ちょっと待って!増税前の駆け込み購入にメリットは少ないかも知れませんよ
配信日: 2019.02.10 更新日: 2020.04.07
頑張って10万円分くらいの生活必需品を増税前に購入すれば、消費税は8000円。増税後なら1万円で、2000円の差額が出ます。
10万円分の生活必需品を保管しておくスペースとして、家賃6万円50平方メートルの住宅の1平方メートルを使うとすれば、維持コストは月1200円。約2ヶ月以内に生活必需品を消費しなければ、増税前に買うメリットはありません。―と、屁理屈めいたことを言うのには理由があります。
はっきり言って、よほど大きな買い物でないかぎり、増税前の駆け込み購入にメリットは少ないです。
執筆者:福田昌也(ふくだ まさや)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)、保護司
1972年大阪市浪速区生まれ。1996年沖縄に移住。
2007年にFPとして独立。ライフプランニングや保険証券分析、相続対策などの相談業務を手掛ける傍ら、年間100本以上の講演会やセミナーを開催。夜はミュージシャン(脱力クラブBAND)として活動。最近ではリタイアメントプランニングの一環として詩吟にハマっている。
増税前の車や不動産の購入は、本当にお得?
大きな買い物といえば、車や不動産でしょうか。仮に4000万円(うち建物代2000万円)のマンションを買うにしても、土地は非課税なので、増税前だと消費税は160万円、増税後だと200万円です。40万円も差が出るなら、増税前の購入を考えたいところです。
しかし、それは皆同じ。もし買いたい人が多ければ、新築工事も増え、職人さんや材料にかかる費用も上がります。結果的に、不動産の購入価格も上がってしまいますので、大きな買い物としても、駆け込みで購入するメリットは少ないと言えます。
しかも、不動産という家族の人生を左右する買い物を、国の政策に踊らされて選択するのはいかがかと思います。やはり、ご家族でゆっくり話し合い、適切なタイミングで購入されるのがベターだと思います。
増税後には「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」の延長や、すまい給付金の拡充の可能性も
先述した4000万円の物件を消費税10%適用後に購入した場合、200万円の消費税を支払うことになりますが、そこは政府も増税後の住宅支援策を考えています。
まず、「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」の延長です。いろいろと条件などもありますが、通常10年間受けられる所得税・住民税の控除が3年延長されます。ローンを組む方の所得にもよりますが、延長された分で最大で約78万円の恩恵を受けることができます(価格は借入4000万円/金利1.5%/35年固定ローンで試算)。
次に、すまい給付金も年収によりますが、増税後は最大30万円から50万円に拡充される予定です。あと、一定の性能を満たす住宅には、商品と交換できるポイントの付与も検討されています。「急がば回れ」と言ったところでしょうか。
執筆者:福田昌也(ふくだ まさや)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)、保護司