贈与税を節税するにはどんな方法があるの? 非課税になる場合を解説

配信日: 2022.05.31

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贈与税を節税するにはどんな方法があるの? 非課税になる場合を解説
愛する配偶者や子ども、孫には「余分な税金は支払わずに、なるべく多くのお金を贈与したい」と思うのではないでしょうか。しかし、多額のお金を贈与すると、贈与税がかかるのでちゅうちょしている人もいると思います。
 
この記事では、贈与をためらっている人に対して、贈与税の控除や特例、非課税贈与が可能であることを解説します。
東本隼之

執筆者:東本隼之(ひがしもと としゆき)

AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

金融系ライター・編集者 | SEO記事を中心に200記事以上の執筆・編集を担当 | 得意分野:税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続 など | 難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えるのを得意としている。

●難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えることが得意
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贈与税とは

贈与は、自身の財産を無償で個人に贈ることをいい、年間110万円を超える財産を受け取った場合、贈与税の申告が必要です。贈与税は資産を受け取った個人が負担し、贈与金額によって10〜55%の税金がかかります。
 

贈与税がかからない場合がある

下記に該当する場合には、贈与税がかかりません。

●夫婦や父母、きょうだいなどの扶養親族間からの生活費や教育費
●個人から受ける香典や花輪、見舞いなどの冠婚葬祭の贈答金
●障害のある人や扶養義務者への共済制度を活用した際の給付金

 

贈与税を減らす方法

贈与をすると、基本的に贈与税がかかりますが、特例や控除を利用すれば、支払う税金を減らせます。納税する贈与税は、家族構成やタイミングによって活用できる制度が変わるので、自身に合った方法を選択しましょう。
 

基礎控除

贈与では、1月1日〜12月31日までの1年間に110万円の基礎控除が認められ、この金額を超えた金額に課税されます。つまり、110万円以下の贈与には、贈与税はかからないということです。これを暦年課税と呼びます。
 
ただし、基礎控除はあげる側ではなく、もらう側の限度額なので、1年間に贈与を受けた合計額で計算されます。したがって、複数人から贈与を受け、合計贈与額が110万円を超える場合は、超過額について贈与税申告しなければなりません。
 

相続時精算課税制度

相続時精算課税とは、60歳以上の父母や祖父母らから20歳以上の子や孫に贈与する場合に利用できる制度です。相続時精算課税を利用すると、2500万円以下の贈与が非課税となり、相続発生(贈与者死亡)時に相続財産として、相続税の課税対象となります。
 
本制度を活用し、2500万円を超える贈与をした場合の超過部分には一律に、20%の贈与税がかかります。支払った贈与税は、相続後の相続税計算時に差し引かれ、控除しきれない場合は還付されます。
 
なお、相続時精算課税制度を一度選択すると、申告翌年以降は暦年課税に変更できません。
 

居住用不動産贈与による配偶者控除

婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産、または居住用不動産を購入するための資金の贈与があった場合、基礎控除110万円に2000万円を加えて、2110万円までの控除が適用されます。この制度は、同じ配偶者に1回のみの適用となります。
 

直系尊属から住宅取得等資金贈与を受けた場合の非課税制度

本制度は、親や祖父母などから居住用住宅の購入や建築、増改築に使う資金を贈与された場合の贈与税が非課税となる制度です。2022年度の税制改正大綱により、適用期間が2年延長され、2023年12月31日までに行われた贈与に適用されます。
 
税制改正による変更点および要件は、次の通りです。

●耐震・省エネなど一定基準を満たす住宅は1000万円、それ以外の住宅は500万円が非課税限度額
●中古住宅の築年数要件が廃止
●新耐震基準に適合している住宅(1982年1月以降の住宅は新耐震基準適合しているとみなす)
●贈与を受ける側の年齢が20歳から18歳へ引き下げ

教育資金の一括贈与の非課税制度

本制度は、父母や祖父母などが、30歳未満の子や孫へ教育資金の贈与をした場合に利用できる制度で、最大1500万円が非課税となります。利用できる教育費の範囲は、入学金や授業料などのほか学習塾やスポーツ教室、通学にかかる交通費なども含まれます。
 

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度

本制度は、父母や祖父母などが、20歳以上50歳未満の子や孫へ結婚・子育て資金を贈与した場合に適用され、1000万円までの贈与税が非課税になります。
 
対象となる範囲は、結婚式や結婚披露宴の費用、新居の家賃や敷金、不妊治療や分娩費用などが該当します。ただし、結婚費用は300万円未満など、社会通念から逸脱しない費用に限ります。
 

「特定障害者」に対する贈与税の非課税制度

本制度を活用すると、障害のある人で「特定障害者」に該当する人が生活費などに充てるために受け取る財産について、贈与税が非課税になります。この場合、信託会社と契約し、信託することが必要です。
 
特定障害者を対象とした非課税制度には、限度額が2種類あります。
 
身体障害者手帳に身体上の障害の程度が1級または2級と記されている方や、精神障害者保険福祉手帳に障害等級が1級に該当する方、重度の知的障害者と判定された方、常時病床にあって複雑な介護が必要な方は6000万円まで、このほかの精神障害者の方の場合は3000万円まで非課税となります。
 

まとめ

贈与税は、贈与財産が多くなるほど、税率が高くなります。しかし、暦年課税や相続時精算課税、非課税制度を活用することにより節税が可能です。子どもや孫・配偶者など大切な人により多くのお金を贈与するために、控除や非課税制度を上手に利用しましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4103 相続時精算課税の選択
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
自由民主党 公明党 令和4年度税制改正大網
国税庁 パンフレット・手引 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和3年度版)障害者と税
 
執筆者:東本隼之
2級FP技能士

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