テレワークの在宅勤務手当は非課税なのか? 通信費、電気代はどうなのか?
配信日: 2022.10.05
今回は、そういった在宅勤務をしている従業員への在宅勤務手当や通信費、電気代の税務上の取り扱いはどうなっているのかを解説したいと思います。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
在宅勤務手当
在宅勤務をする従業員に対して、企業が在宅勤務に必要な費用として使用の有無にかかわらず(使用しなくても企業に返却をする必要がない)、毎月支給するような在宅勤務手当については、従業員に対する給与とみなされ課税されます。
ただし、在宅勤務に通常必要な費用の実費相当額を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する手当については、給与として課税されません。
その課税されない2つのケースについて、以下見ていきましょう。
ケース1:従業員へ物品を貸与する方法
在宅勤務手当として従業員へ支給しても課税されない方法に1つに、在宅勤務を行うにあたって必要な事務用品や必要な照明の確保や机、椅子の購入などの在宅勤務を行うための環境整備をするために必要な物品等の購入があります。
具体的には、次の2つの清算方法があります。
(1) 仮払費用の清算
在宅勤務に通常必要な費用を企業が従業員に対して仮払いした後、従業員が在宅勤務をするために必要な事務用品や環境整備に関する物品等を購入した場合に、購入にかかった費用の領収証等を企業に提出してその購入費用を精算する方法です。
ただし、仮払いのほうが多い場合に、従業員が企業に超過分を返還しないときには、その超過分を給与として課税されます。
(2) 立て替え払いの清算
企業から仮払いを受けずに、在宅勤務に必要な事務用品や環境整備に関する物品等の立て替え払いをし、領収書等を企業に提出して精算し、その購入費用を企業から受領する方法です。
なお、(1)(2)いずれの場合でも、企業が従業員に物品等を貸与していることが前提条件になっているので、物品等を支給する場合には、現物給与として課税されるので注意が必要です。
ケース2:通信費および電気料金
在宅勤務で必要な通信費や電気料金については、次の方法をとることによって、課税を免除されます。
(1)仮払費用の場合
企業が従業員に対して、在宅勤務に必要な費用を仮払いした後、従業員が負担した通信費や電気料金について、業務のために使用した部分を合理的に計算し、その計算した金額を企業に報告して精算をする方法です。
ただし、物品等の購入と同様、仮払いのほうの金額が多い場合に、その超過分を企業に返還しないと課税対象となります。
なお、合理的な計算とは、次の計算式で算出されます。
業務のために使用した電気料金(基本料金+電気料金)
=1ヶ月の電気料金×部屋の床面積比率※1×在宅勤務日数比率※2×1/2 ※3
業務のために使用した通信料等(基本料金+通信料等)
=1ヶ月の通信料等 × 在宅勤務日数比率※2 × 1/2 ※3
※1 部屋の床面積比率=業務のために使用した部屋の床面積÷自宅の床面積
※2 在宅勤務日数比率=1ヶ月の在宅勤務日数÷該当月の日数
※3 1/2を乗ずる理由としては、1日の内、睡眠時間を除いた時間のすべてにおいて均等に基本使用料や通信料がかかっていると仮定し、次のとおり算出しています。
法定労働時間(8時間)/(24時間-睡眠時間(8時間))=1/2
(2)立て替え払いの清算
企業から仮払いを受けずに、在宅勤務で従業員が負担した通信費および電気料金を合理的に計算し、その金額を企業に報告して清算します。なお、合理的な計算とは、(1)と同様です。
長引くコロナ禍、在宅勤務が定着してきた方もいらっしゃるでしょう。上記のようなケースもありますので、今一度勤務先に確認してみることをおすすめします。
出典
国税庁 在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー