の条件

・父の死亡日の前日において、父が国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が10年以上だった場合・父と母が10年以上継続して婚姻関係にあり、母が父に生計維持されていたこと
 

寡婦年金申請の書類など

・年金請求書(国民年金寡婦年金)
・父の年金手帳・戸籍謄本(受給権発生日以降で提出日から6ヶ月以内に交付されたもの)
・世帯全員の住民票の写し
・父の住民票の除票(不要な場合有り)
・所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票等、母の収入が確認できる書類
・受取先金融機関の通帳等(母名義)
預金通帳またはキャッシュカード(コピーも可)などで良い場合や、添付不要な場合有り
・母の年金証書
寡婦年金申請の詳しい添付書類や届出書の記載例などは、日本年金機構のホームページが参考になります。
 

提出の注意点

「死亡の届出」や「未支給年金請求の届出」の手続きが遅れると、年金を多く受け取りすぎることになります。多く受け取った年金は、あとで返すことになるので、早めに手続きをおこなってください。
 
また、受け取った未支給年金は、一時所得になり確定申告が必要になる場合があるので注意しましょう。ただし、一時所得には50万円の特別控除があるため、受け取った年の支給金も含めた一時所得の合計額が50万円以下であれば確定申告は不要です。
 
年金手続きは提出先や必要な書類をよく確認して、早めに済ませておく方が後回しにするよりも良いでしょう。面倒な年金手続きを手伝ってあげれば、親も喜んでくれるのではないでしょうか。
 
出典
日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」
日本年金機構「寡婦年金を受けるとき」

 
執筆者:石井美和
 

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