最終更新日:2019.01.07 公開日:2018.07.24
税金

支援の形は人それぞれ。「ふるさと納税」制度を利用した被災地への寄附とは

7月上旬に、西日本を中心とした地域は豪雨によって大きな被害を受けました。まずは、この豪雨によって多大なる被害を受けられた皆さまに対して、心からお見舞いを申し上げます。

政府は、この災害を「激甚災害」に指定する方針を固めています(平成30年7月15日現在)。一方で、私たち個人としても、何らかの形で被災地支援を行いたいという気持ちがあるのではないでしょうか。

支援の形は、物資の供給やボランティアなどさまざまと思いますが、効果的な方法のひとつに「被災地への寄附」が挙げられます。

そして、被災地自治体への寄附では「ふるさと納税」制度の適用を受けることが可能ですので、本記事ではその制度の紹介をします(税制は平成30年1月1日現在施行法令に拠っています)。
 

ふるさと納税の概要

ふるさと納税は、所得税からの控除と住民税からの控除を受けることができる制度です。ふるさと納税というと、寄附をして返礼品を受領するイメージを抱くかもしれませんが、返礼品を受け取らない形での寄附とお考えください。ふるさと納税のポータルサイトでも、災害支援の寄附金を受け付けています。
 
納税者の実質的な負担は2000円で、被災地に寄附が行われることになります。ただし、寄附額が限度額を超えた場合は、実質負担額が2000円を超えてしまう場合があります。
 
具体的な計算方法は以下のとおりですが、詳しくは住民税納付先の自治体に確認してください。
  
控除額=所得税からの控除+住民税からの控除(基本分)+住民税からの控除(特例分)
 
1.所得税からの控除
(ふるさと納税額※-2000円)×所得税の税率
  ※総所得金額等の40%が上限になります。
 
  2.住民税からの控除(基本分)
(ふるさと納税額※-2000円)×10%
 ※総所得金額等の30%が上限になります。
 
3-1.住民税からの控除(特例分1)
 (ふるさと納税額-2000円)×(100%-10%-所得税の税率)
 この計算結果が住民税所得割額の2割を超える場合は、この計算式に代えて次の3-2によって計算します。 
  
3-2.住民税からの控除(特例分2)
 住民税所得割額×20%
  3-1によらない場合の計算式です。この計算結果による場合は、実質負担額2000円を超えることになります。
  

ワンストップ特例制度

確定申告を行わなくても、ふるさと納税の控除を受けることができる制度があります。これが「ワンストップ特例制度」です。ただし、この制度を利用するためには、
 
1. 寄附を行った年の所得について、確定申告をする必要がない
2. 1年間のふるさと納税先自治体が5つまで
といった条件をいずれも満たす必要があります。さらに、寄附のたびに自治体へワンストップ特例申請手続きを行うことも必要です。
 
基本的な手続きは以下のとおりです。自治体によって流れが異なる可能性がありますので、寄附先の自治体に確認ください。
 
1. ワンストップ特例申請用紙(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)をWEBサイト等から入手し、必要事項を記入
2. マイナンバー関連書類(カードの写しや本人確認書類)を添えて、1.の書類を寄附先自治体へ送付
 
なお、このワンストップ特例制度を適用した場合は、所得税の控除を受けることはできません。対象となる全額を住民税から控除することになります。
 

確定申告書への記載

ふるさと納税によるワンストップ特例制度の適用を受けない場合は、確定申告を行う必要があります。その際に、確定申告書に必要事項を記入すること、確定申告書を提出する際に、寄附金の受領書の添付または提示をすることを忘れないでください。
 
特に、確定申告書第二表の「住民税に関する事項」(寄附金税額控除の部分)の記載を忘れがちです。この部分の記載を忘れてしまうと、せっかく確定申告書を提出しても住民税からの控除を受けることができなくなってしまいますので、注意してください。
 

「住民税に関する事項」への記載を忘れたら

確定申告書第二表「住民税に関する事項」の記載を忘れてしまって、住民税から税額控除を受けることができなくなってしまったら、諦めるしかないのでしょうか?
 
そのようなことはなくて、住民税の確定申告書をお住いの市区町村役場に提出することで、対応が可能です。詳細は、住民税納付先の住民税担当部署に確認してみてください。
 

ふるさと納税制度の意義とあり方

ふるさと納税制度は、お住いの自治体への住民税が他の自治体へ移転するという効果があります。そのため、返礼品競争の過熱等が問題視されてもいます。
 
そもそも、ふるさと納税には3つの大きな意義があるとされます。それは、「納税者が寄附先を選択する制度であり、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること」「お世話になった地域やこれから応援したい地域の力になれる制度であること」「自治体が国民に取組をアピールすることで、自治体間の競争が進むこと」といったものです。
 
制度趣旨が没却されないように、納税者の側でも節度ある利用が求められているといえるでしょう。返礼品をもらうためだけではなく、被災した自治体への支援という観点からふるさと納税を利用してみることも、検討してみてはいかがでしょうか。
 
Text:星田 直太(ほしだ なおた)
税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))

星田直太

執筆者:星田直太(ほしだ なおた)

税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))

一般企業勤務を経て、30代から税務会計の世界に入り、税理士とCFPの資格を取得。

税理士法人勤務時には法人税務顧問、ベンチャー支援、事業再生、相続・事業承継といった多様な業務に従事。公的機関での勤務も経験した後、2014年に独立。現在は西新宿に税理士事務所を開業している。

中小企業向けの講演多数。他の専門家とも多く提携しており、ワンストップでお客様のお悩みに対応できる体制を構築している。



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