更新日: 2019.05.17 その他税金
「お持ち帰りですか?お召し上がりですか?」が税率の選択に…軽減税率てなに?
Text:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
オロナミンCは8%、リポビタンDは10%
生きていくためには、最低限、食事は必要です。そのため、人が飲んだり食べたりする物は税率8%に軽減されます。しかし、全部が全部軽減されるのではなく、除外品があります。
・「酒類」「外食」は全て税率10%です。
例えば、料理に使う本みりんは酒類になるため税率10%ですが、みりん風調味料は酒類ではないので税率8%に軽減されます。外食において、義務教育の学校給食は税率8%に軽減されますが、大学等の学生食堂は学校給食とされないため10%です。
・「ケータリング等」の料理人が出張して盛りつけや料理してくれるサービスは、自宅で食事しても税率10%です。但し、有料老人ホーム(老人福祉法の規定により届け出されている場合)での入居者への食事の提供、は税率8%に軽減されます。
・「一体資産」、例えばスーパーマーケットの食料品売り場にあるおもちゃ付きのお菓子などは、原則税率10%です。しかし、税抜き価格が一万円以下で、食品の価格が全体の2/3以上の場合、おもちゃも含め全体が税率8%に軽減されます。
・「医薬品・医薬部外品」と指定があれば税率10%です。
同じ栄養ドリンクといわれるものでも、リポビタンDは医薬部外品と表示されているため税率10%ですが、オロナミンCドリンクは清涼飲料水のため税率8%に軽減されます。
「お持ち帰りですか?お召し上がりですか?」は税率の選択
では、テイクアウトや宅配はどうなのでしょうか。
テイクアウトや宅配等は税率8%に軽減されます。ここで問題になるのが、フードコートやコンビニエンスストア等で、イートインと持ち帰りの両方のサービスが受けられる場合はどう判断するのかということです。これは、レジで注文して、飲食料品を取引する時点で判断します。
「お持ち帰りですか、店内でお召し上がりですか?」が、税率の選択にもなります。持ち帰りの場合は税率8%、店内飲食は税率10%になります。
ほとんどが持ち帰りのコンビニエンスストアでは、いちいち聞かなくても、「イートインスペースを使う場合は申し出て下さい」と掲示をしておいても良いというのが、国税庁より公表されています(平成30年1月改正)。
しかし、平成30年10月に、店内飲食禁止を条件にコンビニエンスストアの飲食料品を8%の軽減税率にするという財務省の方針が、日本経済新聞等で報道されています(平成30年11月15日現在、その件につきまして、未だ国税庁からはお知らせはありません)。
反対に、外食で提供されたものを食べきれずテイクアウトする場合ですが、その分を税率8%で計算し直すことはありません。
コンビニの新聞は軽減税率対象外
軽減税率の対象となる新聞は、「一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等の関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもので、定期購読契約に基づくもの」とされています。
そのため、同じ新聞を毎朝読んでいる場合、「定期購読」をしていれば8%の軽減税率が適用されるところ、出勤ついでにコンビニで買っている場合は税率10%となります。
「週2回以上」の発行のものが、仮に休刊日で週1回になっても、週2回の発行の定期購読契約であるなら税率8%に軽減されます。
また、電子版での新聞の場合、電気通信回路を通じた薬務の提供である「電気通信利用役務の提供」になるため、「新聞の譲渡」にならず、軽減税率には該当しません。
便乗値上げにご用心
今までの消費税の引き上げの際にも言われていましたが、これに便乗して値上げをしてくる場合もあります。もしかしたら・・というそんな時は、「消費者価格転嫁等総合相談センター」に相談しましょう。
(1)転嫁 (2)広告・宣伝 (3)消費税総額表示 (4)便乗値上げ に関する問い合わせの他、軽減税率制度の概要の問い合わせも受け付けています。
Text:林 智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者