親を「扶養」に入れて、税金や保険料を軽減する場合の条件とは?

配信日: 2020.03.22

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親を「扶養」に入れて、税金や保険料を軽減する場合の条件とは?
親を子どもの扶養に入れることによって、子どもの税金や親の国民健康保険料の負担を軽減することが可能です。

しかし、ひと言で扶養に入れる(入る)といっても、所得税の「扶養親族」と健康保険の「被扶養者」の要件はまったく異なります。場合によっては、所得税の扶養にしか入れない場合もあります。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

所得税の扶養親族

納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。親を扶養に入れることであなたの所得税や住民税が安くなります。
 
所得税の扶養親族とは、(1)所得者と生計を一にする親族(配偶者は除く)で、(2)合計所得金額が48万円(令和元年までは38万円)以下の人をいいます。例えば、給与所得=給与収入-給与所得控除です。
 
ちなみに、所得は収入金額(額面金額)から必要経費を差し引いた金額のことです。
「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではなく、別居していても余暇には起居をともにすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合も「生計を一にする」として取り扱われます。
 
給与所得だけの場合は、本年中の給与の収入金額が103万円以下であれば、合計所得金額が48万円以下になります。公的年金等に関わる雑所得だけの場合は、本年中の公的年金等の収入金額が158万円以下(年齢65歳未満の人は108万円以下)であれば、合計所得金額が48万円以下です。
 
控除額は、扶養親族の年齢(12月31日現在)、同居の有無等により以下のように異なります。
・一般の控除対象扶養親族(16歳以上):38万円
・特定扶養親族(19歳以上23歳未満):63万円
・同居老親等(70歳以上):58万円
・同居老親等以外の者(70歳以上):48万円

健康保険の被扶養者

親を自分が加入している健康保険の扶養に入れることができれば、自分の保険料は変わりませんが、これまで親が自分で払っていた保険料を支払う必要がなくなります。被扶養者は、保険料の負担はありませんが健康保険のサービスは受けられるメリットがあります。
 
被扶養者は被保険者から見て3親等以内の親族であることが必要です。直系尊属、配偶者、子、孫、弟妹以外の親族は同一の世帯に属していることが条件です。
 
被保険者により主として生計を維持されていること、具体的には、年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障がい者の場合は180万円未満)であって、かつ、(1)同居の場合は被保険者の年間収入の2分の1未満であり、(2)別居の場合は、収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満であることなどとなっています。
 
なお、被扶養者の認定基準は保険者により異なる場合がありますので、詳細は保険者にご確認ください。

遺族年金を受給する母親を「扶養家族」にできる?

母親本人の老齢基礎年金70万円と、父親の死亡による遺族年金120万円のケースで考えてみましょう。
 
遺族年金は非課税です。また、母親の老齢基礎年金も110万円(令和元年まで120万円)の「公的年金等控除」がありますので、母親に他に収入がない場合は所得がゼロになり、合計所得金額が48万円以下ですので「扶養親族」にできます。
 
一方、健康保険の被扶養者の収入には遺族年金も含みますので、上記のケースでは遺族年金と老齢基礎年金を合わせると180万円を超えますので、健康保険の被扶養者になることはできません。
 
以上のように、扶養に入れる(入る)といっても、扶養には所得税の「扶養親族」と健康保険の「被扶養者」があり、それぞれ要件がまったく異なるので、このケースのように所得税の扶養にしか入れない場合もあります。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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