仮想通貨に課税される税金は何? 税額や税率について解説
配信日: 2022.05.30
支払う税金は前年分の所得によって確定されますので、仮想通貨取引を行う際には支払う予定の税額も頭に入れておかなければ、納税資金がなく税金を支払えないというリスクもあります。
この記事では、国税庁のガイドラインなどを元に、仮想通貨に課税される税金や税率について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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仮想通貨に課税される税金は所得税と住民税
仮想通貨取引により生じた利益は「雑所得」に区分され、所得税の対象となります。
給与所得のある会社員でも、仮想通貨取引で20万を越える所得がある場合は確定申告の必要があります。ただし、学生や主婦など扶養されている方は、33万円以上の利益が発生した場合に確定申告の必要があります。なお、所得税の基礎控除は1年間の合計所得金額が2400万円以下の場合、48万円です。
所得税の税率
雑所得は累進課税となっており、仮想通貨取引により生じた利益、給与所得などの所得金額の合計金額によって税率が決定されます。
【図表1】
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000円~194万9000円 | 5% | 0円 |
195万円~329万9000円 | 10% | 9万7500円 |
330万円~694万9000円 | 20% | 42万7500円 |
695万円~899万9000円 | 23% | 63万6000円 |
900万円~1799万9000円 | 33% | 153万6000円 |
1800万円~3999万9000円 | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
出典:国税庁 所得税の税率
株式投資やFXで生じた利益に課税される「申告分離課税(一律20.315%)」とは異なり、所得税の最大45%の税率が適用されるため注意が必要です。なお、株式投資やFXの利益に課税される税金は申告分離課税だけではなく、総合課税も選択できます。
住民税の所得割
住民税の所得割は所得に対して一律10%となっています。したがって、仮想通貨取引で生じた利益には、所得税(最大45%)と住民税(10%)を合わせて、最大55%が課税されます。
仮想通貨取引の税額の計算方法
仮想通貨を売却(または仮想通貨で買い物・仮想通貨の交換)した場合、所得金額の計算方法は以下の通りです。
・売却した額(譲渡価額)-{(仮想通貨1単位あたりの譲渡原価)×(売却した数量)}=所得金額
仮想通貨1単位あたりの譲渡原価の計算方法は、総平均法と移動平均法のいずれかを選択します。選択をしなかった場合、個人での取引では総平均法が適用されます。
総平均法
総平均法では、年初時点で保有する仮想通貨の評価額とその年中に取得した暗号資産の所得価額の合計を、仮想通貨の総量で割って求めます。
移動平均法
移動平均法では、仮想通貨を取得する度に、取得時点で保有している簿価の総額を仮想通貨の総量で割って求めます。
仮想通貨取引で税金が発生する例
仮想通貨取引で課税される所得が発生する主なタイミングは、仮想通貨を売却したとき、仮想通貨で買い物をしたとき、仮想通貨を交換したときの3つです。
特に注意が必要なのが、仮想通貨を交換しただけでも課税される所得が発生する点です。仮想通貨を交換しただけで、交換した仮想通貨を売却していなくても課税される所得が発生するため、納税の必要があります。
その他、仮想通貨の分裂や、マイニングなどで仮想通貨を取得した場合も、課税される所得が発生します。
仮想通貨の売却
1単位100万円で仮想通貨を購入して、0.5単位を55万円で売却した場合、所得金額は5万円となります。
・55万円(譲渡価額)-[{100万円(1単位あたりの譲渡原価)}×{0.5(売却した数量)}]=5万円(所得金額)
仮想通貨での買い物
1単位100万円で仮想通貨を購入して、22万円の買い物で0.2単位(仮想通貨での買い物時の単価を110万円とする)使用した場合、所得金額は2万円となります。
・22万円(購入価格)-[{100万円(1単位あたりの譲渡原価)}×{0.2(売却した数量)}]=2万円(所得金額)
仮想通貨の交換
1単位100万円で仮想通貨を購入して、別の1単位3万円の仮想通貨を40単位購入する際に仮想通貨1単位を使用した場合、所得金額は20万円となります。
・3万円×40単位=120万円(購入価格)-[{100万円(1単位あたりの譲渡原価)}×{1(売却した数量)}]=20万円(所得金額)
仮想通貨取引に係る税率は最大55%
給与所得のある会社員の場合でも、仮想通貨取引で20万円を越える所得がある場合は確定申告の必要があります。
仮想通貨取引で生じた利益は雑所得となり所得税と住民税に課税されます。所得税は超過累進課税ですので、税率が所得税と住民税を合わせて最大55%になる点に注意が必要です。
仮想通貨を売買した場合だけではなく、仮想通貨同士を交換した場合でも課税される所得が発生することがあるため、仮想通貨取引を行う際には税額を意識しておきましょう。
出典
国税庁 確定申告が必要な方
国税庁 暗号資産に関する税務上の取扱いについて
国税庁 所得税の税率
総務省 個人住民税
国税庁 仮想通貨に関する所得の計算方法等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
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