今回はその中でも「年金手続き」に特化して、どんな場面でマイナンバーが必要になるか解説します。
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執筆者:松木優子(まつき ゆうこ)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。
来店型保険ショップ元コンサルタント。首都圏郊外の地域密着店や、都市部の富裕層が多い店舗で、年間約150組のお客様のコンサルタントを担当。
目次
基礎年金番号とマイナンバーの違い
「基礎年金番号」は年金記録の管理に用いられる番号で、「マイナンバー」は社会保障・税・災害対策において個人情報を一元的に管理する番号です。年金の手続きの際に、これまでは「基礎年金番号」のほかに本人確認書類など複数の書類を提出していたものが「マイナンバー」1つでできるようになるなど、より便利になりました。
では具体的に、どんなときにマイナンバーが必要なのでしょうか。
年金相談や年金記録の照会をするとき
基礎年金番号が分からない場合でも、マイナンバーカードなどの本人確認書類を提示することで年金相談ができます。相談は年金事務所の窓口、または電話にて可能です。
また、「ねんきんネット」のユーザーIDを持っていなくても、マイナンバーカードにより「マイナポータル」へログインすることで、「ねんきんネット」にアクセスすることができます。場合によっては基礎年金番号が必要になることもあるので、念のためお手元に用意しておくと良いでしょう。
●マイナポータルのトップページ
出典:総務省 「マイナポータル」
年金に関する各種届出・申請をするとき
これまで基礎年金番号を記入していた各種届出・申請については、原則マイナンバーを記入して手続きをします。もしマイナンバーが不明な場合は、従来どおり基礎年金番号を記入することで手続きができます。
年金関係の書類は多岐にわたりますが、代表的なものに「国民年金被保険者関係届書」、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」などがあります。
下記は「国民年金被保険者関係届書」です。赤枠で示したところにマイナンバー(個人番号)を記入します。
出典:日本年金機構「国民年金被保険者関係届書(申出書)」
年金を受給するとき
先述の「年金に関する各種届出・申請をするとき」と同様、年金を受給する際も原則、マイナンバーを記載します。これにより、今まで必要だった「所得証明書(課税証明書・非課税証明書)」や住民票の提出を省略できるようになりました。
下記は受給申請の際に提出する「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」です。赤枠部分にマイナンバーを記載します。
出典:日本年金機構 「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」
住所変更や氏名変更、死亡の届け出は不要になる
住所変更や氏名変更、受給権者の死亡届については、マイナンバーと基礎年金番号がひも付いていれば、届け出を省略できます。
マイナンバーと基礎年金番号がひも付いていない方とは、主に厚生年金加入者のうち、勤務先から日本年金機構への届け出が完了していない方を指します。自身の番号がひも付けされているか不安な方は、日本年金機構に問い合わせることをおすすめします。また、ねんきんネットからも確認ができます。
基礎年金番号が必要な場合も! 大切に保管を
このように、マイナンバーを利用することで、さまざまな年金手続きが可能です。しかし海外に転出した場合や、国民年金保険料の口座振替を申請する際などに基礎年金番号が必要になるため、基礎年金番号が記載されている年金手帳などは大切に保管しておきましょう。
出典
日本年金機構 「日本年金機構におけるマイナンバーへの対応」
日本年金機構 「『ねんきんネット』とマイナポータルがつながりました」
日本年金機構 「平成30年3月から変更となる届書様式レイアウト(代表的なもの)」
総務省 「マイナポータル」
執筆者:松木優子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。
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