更新日: 2022.07.08 その他税金

未成年でも住民税を納付するケースとは? 確定申告も必要?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

未成年でも住民税を納付するケースとは? 確定申告も必要?
未成年は低収入者が多く、収入から税金が引かれるかどうかは切実に気になるポイントではないでしょうか。実際、未成年でも収入が一定額を超えると税金がかかるため注意しましょう。
 
本記事では、未成年でも住民税を納付しなければならない収入の目安や、住民税が発生する収入を超えた際に確定申告が必要かどうかを解説します。アルバイトをする時間の調整や、収入が多かったときの手続きなどの参考にしてください。
 
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

未成年でも前年中の合計所得金額が135万円を超えると住民税が課税される

住民税は、一定額以上の所得がある人は年齢にかかわらず、誰でも納付しなければならない税金です。
 
住民税が課税されるボーダーラインは原則として合計所得金額45万円(給与所得のみの場合、年収100万円が目安)と定められており、前年に45万円以上の所得があった人には住民税が課せられます。
 
なお、合計所得金額とは、給与所得・公的年金などに係る雑所得・事業所得などによる所得の合計金額(純損失または雑損失などの繰越控除を適用する前の金額)です。
 
ただし、未成年者の場合は例外的に、住民税が課税されるボーダーラインが合計所得金額135万円まで引き上がります(既婚の場合を除く)。収入が給与所得のみの場合、年収204万4000円未満が目安です。
 
アルバイトなどで得た合計所得金額が135万円を超えると、未成年であっても住民税を納税しなければなりません。

 

未成年で住民税(所得割)がかかる例・かからない例

住民税は、所得額をもとに税額が決まる所得割と、各自治体で決められた定額を課税される均等割で構成されています。未成年であっても合計所得金額が135万円を超えると住民税が課税されますが、個々の事情によっては、同じ年収でも所得割部分が非課税となることがあります。
 
住民税の所得割額は、次の式で計算します。
 
住民税所得割額=課税所得(総所得金額-所得控除)×税率
 
つまり、総所得金額よりも適用される所得控除の金額が大きければ、税率を掛ける課税所得がマイナスとなり、所得割額は課税されません。
 
主な所得控除には、次のようなものがあります。
 

・基礎控除:43万円
・社会保険料控除:前年に納めた保険料の金額
・勤労学生控除:26万円
・扶養控除:33~45万円
・配偶者控除:33万円
・ひとり親控除:30万円

 
未成年者の住民税課税のボーダーラインを少し超える、年収が給与収入のみで205万円の人について考えてみましょう。この場合の総所得金額は、給与収入205万円-給与所得控除69万5000円=135万5000円です。
 
この人が勤労学生かつ両親を扶養している場合、所得控除額はおおよそ次のように計算できます。
 
基礎控除43万円+社会保険料控除 約29万円+勤労学生控除26万円+扶養控除66万円=約163万円
 
総所得金額135万5000円よりも所得控除が多いため、この場合は所得割がかからず、住民税額は均等割の5000円のみです。
 
しかし、もしも両親を扶養していない場合は所得控除が扶養控除を除いた約97万円となり、135万5000円から差し引いた38万5000円に対して所得割が課税されます。

 

確定申告が必要かどうかはケース・バイ・ケース

年末調整をしている場合、通常は勤務先から自治体に提出される給与支払報告書にもとづいて住民税額が決まるため、確定申告は不要です。また、住民税は給与から天引きされるため、納税の手続きも必要ありません。これは、アルバイトやパートでも同様です。
 
ただし、アルバイトの掛け持ちなどをしていて給与支払報告書が提出されていない収入がある人や、個人事業で報酬を得ている人、源泉徴収されているが年収103万円以下の人などには、住民税が課税されるかどうかにかかわらず確定申告もしくは住民税申告が必要です。
 
また、ふるさと納税などで所得税や住民税から控除を受けようとする場合にも、確定申告が必要となることがあります。

 

未成年でも一定以上の収入があれば住民税が課税される

たとえ未成年者であっても、一定額以上の収入がある場合には住民税の納付が必要です。ただし、通常は合計所得金額45万円を超えると住民税が課税されますが、未成年の場合はボーダーラインが135万円まで引き上げられます。
 
住民税が課税される場合に確定申告が必要かどうかは、ケースにより異なります。会社で年末調整をした場合は、基本的に確定申告は不要です。しかし、個人事業による収入がある場合などには、確定申告が必要となるため注意しましょう。

 

出典

東京都主税局 個人住民税 税金の種類
武蔵野市 住民税が非課税になるのはどんな人ですか
全国健康保険協会 令和4年度保険料額表(令和4年3月分から)
全国健康保険協会 令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
財務省 所得控除に関する資料
厚生労働省 雇用保険料率について
厚生労働省 令和4年度雇用保険料率のご案内
国税庁 確定申告が必要な方
東京都北区 住民税の申告が必要な方
総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税のしくみ 税金の控除について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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