更新日: 2021.12.27 確定申告

要注意! 確定申告でミスが多い項目(1)所得の申告漏れに注意

執筆者 : 林智慮

要注意! 確定申告でミスが多い項目(1)所得の申告漏れに注意
もうすぐ確定申告の時期がやってきます。現在は、税務署や確定申告会場にいかなくても、e-tax(インターネット)や郵送でも申告ができます。
 
しかし、記入漏れや申告漏れ、控除計算ミスなどの誤りが見られると、国税庁より注意が出されています。そこで、確定申告でミスの多い箇所を確認し、スムーズに申告が行えるよう準備をしておきましょう。
 
国税庁ホームページ『確定申告期に多いお問い合わせ事項Q&A』の「Q23 所得税及び復興特別所得税の確定申告の際に、誤りの多い例にはどのようなものがありますか。」を例にとり、詳しく見ていきましょう。
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

副収入の申告漏れはありませんか?

給与所得者は、年末調整により源泉徴収税額を精算して課税関係は終了します。しかし、副業等で『20万円を超える給与以外の所得』を得ている場合は、確定申告の必要があります。
 
20万円以下の場合は、わざわざそのために確定申告の必要はありませんが、医療費控除や寄付金控除等の申告をする場合は、20万円以下の副収入でも併せて申告しなければなりません(20万円以下の申告不要は、所得税の申告の場合です。住民税は申告が必要です)。
 
また、事業としてでなくても、以下のような所得は雑所得に該当されます。
 

1.フリマアプリやオークションサイトを利用した個人間取引による所得

・衣服・雑貨・家電などの資産の売却による所得(ただし、生活に使っている資産(古着や家財等)の売却は非課税のため申告は不要)
・自家用者等の資産を貸して得た所得
・家庭教師やベビーシッターなどの役務提供による所得
 

2.暗号資産(ビットコインやその他の等)の売却による所得

口座から現金を引き出してなくても、売ったり使ったりした時点で所得が発生します。売った(使った)分の金額から売却した(使った)分を仕入れた金額が雑収入になります。
 

3.民泊による所得

空き部屋を貸すだけでなく、安全管理や衛生管理、観光サービスの提供等もあるため、不動産賃貸ではなく雑所得とされます。
 

給与所得・雑収入の計算に誤りはありませんか?

令和2年分より、給与所得控除・年金所得控除が一律10万円引き下げられ、控除上限額が変更されています。また、給与等の収入金額850万円以上の収入の給与所得控除は195万円が上限とされています。
 
それに伴い、所得金額調整控除(総所得金額の計算の際に、一定の金額を給与所得に金額から控除する)が、次の2つの場合適用されます。
 
1. 給与等の収入金額850万円以上の人が、「特別障害者に該当する」「23歳未満の扶養親族を有する」「特別障害者の家族(配偶者・扶養親族)と生計を一にする」のいずれかの場合、所得金額調整控除を受けられます。この場合は年末調整で行います。
 
収入金額{(1000万円以上は1000万円)-850万円}×10%
 
2. 給与と年金の両方収入がある場合で、給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等にかかる雑所得の合計額が10万円を超える場合は、確定申告で所得金額調整控除をします。
 
控除額={給与所得控除後の給与等の金額(10万円超は10万円)+公的年金等にかかる雑所得にかかる雑所得の金額(10万円超は10万円)}-10万円
 

一時所得・海外所得の申告漏れ

一時的に「もらった」ものにも税金がかけられます。
 
一時所得に該当する収入には、懸賞や福引きの賞金品、競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金のほか、法人から贈与された金品や遺失物拾得者埋蔵物発見者が受ける報労金等も対象です。
 
生命保険会社から満期金や一時金を受け取った場合に、一時所得の申告が必要かどうか、生命保険会社からのお知らせで確認しましょう。その他、ふるさと納税のお礼の品やマイナポイントも一時所得とされます。
 
一時所得は、所得計算をする上で、特別控除額50万円を差し引くことができます。よって、一時所得の総収入-収入を得るための経費≦50万円であれば、確定申告の必要はありません。
 
さらに、一時所得は税額を計算する際に、一時所得の所得金額の1/2が課税所得とされ他の所得と合算されて税額が計算されます。
 
また前述のように、給与所得者の場合、給与所得以外の所得金額が20万円を超えなければ確定申告の必要がないとされています。課税される分は所得金額に1/2なので、1/2とされる前は40万円。特別控除額50万円を引く前は90万円。
 
つまり、給与所得者、給与所得以外の所得が一時所得のみで、一時所得の合計額が90万円を超えないならば、確定申告の必要はありません。 
 
金額が少ないものでも、同年に生命保険の一時金等の大きな金額を受け取っている場合は注意が必要です。国外所得の申告漏れにも注意が必要です。日本に住んでいる人(居住者)は、海外の不動産投資等、国外で得た収益も申告の必要があります。外国の税務当局に申告した場合も、日本での申告が必要です。
 
働き方が多様になり、副業が可能の会社も増えてきました。うっかり申告を忘れてしまうことのないよう、1年間の収入・所得を忘れずに申告しましょう。
 
出典
国税庁「【申告相談】」
国税庁「副収入などがある人の確定申告」
国税庁「No.1906 給与所得者がネットオークション等によって副収入を得た場合」
国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
国税庁「No.1490 一時所得 Q&A/マイナポイントの課税関係」
総務省 ふるさと納税ポータルサイト「よくある質問」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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