更新日: 2021.03.08 その他税金
住宅資金贈与を受けた場合の非課税枠の引き上げとは?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例とは
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例とは、平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に親や祖父母といった直系尊属からの贈与により、自分が居住する住宅を取得するための金銭を取得した際、一定の要件を満たすことで通常の贈与税よりも非課税となる金額の範囲が広げられる特例のことです。
この住宅の取得には新築はもちろん、築20年以内(耐火建築物は25年以内)の中古建物、これらの敷地となる土地部分も含まれるほか、一定の増改築も含まれます。
非課税となる金額はどれくらい?
本特例によって非課税となる金額は元々、契約を締結した日や取得した住宅の種類によって300万円から1500万円となっていました。
しかし、契約を締結したのが平成31年4月1日から令和3年12月31日の間で、かつ、住宅の取得価格における消費税の税率が10%となっている場合は、非課税の範囲が700万円から3000万円の範囲へ引き上げられます。
【住宅購入などの価格における消費税等の税率が10%ではない場合】
住宅購入などをした際の契約日 | 省エネ等住宅 | 他の住宅 |
---|---|---|
平成27年12月31日までの契約 | 1500万円 | 1000万円 |
平成28年1月1日から 令和2年3月31日までの契約 |
1200万円 | 700万円 |
令和2年4月1日から 令和3年3月31日までの契約 |
1000万円 | 500万円 |
令和3年4月1日から 令和3年12月31日までの契約 |
800万円 | 300万円 |
※国税庁 「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」より筆者作成
【住宅購入などの価格における消費税等の税率が10%である場合】
住宅購入などをした際の契約日 | 省エネ等住宅 | 他の住宅 |
---|---|---|
平成31年4月1日から 令和2年3月31日までの契約 |
3000万円 | 2500万円 |
令和2年4月1日から 令和3年3月31日までの契約 |
1500万円 | 1000万円 |
令和3年4月1日から 令和3年12月31日までの契約 |
1200万円 | 700万円 |
※国税庁 「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」より筆者作成
なお、上記の表における省エネ等住宅とは、省エネ等基準に適合する住宅用家屋であると一定の書類などにより証明された住宅のことをいいます。省エネ等基準の適合条件は以下のとおりです。
●断熱等性能等級4、もしくは一次エネルギー消費量等級4以上であること
●耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上、もしくは免震建築物であること
●高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること
詳細については最寄りの税務署へお問い合わせください。
非課税の特例を受けるための要件は?
本特例を受けるためには、贈与を受ける人(受遺者)と購入する住宅の両方において一定の要件を満たす必要があります。
受遺者側の要件
受遺者側の要件としては主に次のようなものがあります。
●贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2000万円以下である
●贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築などをする
●贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その家屋に居住すること。または3月15日以降、遅滞なく居住することが確実であると見込まれる
上記の他にも細かな要件があります。
住宅側の要件
住宅側の要件には主に次のようなものがあります。
●新築または取得、増改築した住宅用家屋の床面積が、登記簿上50平方メートル以上240平方メートル以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるもの
●増改築の場合、工事費用が100万円以上であること
●省エネ等住宅に該当する特例を受けるのであれば、その旨の証明があること
上記の他にも細かな要件があるため、必ず確認するようにしてください。
非課税の特例を受けるための手続きは?
本特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例を受ける内容を記載した贈与税の申告書に住宅の新築や取得を証明するための契約書の写しなど一定の書類を添付し、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。
期限に遅れると特例が受けられないため、必ず期限内に申請してください。
住宅資金の贈与は非課税の特例を賢く利用
直系尊属から住宅資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たすことで最大3000万円の非課税の特例を受けることができます。この特例は、通常の贈与の非課税枠(110万円)より優遇されている反面、令和3年12月31日までに住宅の購入などの契約を結ぶことが必要など細かな要件が定められています。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例を受けようと考えているのであれば、早めに要件を確認し、場合によっては税務署に相談しながら手続きを進めるようにしてください。
出典
国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
執筆者:柘植輝
行政書士