更新日: 2020.03.06 控除

サクッと確認! 医療費控除の対象に「なるもの」と「ならないもの」

執筆者 : 飯田道子

サクッと確認! 医療費控除の対象に「なるもの」と「ならないもの」
2019年に病気の治療のために通院した、薬を買ったなど、医療に関するさまざまなことをした人は少なくないでしょう。しかし、医療費控除の対象になるのはどんな行為・コトなのかを、ぼんやりとだけイメージしている人は多いようです。
 
今回は、医療費控除の対象になるものにはどのようなものがあり、どのようなものが対象にならないのかについて述べていきます。
 
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

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そもそも医療費控除ってどんな制度?

よく耳にする医療費控除という言葉ですが、その概要については分からないという人もいます。そもそも医療費控除とは、控除を受けたい年に本人や家族が支払った医療費の支払いが10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)を超えたときに、所得から控除できるというものです。
 
確定申告をすることで還付を受けることが可能です。2019年分の控除をする場合には、2020年2月17日(月)から3月16日(月)の間に申告書を提出する必要がありましたが、新型コロナウイルスの影響により、「4月16日(木)」までその期限が延長されました。窓口に出向かなくても郵送やオンライン上からの申請も可能です。

控除の対象に「なるもの」と「ならないもの」を知っておこう

医療費控除という名称だから、医療に関することのすべてが控除の対象になると考えてしまいがちですが、すべての行為・コトが控除の対象となるわけではありません。

●対象となる代表的なもの

(1)病院や歯科医院で支払った医療費
(2)治療や療養のために必要な薬の購入代金
(3)あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の費用など

●(1)~(3)で対象にならないもの

(1)の場合、健康診断の費用は対象外です。
(2)薬局で風邪薬を購入した場合には医療費になりますが、栄養補給のためにビタミン剤を購入した場合には対象外です。
(3)は疲れを取るため、体調を整えるためという施術の場合には対象外です。
 
マッサージが医療費控除になると聞いて「ラッキー」と思った人もいるかもしれませんが、あくまでも治療目的のものが対象です。もし、自分が受けた施術が医療費控除の対象になるのか分からない場合には、税務署もしくは施術先で確認をしておきましょう。
 
また、介護関連でも控除の対象となるものがあります。

●介護関連で対象となる代表的なもの

(1)訪問看護や家政婦さんに病人の付き添いを頼んだ場合の費用
(2)介護保険等制度で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額

●介護関連で対象とならないもの

(1)看護師などに渡す心付けは対象外。また、家族や親類縁者に付き添いを頼んで付添料を支払った場合は対象外
(2)介護保険でカバーされた部分
 
その他に、出産費用も控除の対象です。
 
入院中の食事代は控除の対象になるものの、他から出前を取る、外食した場合には控除の対象にはなりませんし、パジャマや洗面具などの入院の準備のためにそろえた品物も対象外です。
 
また、出産で入院するときに、電車やバスなどの公的交通機関の利用が困難な状態でタクシーを利用した場合には、そのタクシー代は医療費控除の対象となります。ただし、実家で出産するための帰省費用は医療費控除の対象にはなりません。

知っておきたい意外な控除対象とは?

なかには「え? こんなものが」という費用が医療費控除の対象になるものもあります。ぜひ、知っておいてください。難しい表現ですが、「医師等による診療や治療や施術時の介助を受けるために直接必要なもの」は、控除の対象になる、とイメージされると分かりやすいかもしれません。
 
具体的には、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料、義手、義足、松葉づえ、補聴器、義歯、眼鏡などの購入費用、傷病によりおおむね6カ月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるときのおむつ代などがあります。
 
想像していた以上に、医療費控除の対象となる行為やコトはあります。可能であれば、その都度確認するのが望ましいのですが、分からない場合には領収書や明細書はすべて保管し、まとめて確認するのも良いかもしれません。
 
ちょっと面倒に感じる医療費控除ですが、申告しなければお金は戻ってきません。大変だとは思いますが、ぜひ取り組んでみてください。
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト


 

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