更新日: 2022.01.03 確定申告
要注意! 確定申告でミスが多い項目(3)税額計算
今回も前回に引き続き、国税庁ホームページ『確定申告期に多いお問い合わせ事項Q&A』の「Q23 所得税及び復興特別所得税の確定申告の際に、誤りの多い例にはどのようなものがありますか。」を例にとり、詳しく見ていきましょう。
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
住宅ローン控除で注意が必要な方
課税所得により税金を算出したら、税額控除をします。住宅借入金特別控除(住宅ローン控除)がある場合、ここで控除します。その際に、住居所得を譲渡した特例(3000万円の特別控除)や、住宅取得資金の贈与の特例を受けている方はご注意ください。
住んでいた家を譲渡する場合、新しい家に入居した年、およびその年の前2年、もしくは後3年の6年間(令和2年3月31日以前に従前の住宅等を譲渡した場合は前後2年の5年間)以内に、譲渡所得の課税の特例等(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(3000万円の特別控除)など)を適用するときは、住宅借入金等特別控除を受けることはできません。
また、住宅の取得等に際して住宅取得等資金の贈与を受けて、住宅取得等資金の贈与の特例(「住宅取得等資金の贈与税の非課税」(措法70の2)または「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」(措法70の3))を適用した場合には、その適用を受けた住宅取得等資金の額を、住宅の購入金額から差し引いて計算します。
復興特別所得税も忘れずに
税額控除をして、今年分の所得税の計算ができました。しかし、それで終わりではありません。所得税の計算をしたら、復興特別所得税の計算もお忘れなく。
東日本大震災の復興のため、平成25年分から令和19年分まで、所得税を納める人は復興特別所得税(所得税の2.1%)も併せて納付しなければなりません。申告書に「復興特別所得税額」の欄があります。忘れないように記載しましょう。還付申請の場合も同様です。
予定納税額をしている方は記載を忘れずに
令和3年分の所得税も復興特別所得税の計算が終わり、今年分の申告納税額の計算ができました。ここで、予定納税をしている人は注意が必要です。
予定納税とは、事業所得者で、前年分の所得や税額を基に計算した予定納税基準額が15万円以上である場合、その年の所得税・復興特別所得税の一部をあらかじめ納めるものです。
税務署から「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」や「確定申告のお知らせ」(はがき)に予定納税額の情報が記載されています。
あらかじめ今年分の税金の一部を払うのが予定納税です。申告書で計算された今年分支払う税額から、あらかじめ支払った予定納税額を差し引いて、この申告で支払う金額を算出します。
予定納税の記載をし忘れると、差し引くことができなくなってしまうため、前もって払った税金分がまったく考慮されないまま、今年分に支払わなければならない税額が計算されてしまいます。
確定申告前に、会社からの源泉徴収票、事業所得がある方は青色決算書や収支内訳書、保険会社からのお知らせ、税務署から送られてきた書類等の「収入」と「控除」に関する書類を準備しておきましょう。医療費控除は「医療費控除の明細書」を作成しておきましょう。
国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーは、必要な情報を入力するだけで正しく計算されます。印刷して申告することも、e-Taxでの申告もできます。国税庁の確定申告コーナーでは、申告が多い項目の「ふるさと納税」「医療費控除」「配当等の申告」について詳しく解説されています。ご参考にしてください。
令和3年分の所得税の確定申告の受付は、令和4年2月16日(水)から3月15日(水)までです。ただし、還付申告は翌年1月1日から5年間(令和3年分は、令和4年1月1日から令和8年12月31日まで)です。混雑する前に申告しましょう。
出典
国税庁「【申告相談】確定申告時期に多いお問い合わせ事項Q&A」
国税庁「No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」
国税庁「No.2040 予定納税」
国税庁「令和3年分確定申告特集 準備編」
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者