更新日: 2022.07.08 その他税金

個人事業税の対象となるのはどんな業種? 税務署に開業届を提出していなければ対象外?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

個人事業税の対象となるのはどんな業種? 税務署に開業届を提出していなければ対象外?
個人で事業をされている方は、「個人事業税」の支払いの対象となる場合があります。ただし、全ての個人事業主が個人事業税の対象となるわけではなく、都道府県が定める法定業種に当たる方が対象となります。
 
また、開業届を提出していない副業会社員の場合でも、個人事業税の対象となるケースはあるため注意が必要です。本記事では、個人事業税の対象となる方や、控除の条件などを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

個人事業税の対象業種は?

個人事業税は地方税となっており、個人事業主が都道府県に対して納税します。個人事業税は、法定業種として定められる70の業種が対象です。対象となる法定業種は図表1のとおりです。
 
【図表1】

区分 税率 事業の種類
第1種業種(37業種) 5% 物品販売業、運送取扱業、料理店業、遊覧所業、保険業、船舶定係場業、飲食店業、商品取引業、金銭貸付業、倉庫業、周旋業、不動産売買業、物品貸付業、駐車場業、代理業、広告業、不動産貸付業、請負業 、仲立業、興信所業、製造業、印刷業、問屋業、案内業、電気供給業、出版業、両替業、冠婚葬祭業、土石採取業、写真業、公衆浴場業(むし風呂等)、電気通信事業、席貸業、演劇興行業、運送業、旅館業、遊技場業
第2種業種(3種類) 4% 畜産業、水産業、薪炭製造業
第3種業種(30業種) 5% 医業、公証人業、設計監督者業、公衆浴場業(銭湯)、歯科医業、弁理士業、不動産鑑定業、歯科衛生士業、薬剤師業、税理士業、デザイン業、歯科技工士業、獣医業、公認会計士業、諸芸師匠業、測量士業、弁護士業、計理士業、理容業、土地家屋調査士業、司法書士業、社会保険労務士業、美容業、海事代理士業、行政書士業、コンサルタント業、クリーニング業、印刷製版業
3% あんま・マッサージまたは指圧・はり・きゅう・柔道整復
その他の医業に類する事業、装蹄師業
出典 東京都主税局 個人事業税

出典 東京都主税局 個人事業税
 
対象となる業種は非常に幅広く、対象外となるのは「作家・漫画家」などの文筆業や、「システムエンジニア・プログラマー」「通訳・翻訳業」など、一部の業種に限られます。副業として人気の高いライター業も文筆業であると考えると、個人事業税の支払いは対象外ということになります。
 

個人事業税の計算方法

個人事業税の計算方法は以下のとおりです。
 
{(事業所得または(および)不動産所得)+(所得税の専業専従者給与(控除)額)-(個人の事業税の事業専従者給与(控除)額)+(青色申告特別控除額)-(各種控除額)}×(税率)
 
事業所得は、前年の1月1日~12月31日までの事業の総収入額から必要経費を差し引いた金額です。事業主と生計を共にする親族が個人事業に従事している場合、専業専従者給与の一定額を必要経費として控除できます。
 
また、個人事業税には青色申告特別控除はありません。
 
各種控除額には、繰越控除や事業主控除が含まれます。個人事業税の事業主控除は年間290万円です。
 

個人事業税の納税時期

個人事業税の納税時期は、原則として8月と11月の年に2回です。8月に、都道府県の納税事務所から、個人事業税の納税通知書が送付されます。
 

個人事業税が控除されるケース

上記のとおり、個人事業税の支払いの対象となるのは、法定業種に定められた、70業種の個人事業主の方です。また、個人事業主には年間290万円の事業主控除をはじめ、各種控除が適用されるため、事業所得などによっては個人事業税の支払いが必要なくなる場合もあります。
 
ここでは、個人事業税が控除され、個人事業税の納税の対象外となるケースを解説します。
 

事業所得が290万円以下の場合

個人事業税は事業所得等の合計から290万円が控除されるため、年間の事業所得が290万円以下の場合には個人事業税を支払う必要はありません。
 
なお、個人事業の営業期間が1年未満の場合は、控除額は月割りで計算されます。
 

青色申告で過去3年間に赤字がある場合

青色申告で事業の所得が赤字になった場合、翌年以降3年間は純損失の繰越控除が可能です。したがって、赤字を繰り越している期間中に、事業所得が繰り越しをした赤字額よりも少ない場合、個人事業税の支払いは発生しません。
 

開業届を出していなくても納税の義務は発生するので注意!

副業をしている会社員などで、個人事業税を支払いたくないから開業届を出していないという方は注意が必要です。個人事業の開業届を出していない場合でも、所得が48万円(給与収入のある方は20万円)を超える場合は確定申告の義務があります。
 
また、確定申告書には職業の記載欄があり、開業届を出していなくても個人事業税の対象となる業種の場合、個人事業税の納税通知書が発送され、個人事業税を支払う必要があります。
 
所得が一定額を超えるのにも関わらず確定申告をしていないと、追徴課税が課せられる場合もありますので、しっかりと申告しておくようにしましょう。
 

対象業種の場合は個人事業税の対象となる! 青色申告なら赤字繰越ができてお得

個人事業税の支払いの対象となるのは、法定業種の70業種かつ事業所得が290万円を超える方です。
 
青色申告の場合、赤字を3年間繰り越せるので、個人事業を行うのであれば税制面で有利になります。また、開業届を出していない場合でも、個人事業税の支払いが免除されるわけではないため注意しましょう。
 

出典

東京都主税局 個人事業税
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ライターさん募集