更新日: 2021.02.05 国民年金

国民年金保険料をおトクに納付する方法はある?

執筆者 : 辻章嗣

国民年金保険料をおトクに納付する方法はある?
国民年金の第1号被保険者は、国民年金保険料を基本的に毎月納付する義務があります。今回は、その保険料を納付する方法について解説するとともに、おトクな納付方法を紹介します。
辻章嗣

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

国民年金保険料を納付すべき人と納付方法

1. 第1号被保険者と納付義務者とは

日本に住んでいる20歳以上、60歳未満の人は全て国民年金に加入することが義務付けられています。そして、そのうちの自営業者や農業者とその家族、学生、無職の人など、第2号被保険者・第3号被保険者でない人が第1号被保険者になります(※1)。
 
なお、第2号被保険者とは会社員や公務員で厚生年金保険の被保険者である人をいい、第3号被保険者とは第2号被保険者に扶養されている配偶者の人です。第1号被保険者は国民年金保険料を納付しなければなりませんが、本人または保険料連帯納付義務者である世帯主や配偶者のいずれかが保険料を納めることになります。
 

2. 国民年金保険料額と納付期限は

国民年金の保険料は毎年度見直しが行われていますが、令和3年度の国民年金保険料は月額1万6610円(令和4年度は1万6590円)です。そして納付期限は、納付対象月の翌月末日と定められています(※2)。
 

3. 保険料の納付方法は

国民年金保険料の納付方法には、以下の3つがあります(※2)。
 
(1)納付書
年金事務所が発行する納付書「領収(納付受託)済通知書」を使用して、銀行などの金融機関、郵便局、コンビニエンスストアにおいて現金で納付することができます。また、インターネットバンキングなどの電子納付やPay-easy(ペイジー)を利用することもできます(※3)。なお、市区町村役場や年金事務所で納付することはできません。
 
(2)口座振替
金融機関の口座から保険料を振り替えで納付することができます。利用する金融機関または年金事務所で口座振替を申し込めるほか、郵送による手続きも可能です。手続きに必要な書類などは以下のとおりです。
 

・国民年金保険料口座振替納付(変更)申込書兼国民年金保険料口座振替依頼書(※4)
・基礎年金番号が分かるもの(年金手帳や納付書など)
・口座番号が分かるもの(預貯金通帳またはキャッシュカード)
・届出印(通帳に使っている印鑑)

 
(3)クレジットカード
クレジットカードから保険料を継続的に支払うことができます。クレジットカードを利用するためには、以下の書類を年金事務所に提出します。また、郵送による手続きも可能です。

・国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書(※4)
・基礎年金番号が分かるもの(年金手帳や納付書など)
・利用するクレジットカード
・国民年金保険料クレジットカード納付に関する同意書(被保険者とカード名義人が異なる場合)(※4)

 

国民年金保険料をおトクに納付する方法とは?

国民年金保険料をおトクに納付するには、全ての納付方法で利用できる前納制度と口座振替で利用できる早割制度があります。
 
1. 現金払いによる前納制度を利用する
納付書を利用して現金払いをする場合、下図のとおり、1年分を前納すると年間で3540円、6ヶ月分を前納すると6ヶ月で810円の割引となります。
 


 
納付書により保険料を納付している方には1年分と6ヶ月分前納用の納付書が4月上旬に届きますので、現金で前納する場合、1年分と前半期分(令和3年4月~9月)は令和3年4月30日までに、後半期分(令和3年10月~令和4年3月)は、令和3年11月1日までに納付してください(※5)。
 
また、2年分(令和3年4月分から令和5年3月分)を前納すると下図のとおり2年間で1万4590円の割引となります。
 

 
2年分前納に使用する納付書は、年金事務所に申し込んで送付してもらう必要があります。納付期限は令和3年4月30日になります(※5)。
 
また、現金払いで前納する方法には、1年分や6ヶ月分だけでなく、任意の月分から当年度末または翌年度末までの保険料を前納する方法もあります。この場合の前納金額や納付書については年金事務所に問い合わせてください。
 
なお、クレジットカード払いでも2年分前納、1年分前納、6ヶ月分前納の割引制度を利用することができ、前納金額は現金払いと同額です(※2)。
 
2. 口座振替による前納制度を利用する
口座振替で保険料を納付する場合は下表のとおり、現金による前納より割引額が多くなります(※6)。
 

 
口座振替を利用されている方が前納する場合は、「国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書」を金融機関または年金事務所に下表の期限までに提出してください。郵送で申し込むこともできます。
 
なお、下表の期日に引き落としされますので口座の残高不足に注意してください。
 

 
振り替えによる前納を一度申し込んだ場合、再度申し込む必要はありませんが、1年前納から2年前納など、前納方法を変更する場合は再度の申し込みが必要です。
 
3. 口座振替による早割制度を利用する
令和2年度の例で、月々の保険料を口座振替で納付している方が下表のとおり、口座振替の早割を利用すると年間で600円(月額50円)の割引となります(※7)。なお、令和3年度の割引額は後日、日本年金機構から発表されます(令和3年1月29日現在)。
 

 
出典
(※1)日本年金機構 第1号被保険者
(※2)日本年金機構 国民年金保険料
(※3)日本マルチペイメントネットワーク推進協議会 国民年金保険料のかんたんな納付方法
(※4)日本年金機構 国民年金関係届書・申請書一覧
(※5)日本年金機構 国民年金前納割引制度(現金払い 前納)
(※6)日本年金機構 国民年金前納割引制度(口座振替 前納)
(※7)日本年金機構 国民年金前納割引制度(口座振替 早割)
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
 

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