更新日: 2022.07.30 その他税金

会社員でもできる節税対策! 合法的に税金を減らす方法を解説

会社員でもできる節税対策! 合法的に税金を減らす方法を解説
節税対策というと、企業や一部の富裕層が税金の負担を軽減するための工夫だと思われがちです。
 
しかし、会社員であっても行うことができる節税対策があります。
 
給与から天引きされる税金や社会保険料が増える中で、少しの工夫で税負担を軽減することができます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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会社員の給与の仕組み

会社は会社員に額面給与を支給しています。額面給与には、基本給や残業代といった会社支給のお金がすべて含まれています。
 
額面給与から税金や社会保険料が差し引かれた金額を、手取りとして受け取ります。この手取りを増やすことを目的としているのが節税対策です。
 
税金の大部分を占める所得税は累進課税であり、課税対象額を減らすことができれば、税負担を減らすことが可能です。
 

会社員でもできる節税対策

節税対策といえば、富裕層の専売特許のようなイメージがあるかもしれません。富裕層と異なり、会社員の節税対策による効果は大きいわけではありません。
 
しかし、税負担を軽減するためのさまざまな制度が創設されており、複数を組み合わせることで結果的に大きな節税効果を享受できます。
 

ふるさと納税

ふるさと納税とは、全国の地方自治体の中から希望する自治体に寄付することで、寄付金控除を受けられる制度です。
 
寄付金控除ですので、現在の手元の現金は減ってしまいますが、翌年の納税額を軽減できます。
 
寄付金控除だけではなく、寄付した地方自治体から寄付額の最大30%に相当する地元の特産物などの返礼品を受け取ることができます。
 
寄付すると、自己負担額の2000円を除いた金額、もしくは総所得金額×40%から2000円を差し引いた金額が控除の対象となり、所得税の還付を受けることができます。
 
つまり、翌年の所得税の計算のときに、寄付した金額分だけ所得額から差し引くことで、税負担が軽減されるのです。
 
控除の対象となる金額は所得によって異なりますが、一般的に高所得者ほど控除上限額が大きくなります。したがって、年収の高い会社員に特におすすめの節税対策です。
 

扶養控除

高校生以上の子どもや親など同じ家計で養っている扶養家族がいる場合、一定金額の所得控除を受けることができます。
 
扶養控除の対象は以下のとおりです。
 

●配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)であること
●その年の12月31日時点で16歳以上であること
●納税者と生計を一にしていること
●年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
●青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給料を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと

 
また、扶養控除額は図表1のとおりです。
 
【図表1】

区分 要件 控除額
一般の控除対象扶養親族 16歳以上 38万円
特定扶養親族 19歳以上23歳未満 63万円
老人扶養親族 70歳以上の同居老親 48万円
老人扶養親族 70歳以上の同居老親以外 58万円

国税庁 扶養控除
 
生活費や学費を仕送りしている場合でも「生計を一にしている」とみなすことができます。控除対象の扶養親族がいないか見直しをしてみましょう。
 

医療費控除

家族を含めた医療費が1年間で10万円を超える場合、給与から天引きされた所得税の還付が受けられる所得控除です。
 
会社員は自分で税金の計算をすることはありませんが、控除を受ける場合には、確定申告を行う必要があります。
 
対象となる医療費の種類は多岐にわたります。
 

●医師または歯科医師による診療または治療の対価
●治療または療養に必要な医薬品の購入の対価(薬局で購入した分を含む)
●あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価
●診療や治療を受けるために直接必要な義手、義足、松葉づえ、補聴器、義歯
●病院に行くための交通費
●病院、診療所、介護老人保健施設の費用
●妊婦の定期検診や検査、通院費
●人間ドック(制限あり)

 
ただし、医療費として支払った金額のすべてが、控除の対象となるわけではありません。
 
控除される金額=1年間に実際に支払った医療費-民間の医療保険で補てんされた金額-10万円
 
また、所得金額が200万円以下の場合は計算方法が異なります。
 
控除される金額=1年間に実際に支払った医療費-民間の医療保険で補てんされた金額-総所得金額の5%
 

生命保険料控除

払い込んだ生命保険料に応じて、一定の金額を所得から控除する制度です。対象となる生命保険の種類は以下のとおりです。
 

●個人年金保険
●入院・通院・介護などを保障する医療保険や介護保険、所得補償保険
●死亡や障害に備える終身および定期の生命保険

 
年末調整のときに保険会社から送付される証明書を会社に提出することで、控除を受けられます。
 
ただし、支払った保険料全額が控除の対象となるわけではありません。2012年1月1日以降の契約であれば、控除額は図表2のとおりです。
 
【図表2】

支払金額 控除額(所得税)
2万円以下 支払保険料全額
2万~4万円以 支払保険料×1/2+1万円
4万1~8万円 支払保険料×1/4+2万円
8万1円~ 一律4万円

国税庁 生命保険料控除
 

住宅ローン控除

住宅ローンを組んで、戸建てやマンションなどの住宅を購入した場合に、原則として年末の住宅ローン残高の1%が所得税から控除される制度です。新居や中古、建築や増改築の区別なく広く控除が受けられます。
 
住宅ローン控除を受けるためには、確定申告が必要です。ただし、翌年以降は会社に必要書類を提出することで、確定申告ではなく年末調整で済みます。
 
適用要件は以下のとおりです。
 

●年収3000万円以下
●物件の登記簿上の床面積が50平方メートル以上
●住宅ローンの返済期間が10年以上
●購入後6ヶ月以内入居し、控除を受ける各年の12月31日まで引き続き居住している

 
控除額は図表3のとおりです。
 
【図表3】

入居月日 2014年4月~2021年12月 2019年10月~2022年12月
控除期間 10年 13年
控除率 1% 1%
控除額の計算 4000万円×1%×10年=最大400万円 4000万円×1%×10年=最大400万円

※筆者作成
 

特定支出控除

仕事に関連する支出(特定支出)の合計金額が、給与所得控除額の1/2の金額(最高125万円まで)を超えると、その部分を給与所得から控除できる制度です。
 
支出した金額は仕事に関連し、会社が業務に必要と認めたものに限られます。そのため、会社が発行する「特定支出に関する証明書」が必要です。
 
国税庁によれば、対象となる経費は図表4のとおりです。
 
【図表4】

項目 内容
通勤費 通勤のために必要な交通機関の利用等のための支出
転居費 転任に伴う転居のための支出
研修費 職務の遂行に直接必要な知識等を習得するための研修に要する支出
資格取得費 資格を取得するための支出でその者の職務に直接必要であるもの
帰宅旅費 転任に伴い生計を一にする配偶者との別居を常況とすることとなった場合等において、勤務する場所と配偶者が居住する場所等との間の旅行に要する支出
勤務必要経費 (1)職務に関連する図書を購入するための支出
(2)勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための支出
(3)給与等の支払者の得意先、仕入先などの職務上関係のある方に対する接待等のための支出

国税庁 給与所得者の特定支出控除について
 

iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後の資産形成を目的とした私的年金制度です。定期預金や投資信託、保険などの商品から選んで自分で運用し、60歳になると、元本と運用益を受け取ることができます。
 
毎月の掛け金は全額が所得控除の対象となり、その年の所得税と翌年の住民税を軽減できます。
 
また、通常投資で得られた利益には課税されますが、iDeCoでは運用によって得られた利益は非課税となるため、運用成果によっては大きな節税効果が期待できます。
 
老後の資産形成と税金対策を両方行いたい人におすすめです。
 

自分に適用される、さまざまな制度を見落とさないことが大切

会社員が利用できる、税負担を軽減するための制度はさまざまにあり、単独でももちろん、複数を組み合わせると、より大きな節税効果を得られます。
 
自分が利用できる制度を見落とさず、必要書類を会社に提出したり、確定申告を行ったりして節税を目指しましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1122 医療費控除の対象となる医療費
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト iDeCoってなに?

国税庁 扶養控除

国税庁 医療費控除の対象となる医療費

国税庁 生命保険料控除

国税庁 住宅ローン控除を受ける方へ

国税庁 給与所得者の特定支出控除について

iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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